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| つかまった後、僕は牢獄に投げこまれ、放置されていた。 
 とにかく、脱出しなければ・・・母が心配だし。
 
 
 
 
 
 
 
 『戦闘武具人間組 фバトルヒューマンズф』
 
 
 
 
 
 
 
 牢獄はそりゃぁもう慌てて作ったんだろう。
 
 材質は木で出来てるし、あちこちぼろぼろ。
 
 今にも釘が抜けそうな部分さえある。
 
 てか、牢屋ないなら、人を捕まえるなよ。と、僕は思ったが、所詮
 
 盗賊だし、しょうがないと思い直した。
 
 それよりも脱出だ。まぁ、とりあえず木で出来ているこの牢屋を
 
 逃げ出すのは簡単だ。だって、毎日巻き割りで鍛えてますから!
 
 その後である。誰にも見つからずに行くにはどうすればいいのだ?
 
 「まぁ、とりあえず、逃げよう。」
 
 ザシュッ!!
 
 牢屋はいとも簡単に崩れた。(僕は生き埋めになった。)
 
 何とか這い出すと、さっさとその場を立ち去る。
 
 何回か、見張りが来たけども、そこは切り倒していった。
 
 しかし・・・・流石に逃げれそうも無い奴に出くわしてしまう。
 
 明らかに他とは風格が違う、長身の男に出会ったのだ。
 
 「君は・・・ああ、今日捕まった子だね。」
 
 「・・・・・」
 
 暢気に話しかけてくる、男。
 
 「僕はここの幹部をやってる、クライネ。よろしく。」
 
 「・・・・・」
 
 「あ、ごめんごめん。それどころじゃないね。」
 
 男は勝手に自己紹介し、勝手に話を遮った。
 
 「逃げなよ。早く。」
 
 「え・・?」
 
 「あ、初めて声聞いた。とにかく逃げなよ。ココは何とかする。」
 
 何故か男は僕を捕まえようとせず、むしろ逃げるように指示した。
 
 ココの幹部なんじゃないのか?そんな簡単に、逃がしていいのか?
 
 そう思いながらも僕は逃げた。今はあの男の心配をしてる場合じゃない。一刻も早く、ココから逃げるべきだとも思っていたから。
 
 ちらりと後ろを振り返ると、あの男が手を振って僕を見送っている
 
 そして、ちらりと見えた、彼の隠していた右腕。
 
 手首から先が刃物になっていた。
 
 「(彼は僕と同じ・・・・?)」
 
 驚いた。僕以外にもこんな変な体の人が居るなんて。
 
 僕の場合は肘から全て剣だけど・・不便なのはきっと変わらないはず
 
 おっと、こんなことを考えてる場合じゃない。一刻も早く・・・
 
 早く家に帰らねば―――――
 
 
 
 家に着くと、何だか妙にでかいスタンプが押してある。
 
 これは・・・・スタンプ行為?嘘だろ・・・・
 
 
 ぐちゃぐちゃになった家の中。
 
 空っぽで、誰も居ないベッドが転がっていた。
 
 ああ、母はもう・・・。
 
 
 
 「やぁ、君か。また会ったね。」
 
 「あ・・・」
 
 そこに居たのはさっきの幹部の男。
 
 「クライネだよ。覚えてくれてたかい?」
 
 まさか、この男が、母さんを・・・・・?
 
 「ああ、僕じゃないよ?この家荒らしたのは。別の人。」
 
 心を読んでいるのか?と思う位に、先に答えるクライネ。
 
 そして、続けてこういうのだった。
 
 「仇討ちのために、僕と旅をしないか?」
 
 つづく
 
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