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Fantasy・asterisk(ファンタジィ・アスタリスク) 作者:糊塗霧 隙羽

第4回   【不思議な少年と羊飼いの物語〜終り無く続く未来〜】
これは、私が若いころに起こった、よくわからない、物語。











その日,私は一人の少年を見つけた。

浜に打ち上げられ、気を失っていた。

まだ息があったため,私はその少年を家につれて帰ることにした

外傷は無かった。とりあえず、揺さぶって起こすことに。

「おい、おい、おい、大丈夫か,おい!」

「うう・・・。」

「・・・・・。」

少年は、すぐに目を覚ました。

私が、「何があった」と聞くとゆっくりと口を開きすべてを話した。

自分は奴隷として売られるところで,船に乗せられ運ばれる途中船が事故

にあい、何とか脱出してきたと。その上船の事故を自分のせいにされ、

殺されかけたと。なんと可哀想なのだろうか。奴隷なんて・・・

そこで私は,この少年を引き取ることにした。

そして、つい最近死んだ、自分の息子の代わりとして,育てることにした。



彼はとても頭がよく,どんなことでもこなした。

私の仕事は羊飼いなのだが,その仕事もすぐに覚え,手伝ってくれた。

遺伝子操作などで,羊を手のかからないように作り変えてくれたりもした。

そうして,半年が経った。

今日は、この村で祭りが行われる。

私もその準備で忙しい。

もちろん彼も手伝ってくれているが,それでも間に合わないくらい

準備するものが多いのだ。

この島は、漁業が盛んで、ほとんどそれがメインなのだが、

この島で唯一、羊飼いの私も一応参加する。

さて、今年は何事も無く、終わるだろうか・・・。

去年は変な集団に、祭りを荒らされ、ぼろぼろになってしまった。

うちの羊も取られた。

今回もまた来なければ良いんだが・・。









ついに祭りが始まった。大盛り上がりである。

しかし、その盛り上がりも数分で消えた。

奴らがやって来たのだ。

「オラオラ!魚をよこせ!」

全く迷惑な話である。

「はぁ・・・今年も駄目だな・・。」

と、私がため息を付いていると、

「・・・・・・・。」

少年は無言でどこかに走り去っていった。

「お、おい!どこに行くんだよ!」

「お。お前は羊飼いじゃねーか。」

しまった。奴らに見つかった。

「お前の羊もよこせ。さもなくばこのマシンガンで蜂の巣に・・」

「羊が欲しいか!」

「ん?」

今の声はあの少年だ。

「おう、欲しいね。全部よこせ。」

「ならば、お望みどおり・・・。」

そう言った後、少年は人差し指を立て、空を指すような仕草をし、その後、奴らを指した。

ドドドドドドド!

「な、なんだぁ!?」

一斉に羊が走ってきた。

奴らはマシンガンを構えたが、撃つ前に跳ね飛ばされてしまった。

「遺伝子操作してあるからね。普通より強いよー。」

そしてそのまま、奴らは自分の船で逃げていった。何も盗らずに。

それでも少年は許さない。どこからか、大砲を持ってくると、

ドーン!奴らの船に向かって撃ち出した。

その弾は見事に命中し、船は沈んでいった。

それから、奴らのような悪者が来ても、少年のおかげで

何か盗られることはなくなった。










いまでも、この島は少年が守っている。

どんな悪党も近づけない、鉄壁の守りと言えよう。

しかし、少年はいったいどこから来たのか。

あの技術はなんだったのか。

名前はなんと言うのか。

そして、なぜ、船爆破の疑惑が少年に向いたのか。

その船は、なぜ少年を乗せていたのか。

いくつもの疑問は残ったままだが、私はこれを知ろうとは思わない。

彼が話したがらいからだ。それに、彼は『この島を守る』ことで

新しい人生を始めた様な感じだ。そうなると、過去は邪魔だろう・・・。

さて、この物語はコレでおしまい。これ以上は、何も話すことは無い。

では、さらば・・・。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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