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Fantasy・asterisk(ファンタジィ・アスタリスク) 作者:糊塗霧 隙羽

第2回   【AIKONN〜呪われたパソコンツール〜】
学校は嫌いだ。人間は嫌いだ。外の世界が嫌いだ。この部屋の外の世界が嫌いだ。

私はそんな訳でいつもここに居る。あの3人組のせいで、私は外が嫌になった。

なので私はいつもここに居る。もう、外に出ず、早いところ死にたい。

その日が来るまで、私はパソコンで遊び続ける。

『メールが届きました。』

・・・・?

またスパム?それとも、サーバーの調整とかのお知らせ?

カチッ

『パソコンツールの更新をしてください。』

・・・・何これ?こんなメール、初めて見る。中身は・・・?

『このパソコンは機能が足りません。新しく、ツールをダウンロードしてください』

・・・新手のスパム?

『場所はこちら→http://xxx.noroi.korositaihitohaimasuka?tha.com/』

何これ。アドレスをローマ字読みしたら

『 呪 い 殺 し た い 人 は 居 ま す か ? 』じゃない。

普通のスパムとは何か違うようね・・・・。

カチッ

『大嫌いなあの子!裏切った彼!私を捨てたあの親!殺したい人は居ませんか!?』

何このHP・・・・。趣味のページにしてはやりすぎじゃない?

『このお試しファイルをダウンロードして、どんな感じか見てみない?』

あちこちにある台詞が痛いわね・・・・ま、いいけど。ダウンロード・・・してみるか。

カチッ プー!『エラー。既にこのファイルはダウンロードされています。』

・・・・・え?おかしいな。初めて見るのに・・こんなファイル。

あ、いつの間にか新しいアイコンが出てる。・・・クリックしすぎたのかな?

説明書でも読んで、使い方を見てみないとね・・・・そもそもどういうファイル?

『本製品は人を呪い殺すための特殊なパソコンツールです。ダウンロード終了後、
 ファイルを開いて、【呪う】アイコンを押します。すると、名前の入力画面が出ます。
 ここに名前を入力すると入力された人は、呪いの力で死にます。』

・・・・馬鹿みたい。


『本製品はお試し版のため、人間の名前を入力しても死にません。動物のみです。』

なんだ、つまんない。

『さらに、飼われている動物のみです。動物の種類、品種ではなく付けられた名前を入力して下さい』

範囲がかなり狭いのね・・・・。

『例 ダックスフントの太郎君の場合→太郎と入力。→死亡。となります』

『同じ名前の動物が居た場合、同時に死にません。自分が殺したいと思っている方が先に死にます。
 例 ダックスの太郎君と柴犬の太郎君が居る場合→ダックスを殺したいと思っているとダックスが死亡
柴犬を殺したいと思っていると柴犬が死亡。どちらか一方だけなので、両方殺したい場合は二度入力してください。
ただし、殺したい相手が居ないで名前を入力した場合。ランダムでその名前の動物が死にます。※無差別殺害は控えましょう』

結構、手の込んだ説明だなぁ・・・・ここまで馬鹿なことに力を入れなくても・・・。

『なお、注意点はひとつ。死んだものは生き返りません。それをよく考え、使ってください。』

・・・・くだらない。馬鹿みたい。アホだ。何がしたいんだ。

・・・・・・・・・・・・・

カチッ

『名前を入力してください』

「隣の家の犬の名前は…マルコか。」

『マルコを呪い殺します。』

『はいYいいえN』

カチッ

『【はいY】いいえN』

・・・・・・・・・・・・・・・・・

やっぱり何も起こらないか。きっと製作者はこの手の込んだ説明で騙して、遊んでるんだろう。

歪んでるねぇ・・・・何が面白いんだk・・・「キャイン!」

!?

「マルコ!?マルコ!?お父さん!マルコがーー!!死んでるよぉお!!」

「な・・・え・・!?!な・・んで・・・」

・・・・・・・・ほん・・・もの?

凄い。これさえあれば、私、外の世界にいけるじゃない。正規版のを買わなきゃ!!値段は!?

『正規版呪いツール¥1L』

L・・・?後ろのLはなんだろう?でも、これは1円・・・・なのかな。安過ぎるけど・・・多分そうだろう。

よし、早速ダウンロードしちゃおう!!住所登録して、名前登録して、ダウンロードっと!

『完了しました。』

きゃっほーー!!








































私は、それから学校生活を取り戻した。

それには、19人の犠牲もあったが、いいんだ。どうせあんなやつらいずれ地獄に落ちてた。

それが私の手で"行われて"落ちただけ。当たり前のことなんだ。

さて、請求書だが、まだ来ないな。まぁ、それもそうだろう。でたらめな住所と名前。これじゃ届きようが無い。

メール登録が無かったし、ラッキー?みたいな。

毎日が楽しい。ルンルン気分で家に着いた。今までは私の防御壁だった部屋。

ここも、お友達を呼んで話せる場所となった。勢いよく、部屋に入ると、突如、パソコンが起動した。

「え?なんで・・?何か私踏んだ?」

いや、私の付近には何も無い。じゃぁ、なんで・・・・・

気味が悪い。私はすぐにパソコンの電源を消した。しかし、消えない。

なので、コンセントを引っこ抜いた。それでも、なぜか消えない。

「な、何で!?」

やばい!気づけばすぐ近くにあった電気スタンドを液晶にぶち込んでた。割れた液晶にはもう、パソコン起動画面は出ていない。

「止まっ・・・たぁ・・・・。」

ほっとしてその場に座り込む。

ボッ!

「な・・・何この煙?」

さらに私は驚いた。煙とともに、空間にパソコンの起動画面が登場したのだ。

「え!?」

起動画面が終わり、ウィンドウズが表示される。そして、矢印が勝手に【呪い】ファイルに近づいていき・・・・

カチッ!クリック音。そしてあの『名前を入力してください』があらわれる。

まさか!!かちゃ・・かちゃとゆっくりキーボードが動き入力されていくのは・・・私の名前。

急いでバックスペースキーを連打するが名前は消えない。そして、エンターボタンが押されて・・・・・

また、メッセージが空間に現れた。『代金を支払っていただきます。』

「代金・・って、何をする気なの!?やめてよ!!」

私はその中に浮かんだメッセージに向かって叫ぶ。

『あなた、ウソの住所と名前書きましたよね。騙そうとするなんて酷いですよ・・・・』

「・・・・ッ!!痛・・なにこれ・・・床に吸い込まれていく・・・」

『まぁ、嘘を書いても、本当を書いても、行き着く先はここでしたがね・・・」

「いや!やだ!折角楽しい毎日になったのに!死にたくない!助けて!」

『ちゃんと書いてあったはずですよ。代金は\1"Life"  命、一つです・・・・。」

「・・・!! kmhgf!dhzmb!」

『沢山の命を奪った分、貴女の命で支払ってもらいますよ・・・・」

「!・・・・・・」

トプンッ・・・・。

『騙した分、追加料金が発生しました。残り\3L頂きます・・・・』



























「あそこだっけ?」

「そうよ、桜田さん。」

「急に出た不審火で一家全員焼死したって家。」

「放火かしらねー・・・」

「でも、おかしなことに学校にいってたはずの子供、会社に居たはずの父親、パートに出かけてたはず母親が全員中で焼け死んでたらしいわよ。」

「何それ?こわっ!」

「世の中不思議なこともあるものね・・・・・。」



















「ねぇねぇ、知ってる?呪いのツール」

「何それ何それー?」

「なんかね、これを使うとだれでも呪い殺せるんだってー。」

「えー、怖ーい!」

「でもね、これを使ったらね、その人は命を取られるらしいよ」

「じゃぁ、嫌いな人殺したら自分も死んじゃうってこと?」

「多分。」

「うわー、それ、意味無いじゃん。」

「だよねー。」

「・・・・・勉強に集中できないんだけど。静かにしてくれないかな。」

「ああ?うるせぇよがり勉メガネ!」

「調子乗ってるんじゃねぇよ!!」


























「あーあ、嫌になっちゃう。私は頑張ってるだけなのにさ。」

「なんで、あんなことされなきゃならないのよ・・・・あー痛・・・。」

「呪いとか使って殺せたらいいのに・・・・・まぁ、いいや。パソコンでもしよう。」

『メールが届きました』

「ん?何かな。今の時間はメールできる子いないはずだけど・・・広告かなにか?」

『パソコンツールの更新をしてください・・・・・・・。』





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Novel Editor by BS CGI Rental
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