人魚の言葉。妙に引っかかっていた。
でも、もうここまでやって来たんだ。今更、あの一言程度で帰る訳には行かない。
それに、もうオオイタへの道のりを聞くのに必要なものは既に目と鼻の先にある。
とっとと取って、人魚の元に行かねば・・・ん?
「レオン?」
気がつけばレオンが居ない。さすがのアイツだって
ここまで来て逃げないと思うんだけど・・・。
「ま、まりあー!!助けてーー!」
あ、どうやら割と近くにいるっぽい。よかった。
どーせその辺の岩にでも引っかかって助けを求めて・・・・・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「ど、どうにかしてくれコイツーー!!」
軽い気持ちでやって来てみれば、レオンはなんかうにょうにょした生物に
がっしりと捕まっていた。何コレ?なんて生き物?
「タコだタコ!八本足の海の生き物!」
以外な事にレオンがコイツの事を教えてくれた。何で知ってんの?
「前に食べた事あるんだ!家出する前に!で、捕まえて食おうと思ったら・・・」
「逆に捕まったんだ・・?」「そのとおり!」
♂ なんて間抜けな男・・・・。てか、目的忘れて何してんだ。
正直、この場に捨てて置きたいとも思ったがさすがにそれは酷い。
と、言う事で何とか助ける事にした。
「つってもどうしろって言うのコレ!!」
普通に引っ張り出そうにもびくともしないし。てかでっかいなぁ、コイツ。
「これをよく食べようと思ったよね・・・。」
「意外とうまいんだぞ!?」
「つーか、馬鹿。体格差を考えようよ・・・。」
ここは、いったん戻って人魚さんを呼んでくるべきか・・・?
って、何か体の下のほうにレオン持ってかれてるし。しまいこまれちゃう?
「なぁ、マリア。知ってるか?タコって口が八本の足の内側にあるんだ。」
「へー。それで?」
「俺、絶対食われそうになってるんだと思うんだけど!!!」
「ちょ!!めちゃくちゃヤバイじゃん!!!」
人魚さん呼びに行ってる暇はなさそうだ。今すぐにでもコイツをどうにかしないと…
っと、ガラス瓶発見!あれをこう、ぶち割って、武器にすればいけるかも!!
「てぇえええい!」
ガラス瓶を思いっきり振り上げる。そして破壊!!粉々に砕け散った!って
「あああーー!!やっちゃったー!!!」
「マリア何してんだ!」
「うるさい馬鹿!馬鹿!!」
とか何とかやってるうちにまた、タコはレオンをむしゃむしゃと頭から食おうと・・・
「うわぁあああああ!」
「ご、ご冥福をお祈りします・・・。」「いや、諦めないでくれよ!」
絶体絶命・・・と、思いきや何かでっかい魚が現れて、タコをあたまからむしゃむしゃ。
力を失ったタコの足からレオンはするりと抜け落ちた。
「た・・・助かった・・・。」
「よ、よかったね!!」
「黙れ裏切り者!!!」
それはそうと、何か、嫌な気配を感じる気がする。
振り返ってみるとそこにはさっきのお魚さん・・・。
先ほどはどうもー・・・とか言ってみたが当然通じてないし、目つきが怪しい。
「な、なぁマリア・・・・」
「な、何?レオン。」
「これって、ヤバくない?」
「ですよね。」
野生のお魚が襲い掛かってきた!!
「うわぁあああああ!!」
逃げようにもやはり、お魚さんのほうが素早い!!無理だ!
「戦うのか!?」
それはもっと無理だ!!!
「じゃぁ、どうするんだよ!?」
「私に聞かれても!!」
「とりあえず、呼ぼう!人魚を!」
「いや、呼びに行く時間ないし!!」
「叫ぶんだよ!ここから!」
・・・もうそれしか手段がないのが悲しい。
「たすけてーーー!!」
「はいよー!」
早い。どこで見てたんですかあなたは。
しかも凄い勢いでお魚さんに体当たりしてるし。あ、首捥ぎ取った。
とりあえず、難を逃れる事は出来た。でも、ひとつ疑問。
ついてくるならわざわざ私たちに薬を取りに行かせた意味は?
とか、余計な事は言わずにすぐさま薬らしい貝殻を取って渡した。
「ありがとね〜。じゃぁ、約束通り、行こうか?大分。」
「はい!・・って、ん?」
「どうしたの?行かないの?」
「え、いや、方角教えてくれるだけでもいいですよ?」
「ついて来られると嫌?」
「べ、別に・・・・いや、でも・・」
「いいのよ。ここまで来たら最後まで行かせてよ!」
でも、人魚さん、目立ちませんか?
何だかんだで結局人魚さんも一緒に来る事になった。
ついにオオイタへ向かって進み始めた私たち。
この先、一体何が待ち受けているのだろうか。
不安と期待で一杯だ。
つづく。
ザーーザーーザーー
「出発して即、雨かよ!!!最悪!!」
続く。
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