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Fantasy・asterisk(ファンタジィ・アスタリスク) 作者:糊塗霧 隙羽

第1回   【悪母〜呪いとの戦い〜】
私は裕福な家庭で育ち、今までを楽しく過ごしてきた。

優しい両親、兄姉、全てが宝物だった。

しかし、ある日、母が居なくなった。

父はあらゆる場所を探したが見つからず、結局それっきりだった。

数年後、父が再婚した。とてもわがままそうで、嫌な感じの継母だった。

事実、私はその母のせいで、今とても酷い状況下にいる・・・。それまでの過程を

まず話していこう。












「あなたうざったいのよ。」

私はなぜか、継母にとても嫌われた。

真面目すぎる性格のせいなのか、頭が悪いからか、

それは判らなかったけど、私はとても継母にいじめられた。

そんなある日、継母は何処からか古めかしい本を持ってきて、読み始めた。

「あら、人を動物に変える呪いなんてものもあるのね。」

継母が読んでいたのは、呪いの本のようだった。

「早速あなたにでも試してみましょうかね。・・・・・・」

継母は本の通りよくわからない呪文を唱え始めた。

しかし、何度唱えても私に変化は無い。

「所詮、科学の時代よね。こんなもの、出来るわけ無いわよね。」

そんな風にぶつぶつ言いながら継母は恥ずかしさを隠しつつ逃げた。

そんな継母を別に追いかけることも無く、私は部屋に戻り、眠りに着いた・・・・。

そして朝・・・何故か私は外に寝ていた。

それも高い木の上。何でこんな所にいるのだろう。

それを考える前に木からおりるべきだと思い、ふらふらとおりていて、

ずるっと足を滑らせた。しかし、見事に着地。

・・・・・?何か違和感を感じつつも家の方へと向かって行った。

「あら、何処に行ってたのよ。朝起きたら居なかったわね。」

継母がそういって私を見る。そして一言

「何か・・・・昨日より縮んでるわよ・・・。気味悪いわね・・・何か変なものでも食べた?」

そう言われて自分で見てみると、確かに体がかなり縮んでいる。大体、子猫くらいの大きさだ。

「おい、水でも用意してくれ。喉が渇いてしまって・・・。」

父がのっそりと現れた。そして継母にすぐに要求を言って座る。

「はいはい、今すぐ・・・。」

「お?また来たのかこの猫は!」

父は私を見て言う。

「え・・お父さん?何を言って・・・。」

「あなた、どうしたの?」

「子猫が居るんだが・・・さっきも追い出したのに帰ってきたな・・。私は猫嫌いなんだ・・・。」

「え・・?猫・・・?」

私たち二人、父が何を言ってるかわからない。一体どういう・・・!

まさか・・・あの呪い・・・?二人同時にその理由があの呪いのせいかもと気づいた。

そして母は、にやりと笑うと、さっき私だと気づいてたのに気づいてないように

「あら、あなたが猫が苦手とは知りませんでしたわ。でも、この子、見捨てられないと思わない?」

と、言った。え・・?庇ってくれるの・・?

「うむ・・・そうかもな・・・。嫌ってばっかりも悪いし、一つ飼ってみるか・・・。」

父も納得して、私を追い出そうとしてたのを止めた。

しかし、まさか継母が庇ってくれるとは・・。と思っていたが、後に庇った理由がわかることとなる。






当然、兄も姉も私には気づいてないようだった。

普通に猫が来たと思っていたようだった。

それよりも、最初の時、継母は何故私がわかったのだろう。

その理由は、呪いの本を見てわかった。

『この呪いは術を掛けた者には術を掛けられた者の変化はわからない。』

小さく注意書きが載っていた。それで継母は私だと・・・・。

「さて、ごはんよ。」

食事の時間のようだ。私もすぐに食卓へと向かう。そしていつもの席へ・・・

「あなたはそこじゃないでしょ。こっち。」

差し出されたのはねこまんま。しかも、床に。

「・・・・お母さん?」

食卓に並んだ料理と比べてかなり質素なねこまんま。・・・・何故?

「猫にあんな豪華な物与えられるはず無いでしょ。ねぇ。」

「まぁ、そうだね。」

「うんうん。」

家族全員満場一致でこの意見。

そうか、継母は、さらに私をいじめる気であの時庇ったのね・・・・。























それからもずっと、継母は事あるごとにいじめてきた。


「猫の癖にベッドに寝ない!」

「少しは芸のひとつでも覚えなさいよ。雑巾がけでもやってごらん。」

「ここは人間用のトイレよ。猫は外ででもしてなさい。(ちょ」



こんな酷い仕打ちでも、皆は私が猫になってるから何も言わなかった。

「猫に贅沢はいけないよね。」

「雑巾がけ出来たら凄いし、覚えさせよう!」

「トイレは別にいいんじゃ・・・。」

言ったとしてもこんなぐらいだった。

父はあの日に私が帰らなかったので、すぐ捜索願を出した。

当然、見つからないだろう・・・・私はここに居るのだから。

どうしようもない・・・・そう思った私はそのまま猫としての自分を受け入れつつあった・・・。





























捜索も打ち切られ、私の葬式も終わったころ。

継母は何かのパーティに行っていて、遅くなる日だった。

今日はいじめられないので心底ほっとする。

とりあえず、部屋にいる兄と遊ぼう・・・・

「おーい、お兄ちゃーん」

どうせにゃーとしか聞こえないだろうけど、言ってみる。

何も言わずにゃーなんていってたら人間だったことを忘れそうだし・・

気づいてくれないだろうけど、言ってみるのだ。

「どうした?"美香"」

・・・・・え?

今・・・私の名前を・・・・?

「・・・・あ!違っ・・・えと・・・タマ!どうしたんだ!?」

慌てて『猫の私』の名前を呼びなおしたが、遅い。

しっかり、私の耳には『人間の私』の名前を呼んだ兄の声が残っていた。

「お兄ちゃん・・・もしかして・・・私が判るの・・?」

「わ・・判らないぞ!?お前が実は呪いを掛けられた美香なんて、判るもんか!」

全部知って・・・。

「あっ・・・。いや・・その・・。」

「ごめん。ずっと黙ってたけど、あの時見てたんだ・・・。」

「じゃぁ、なんで・・・・。」

「お母さんに脅されててね・・・。もしばれたら、僕も・・・」

じゃぁ、お兄ちゃんは、ずっと言えずに見てたんだ・・・・。

「弱虫・・・・」

「なんだと!・・・・いや、弱虫だな・・・。ごめん。」

「ううん、それより、私、元に戻りたい。一緒に何とかして!」

「・・・・判ったよ。」

こうして兄と協力して私はこの呪いを解く方法を探した。

「うちの本棚、結構そう言う系の本があるんだよね・・・それで何かわかるかも。」

そんな訳で本棚を探っているのだが・・・・

「なかなか無いね・・・。」

「何故だろう・・・・。ん?」

兄が何か見つけたようだ。

「何?呪いをとく方法判った?」

「いや、なんか凄い怪しいボタンが・・・」

そういって指差す兄。指の先を見ると確かに真っ赤ででかいボタンが。・・怪しすぎる。

「押さない方がいいだろうな。」

「うん、絶対。」

しかし、そういった私はその後ボタンを押してしまう。さて、何故でしょう?

正解は・・・・

「ネズミ!!」

「ちょ・・馬鹿!そんなもん追いかけるな!って、おい!そっちにはボタンが・・・」

カチッ・・・・。

「・・・・。」

「・・・・・・てへ。」

「てへじゃないよ!!」

ガシャン!音と共に、現れたのは深い穴。それも、私達の足元に。

「うぉおおおおおお美香の馬鹿ーーー!」

「お兄ちゃんの弱虫ーー!」

「今言う必要ないだろ!!」

ドーン!!

そのまま落下していった私たちは薄暗い部屋にたどり着いた。

「なにここ・・・。」

「地下・・・だ・・な。」

そして、感じるは生物の吐息。

「何かいる!?」

凄まじい気配。というか、妖気のようにも感じる。

そして、その何者かはゆっくりと姿を現すのだった・・・

「あら、あなた達。」

「・・・・・お母さん!?」

そこに居たのは私達の母。継母の方ではなく、死んだと言われてた本当の母。

「死んだんじゃ・・・・。」

「いや、違うのよー。お父さんに閉じ込められて・・・。」

「お父さんに!?」

母が言うには、自分は実は魔女で魔女狩りに会わないよう、父にかくまって貰ってるとか。

「でも、お父さん・・・・再婚したよ?」

「何ですってーー!?!?嘘でしょうーーー!!」

再婚は知らなかった模様。

「で、その継母に美香が苛められてるんだ。」

「さらになんですってぇーーー!!」

当然のごとく、それも知らなかったようだ。

「そういえば本当だわ!何か呪いかかってるし!!」

「あ、判るんだ・・。」

「よーし、お母さんが何とかしてあげるわ!」

「お願い!」

「でも・・ねぇ。」

張り切った顔が突如曇る。

「え?どうしたの?」

「そこのドアから外に出れるんだけどね、ほら、何か模様があるでしょ。」

確かに、変な模様がチョークか何かで書かれてある。

「あれ、魔女封じの印でね。外出れないの。」

「それじゃぁ、完全に閉じ込められてるだけじゃん・・・。」

「かくまってもらったんじゃないよね・・・。」

「そうなの!?お母さんてっきり、お母さんがいつもちょろちょろと勝手に出ようとするからだと思ってたわ!」

確かに、今まで暮らしていて、じっとしてられる性格じゃないのは見てきたけど・・・

「でも、お父さん再婚してるし。」

「はうっ!」

「そもそも、その後、一度でもお父さんこの部屋に来た?」

「・・・・・きてない。」

「・・・・・・。」

「え、マジで来てないの?てか食事は?」

「魔法で何とかしてたけど・・・」

「じゃ、やっぱり捨てられたんだね。」

「ぐはっ!」

決定打。

「お母さん、怒ったわーー!」

「お、おちついて・・・。」

「すぐにここをでて、継母とお父さんまとめてぎたぎたにqwrtf」

「でも、魔女封じがあるんでしょ・・・?」

「そうなのよね・・・しかもあれ、人間も触れないし・・・。」

!今の言葉でひらめいた。

「なら、私が!」

「え?意味無いでしょ。」

「今、私猫だから!」

「あ、そっか。」

そんな訳ですぐに魔女封じを破壊。そして母に連れられて継母のもとへ。

「そこで見てなさい。」

パーティ会場の前に私たちを待たせておき、自分は会場へと乗り込んでいった。

「どうするんだろう・・。」

「・・・。」

ガチャーン!ドゴォ!ベキ!バキ!メシ!ドーン!

「・・・・・・・・」

本当にどうするんだろう・・・この後。

「ぎゃあああああああ!」

今の叫び声は継母の声だった気がする。

ガチャッ

パーティ会場のドアが開いて誰か出てきた。真っ赤な服を着ているが・・・。

サンタさん?いや、返り血に濡れたわれらがお母さん・・・

引きずって来てるのは怪我だらけで気絶してる継母・・・・。

「ただいま♪」

満面の笑みである。

「・・・おか・・えり・・。」

「最後に、えい。」

そういうとは母はもはや死体のようになってる継母に魔法を掛ける。

たちまち、継母はガマガエルへと姿を変えた。

「さぁ、ここは終わったわ。次はお父さんにおしおきよ☆」

満面の笑みのままそういう母だが・・・目が笑ってない。

これは、ここ以上の惨劇になるかもしれない。

「それはそうと、美香の呪いを解かなきゃね。えい。」

そしてやっと、私の呪いは母の力によって解かれ・・・・

「・・・ごめん、失敗。」

なかった。

「えええ!?!」

「大丈夫!何も無い以上は、猫にならないから!」

「何かあったら、猫になるの!?」

「うん!水とか気をつけて!」

「やだよそんなの!ちゃんと戻してよ!」

「無理!これ以上やったらどうなるかわかんない!」

・・・・・とりあえず、このことは保留にしとこう・・・。

「で、お父さんの所行って来るわー」

そういうとお母さんは消えて・・・

数秒後、やっぱりボコボコになったお父さんを連れて何処からともなく現われた。

「さ、帰りましょうか♪」




こうして、私達の苦悩の日々は終わったのだった・・・・。

「ん?」←何も知らないで居た姉。


そして、代わりにお父さんの苦悩の日々が始まったかもしれない・・・・


「今までの罰として食事は一日2食!後、一発殴らせろ。」

「そんなぁ〜・・・魔女狩りが大変なのは本当なのに〜・・・。」




おしまい。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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