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Fantasy・asterisk(ファンタジィ・アスタリスク) 作者:糊塗霧 隙羽

第8回   【闇へ…。〜悪魔達のきまぐれ〜】
この出来事が起こったのはほんの数日前。

雨が降ってるせいで、朝だというのに薄暗かったあの日。

補習を受けてた男女、総勢20名が体験した、原因不明、科学的説明不可な物語…。
























朝、7:30。少し早いけど学校に到着。

補習は8:00からなのでまだ時間がある。

でも外は雨で、何処かその辺に遊びに行くにも面倒。

そのまま私は学校で他の人がくるのを待つ事にした。

ビュウビュウ。

風が強くなってくる。こんな状態で他の生徒なんて来るのだろうか。

実際、私もサボって家で寝てたかった。

    ゴッドマザー
だが、神なる母がそれを許してくれず、半ば強制的に行かされた。

早すぎるというのに。

7:50 大体皆が来た。私と先生を入れて20人。

これから補習を始める事となる。面倒くさい。帰りたい。









1時 補習の途中で何時の間にか男子生徒が居なくなる。

サボって帰ったのかと思えば、靴は靴箱にあるまま。

校内に居るらしいが、どこに居るのか判らない。

そのうち戻ってくる。とほっといて補習再開。




2時 またも男子生徒が居なくなる。今度は二人。

やっぱり靴は靴箱にあるまま。校内に居るらしい。

しかも、二人ともまじめなタイプでサボったりはそうそうしない。

少し、みんなの心に不信感が生まれた。



3時 女子生徒が私を残して全員居なくなる。それも補習中。

こんなに一気に移動したら流石にばれる。けど、だれも移動しているのを見ていない。

全員がパニックになり始める。









4時 男子3名、女子1名。先生一人。 気づいたらこのメンバーだけになっていた。

他の皆はどこにも居ない。靴もあるし、校内に居るはずなのに。。。。

15名もの生徒は探しても一人も出てこなかった。

ここでついに先生が異常だと気づく。鈍すぎる。

そしてやっと、この物語は始まる。









「これは…流石におかしい。いったい学校に何が起こってる?」

「気づくのおせーよ。神谷。」

「呼び捨てにするな。仮にも教師だぞ。」

「仮なのかよ。」

「お前の国語の成績はもう終わりだな…。藤。」

「先生、すいません。」

「判れば宜しい。」

「そんなこといってる場合じゃないですよ先生。この明らかな異常・・」

「ぼ・・僕、もう帰っていいかな…」

「逃げるな。蒼井。今更。」

「それにしても…皆はドコに・…。」

「冷静過ぎてキモい。古田。」

「いや、佐古田の方が冷静だろう。」

パニックのせいなのか、皆会話が何処かずれている。

しかし、問題はそんなことじゃない。皆の行方とか、何事なのかとか

そういう事が今は大事なはずだ。

「・…あれ?先生、この変な人形・・さっきまでありました?」

「・・・・ない。俺も持ってきてないし・・・。」

カチッ

何かスイッチが起動したような音がした。私が持ってる人形から。

そして…

『ケーケケケケケケ!!ケケッケケケ!』

「!?」

嫌な笑い声と共に自分で人形は動き出した。

『ケケケ・・ケケ。黒の領域へようこそ。ケケ!』

「何だそれは・・・」

『人の魂を冥界に連れて行くために通過地点さ・・ケケケ!』

「そもそも、ここは学校でしょ?」

『この学校は黒の領域に落ちた。』

「え!?」

『もうすぐ全員、冥界に連れ去れれるだろ・・ケケケッ!!』

「そんな・・・なんで!?」

『向こうの偉い人の気まぐれだねぇ・・ケケケ。』

「脱出方法は無いのか!?」

『あ る よ 。ケケケッケケ。』

「それは!?」

『この領域、つまり校内だな。の中にある[白]を見つけてみろ・・ケケ』

「白?」

『その白を開放すれば、黒は消滅する。つまり、この領域から出られる・・ケケ!』

「その白はドコに!」

『それぐらいは自分で見つけな!あちこちにヒントがあるだろうしね!ケケケ・・』

『ウケッケケッ!ケケケケケケ!![白]を見つければ皆も帰ってくるぜぇ・・・』

「・…」

『ケケー・・ケッケッケッケ・・・・』

最後に一笑いすると変な人形は急に燃え出して、消えた。

「これは・・・つまり、霊の仕業って事かな。」

「いや、死神なんじゃない?」

「お前ら、こんな人形の言うことしんじてんの?ありえないっしょ!」

周りがこれから『白』を探そうと、現状を受け入れようとしてる所に

野次を飛ばしてくる、藤。こいつはいつもこんなのだ。

「先生も、こういうのは信じない。だがとにかく皆を探さなければ・・」

「へっ、そのうち出てくるって!もう遅いし、俺は帰るぜ!じゃぁな!」

そういって教室を出て行く藤。そして影になっている階段の方へ…

「うわぁ!?」

行った瞬間に、黒い塊のようなものが襲い掛かってきて、そのまま取り込まれた。

「藤!!」

黒い塊はこっちの呼びかけに反応することも無く、壁際の影の方へと消えた。藤と共に。

「・・・こんなもの見たら、信じざるをえない。」

古田は震えながら言う。私もこの意見に賛成。なんか学校がやばい。

「どうなってるんだ・・・・」

先生は全く現状を理解できていない。人が目の前で突然消えたとはいえ、

動揺が激しすぎると思う。

「多分…黒い所に行ったから、やられたんじゃない・・・?」

多分、そうだろう。いや、でも、しかし。

現在、7時。殆ど校内は真っ暗。教室は電気がついてるが、それ以外は

全部の電気が消えている。つまり、教室からは出れない状態。

「こんななかで、どうやって白とやらを探せばいいのよ・・・」

どうにもならない状況に、私も愚痴をこぼす。

「ねぇ、これを使えば・・いいんじゃないかな・・。」

そう言う蒼井の手には人数分の懐中電灯。なるほど、確かにこれで照らしていけば黒くない。もとい、暗くない。

「これで道を照らしながら校内にある、白を探せばいいのだろうか。」

「多分…・」

「…これで電気のところまで移動して、電気をつければ、行動しやすくなる・・・と思う。」

ああ、そうか。よく考えれば電気は点けてないだけ。点ければあるんだ。

「じゃぁ、まずは電気を点けに…?」

「うん・…。」

「それしかないだろうな。」

「全員それぞれ分かれて、電気を点けに行く方が早いし・・・それでいかない?」

「そうね。」

「うん。」

「いや、危険だし、全員で行くべきだろうと先生は思うが。」

「・・・怖いんですか先生。」

「・……。」

「でも、確かに単独行動は危険。その方法で行こう。」

「そう?まぁ、天才の古田が言うんなら〜。」

「・…天才言うな。」



ここで、やっと私達の脱出劇の始まりである。















私たちは学校内に点在するブレーカーを点けに移動中。

先頭に古田を置き、私、先生、蒼井の順番で一列で歩いて行っている。

校内はひたすら暗く、下手すると,自分の姿すら見えない。

周りの何か嫌な雰囲気も、気分が悪くなる。

「・・・・おい、佐古田。」

「?先生、どうしたんです?」

「俺の後ろ…何が居る?」

そう言われて確認する。当然後ろに居るのは蒼井…と、黒い何か。

「きゃぁああああ!?」

「うわぁーーー!!!」

私が叫ぶと先生も叫んだ。

先生の背後に蒼井以外に何か居る!

よく判らない何かが居る!

「古田!どうかしてよ!」

「どうかって・・・何も持っていないのに・・無理だ!」

といいつつも、黒い何かを追い払おうとばたばたとする古田。

そして、手にもってた懐中電灯がすっぽ抜けて黒い何かの上に落ちた

「ぐえ。」

一声鳴くと,そのまま黒い何かは消えた。

「潰せば消える…んだ…。」

「いや・・・光じゃないか?」

「かもしれない…だって、影を消すのは光…」

「僕もそう思う。じゃぁ、白は、光のこと…?」

「ならなおさら電気をつけねばな!急ごう!」

人間、何とかなると思ったら強気になるもんです。

「先生、じゃぁ、別れてやります?」

「いや・・すまん、調子に乗った。乗りすぎた。」

ドサッ

「?」

会話中、何かが落ちた音がした。見に行ってみるとそれは藤。

さっき黒いものに喰われた藤だった。

「藤…?」

「生きてる?」

「息はしている。」

「藤君が出てきたってことはやっぱり・・光で消せばいいんだ…。」

推測は確信に変わった。

「なんだ、簡単なことじゃないか…。」

「でも、古田。じゃぁ何で人形はあんなことを?」

「…さぁ・・な。」

藤は目を覚まさないので教室に放置した。

「で・・・ブレーカーの位置は?」

「職員室の隣に全部。」

「じゃぁ、『白の開放』はそれさえ点ければ楽勝じゃないか…。」

ブ…

「でも、絶対何かあると思うよ!」

「僕も僕も!」

「人の意見をパくるな!蒼井!」

「ええ!?」

ブブ…

「大体、それまでどれぐらい距離があるのさ?」

「もうそこに見えてるぞ。」

「近い!!」

ブブブ…

「所で・・・この音は何?誰か・・・」

「違うよ!おならなんてしてないよ!」

「何も言ってないのに・・・犯人はお前だ!蒼井!」

「本当に違うって!」

ブブブブ…

「またぁ!!」

「だから違うって!後ろから聞こえるもん!」

「・・・・・。」

後ろには羽の生えた黒いものがいっぱいいた。

「ほら、ぼくじゃないでしょ。」

「言ってる場合じゃないよ!!」

ブゥー−ンブンブーン!!ブー−−−ン!!!

「きゃぁーー!!」

「古田!!光だ!光を早く!!」

「駄目だ!多すぎて減らない!!」

「ええい、カバーはずせ!!そしたら光の範囲が広くなる!!」

「あんまり変わらないよ!」

「だよね!!」

「だよね!って先生!?」

パニックになりすぎてもう何が何だかわからない。

ブブブー−−!!!

「せめてこいつらを散らせれば…」

私の目に付いたのは消火器。

「古田、照らしてそこ!」

「え?」

「消火器が見えるの!ピンを抜くから照らして!!」

「わかった!」

古田に照らしてもらい、すぐさま安全ピンをはずす。そして噴射!

ブシュゥー−−−!!!!

「ギィ−!」

「ギギィー−!?」

消えていく黒いもの。しょうかきでも消せるんだ…。

「白いものなら、なんでも出来るんじゃないかな・・もしかして。」

!蒼井に先に言われた!

「じゃぁ、とにかく白いもの集めるべきか…まぁ、まずはブレーカー。」

暗い廊下を進んでいく。職員室の前にやっと辿り着く。

そして、ドアをガラっと・・・

「ぅぉおおおぉ〜ん・・・」

開け…

「ぉぉぉおおおぉぉおおおおおおおおおお」

閉めました。

「何で閉めるんだ佐古田。」

「何かいっぱい居る。絶対居る。」

「でも、進まないと。」

「・・・・。」

仕方が無いので開ける。何かかなりでかいのがむわあと現れる。

「消火器!チョーク!!電気!!」

とにかく白いものを当てて攻撃するが、あまり効果が無い。

あろうことか、皆は捕まり、吸い込まれていく。

「古田!蒼井!先生!」

「いいから、懐中電灯持って、ブレーカーを切れ!!」

懐中電灯をつかむ。走る。後ろからやってくる黒いもの

間に合わない・・・・草思った時には既に捕まっていた。

このままじゃ全員連れて行かれる。一かばちか…

私は懐中電灯を投げた。そして、ブレーカーに命中させた。

何かバキィて言ったし、明らかに壊れたと思う。

「(お願い!点いて!!)」

私が思いついた作戦、それは壊して電気をつける。

数秒。待ったけど電気は点かない。駄目だったか…

と思いきや,校内を照らす明かり。

消えていく黒いもの。

そして、気づけば私の周りには居なくなった皆が居た。

「終わ・・・・った・・・。」

なんだかよく判らないこの事件。

結局、何のために、私たちはあんな目に合わされたのだろう。

合わせた奴らに一発パンチを食らわせたい。

全くわけがわからない。





結局, な ん だ っ た と 言 う の か 。










「いやぁ、今回の人間は脱出しましたぞ。」

「むぅ・・わしの負けか。」

「早く掛け金、渡してくださいな。」

「もう一勝負しよう!な!」

「えー。またですか?全く、人間にとっても迷惑な話でしょうよ…。」

「いいじゃん。いっぱい居るんだしさ。」

「まぁ、そうですね。魔王様。」



おわり

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Novel Editor by BS CGI Rental
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