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Fantasy・asterisk(ファンタジィ・アスタリスク) 作者:糊塗霧 隙羽

第6回   【10月10日 〜じいちゃんの最後の日〜】
今日、私の祖父が亡くなりました。

と言っても、1年前の今日。だから実際今日は一周忌。(2006年現在。)

予定の都合で、一周忌は8日に終わらせましたが、

それだけでは何か悲しいので、ここにじいちゃんの

最後の日を綴ります。苦しみに堪え、天に召された

じいちゃんの最後の日を・・・・・







10月9日。夜10:00頃。私は急に両親(特に母)に起こされた。

「夜中になんだよ・・・・」と思っていた。

それで、「何事?」と聞いたら、「じいちゃんが悪いらしい。」

そのとき祖父は体調を崩し、病院に入院していた。

昼にお見舞いで会って、かなり悪いのは判ってたけど

悪いことにはならないと、根拠も無くタカを括ってた。

病院に到着し、私は驚いた。

何やらよく判らない機器を幾つも付けられて

横たわってる祖父。昼と見た目、状態は変わらないが

もう、とにかくやばいらしい。

死んで欲しくない。とにかくその思いだけだった。

父が「大丈夫」と励ましてくれたりもしたが、

根拠の無い、気休めなど、この時の私には鬱陶しいだけだった。

なんとかそのままの状態を保ち、大丈夫そうな祖父。

それでも、私達は病院に居た。

何時死んでもおかしくないから・・・

そう、母は、祖父を看取りに来たのだ。

もう、助からないのは判っていたのだ。

それを知らずに私は治る様に祈っていた。

祖父の病名すら知らずに・・・・

緊張のせいか、寝むれない。

仕方が無いので漫画を読んで時間を潰す。

とても静かに長い時間が過ぎて行くのが判る。

このもやもやした気分はなんだろう。

じいちゃん・・・・・大丈夫でなぁ?(大丈夫だよな?)

死んだりせんよなぁ?(死んだりしないよな?)

そんな状態で日付が変わった。窓から光が差し込んでくる。


祖父は小安状態を、保っていた。頑張っている。

私は当然、病院を離れないでいた。

そろそろお腹が空くが・・・・それでも動かなかった。

しかし、暇でたまらない。気づけば、従兄弟たちは部屋に居なかった。

外に遊びに出ていたのだ。

それを見て、私も外に行きたくなった。

でも、祖父のそばにいなければ・・・・。

いや、大丈夫。死んだりしない。この状態だもん。

そのまま回復するよ。きっと、大丈夫。

そう思って結局、外に遊びに行ってしまった。

周りがどうであろうと、そこに居るべきだった。

もうすぐ終わる祖父の時間を近くで過ごすべきだった。


遊びから帰り、ご飯も買い、帰ってきて数分。

祖父の容態が急変した。

もう、見ていられないほど悲惨だった。

心電図に映し出された一本の線は、だんだん弱弱しくなっていく。

急に、祖父は血を吐いた。苦しそうだ。どうしよう。

なにもできない。なんでこんな・・・・なんで?




  な ん で ?







そのまま、祖父の心臓の動きを示す一本の線は、

静かに真っ直ぐになっていった。・・・祖父は死んだ。

苦しんだ末に逝った祖父の顔・・・・今でも忘れていない。

目を閉じ、口を開けたままで呆けた様な顔。

でも、そんな顔だが、血を吐き、呼吸が出来なくなり、

とても苦しみぬいた顔なのだ。

全員で泣いていた。私は、顔を見るたびに泣いた。

これが、じいちゃんとの最後の思い出やった・・・。







葬式の時は、既に泣けなかった。

泣きすぎたというのもあるが、現実が受け入れられてないというのもあった。

骨を見たときも同じような心境だった。

祖父の骨はあちこちが砕けており、あちこち悪かった

と言うのを物語っていた。

この後に聞かされた事実だが・・・・

祖父はすい臓癌だったらしい。それも、4年前から。

つまり、元気だと思ってた私が小4か5の時は既に病魔

に蝕まれていたと言うことだったのだ。

それでも祖父は、一緒に遊んだり、勉強したりしてくれてた。

何も弱みは見せずに、ただひたすらに・・・・・。







一周忌になり、私はあの時遊びに出かけたことを後悔している。

それさえなければ、ゆっくり療養していれば、

もしかしたらまだ、生きていたかもしれない。

祖父が死ぬ前に遊びに出かけたこと、それも後悔。

もう少し、生きてる間に近くに居るべきだった。

それでも、私は今、駄目人間な状態になっている。

何故ここまで変われないのだろうか。最低だ。

それでも私は、そのうち変わればいいとも思っている・・・・








 『 面 倒 臭 い 』 に 負 け て い る 。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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