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きゃっと・メモリー 〜人だった猫の恋〜 作者:糊塗霧 隙羽

第13回   13 かみさまのおはなし。
昔々…とは言わず、割とつい最近。

神様はお空の上で、とても退屈していました。

退屈といっても、神様は仕事をしています。その仕事は人の寿命を決める仕事。

あと、時間があれば、天使みならいから天使へと転身するための試験の監修。

でも毎日暇です。簡単に出来るような事ですから。

そんなある日、神様はとある二人を見つけました。

少し、複雑な家庭事情の女の子と、毎日気楽に生きる、ちょっと悪ぶった男の子。

2人はとても仲良しで…多分恋仲でした。(何故曖昧?)

「ふーむ。何か不思議な組み合わせだこと。」

その2人は何があっても楽しそうでした。男の子は当然ですが、女の子もです。

「…あんなに、複雑な家庭だというのに。」

神様はこの日からずっと、そんな2人を暇つぶしに見ていました。

しかし、いつみても、2人は楽しそうでした。

「つまんねー・・・な。やっぱり。」

しかし、ある日、さすがに楽しそうで居られないような事が起こりました。

女の子が事故に遭ったのです。

ちなみに、神様の仕業ではありません。この神様は運命は司っていないのです。

あまりの事に,男の子はどこかに走っていってしまいました。

女の子はとても悲しそうにしています。

「うーわー・・・最悪だー・・・。」

神様は男の子の方を見つづけてみます。

すると男の子は人を呼んできました。近くの医者のようです。

「何だ,医者を呼んでいたのか…。」

そして…

「あ。」

…男の子も、事故に遭いました。

「…これは…後で…影響でそうだな…。」

人は死ぬと魂のみとなり、点に還り、また新たに生まれ変わります。

しかし、今の状態だと、女の子はもしかすると『捨てられた』とか思っているかもしれません

このままだと、うまく天に還れなかったり、その後魂に悪い影響が出たりします。

「とりあえず、2人の寿命は…うわ。」

2人とも、今日が寿命でした。

「これ変えたりすると、怒られるし…。」

実は、まだ上に他の神様が居ます。

「うーん…。」

神様は考えます。どうすれば悪い影響が出なくなるか。しかし、思い浮かびません。

「とりあえず、転生させてみるか。」

諦めました。

早速2人の魂が天にやってきました。

「ホ。両方還ったか…。」

ひとまず安心です。還ってこなかったら転生できませんから。

神様は2人を戻す作業を他の神に頼みます。

「ちょっと、そういう事情だから、『記憶』アリで戻せない?」

「そーゆーの厄介事も招くから嫌いなんだけど…」

「いや、でも、可哀想じゃん。助けると思ってさ。」

「しょーがないなー・・・。あんまり何回も頼まないでくれる?めんどいから。」

「今後はやらないから。」

「はーぁー・・」

転生させる神はかなり渋々2人を転生させます。

「あ、駄目だ。転生期限制限に引っかかった。後2年は無理だねこれ。」

「…。」

「いや、我輩のせいじゃないから、そんな睨まないでくれない?ちょ、やめ…」

さて、それから二年後。2人を転生させる日。

「じゃぁ、失敗の無いように。」

「はいはいー。ほらよっと。」

案の定、失敗しました。

「…何で猫に転生させてんのお前。」

「人間喋れないじゃん。生まれてすぐは。」

「しかも…男の方、記憶全く残して無いじゃん。」

「え?男も必要だったの?」

「当たり前だ!どうするんだよこれ!あーもー!役立たずーー!!」

「テメ…」

仕方が無く、転生した2人は地上へ戻されました。

「さて、んじゃ我輩は別の奴あるから…。」

「待て。」

「え?」

「ちょい、俺、下に行って来る。」

「え?は?下?」

「人間になってくる。だから、お前、俺の仕事もしてろ。」

「はぁ!?」


そんな訳で、神様は人間になり、酒屋を経営しつつ、猫になった2人のうち、

女の子の方を影ながら助けていきました。

神様は、この世の全ての生物の言葉が判ります。

ですが、それで自分の存在がばれると危ういので知らないフリをしつつ,

女の子を助けていました。

「にゃー。」

「おー、クロ。またきたんかー。」

しかし、中々、女の子と男の子を巡り会わせる事が出来ません。

さらに、仕事を頼んだ神が文句を言い始めました。

「おい!いつまで任せてんだよ!なげぇよ!早よ帰れ!」

仕方が無いので、神様は最後に女の子にヒントをあげた後に天に帰りました。

その前に数匹に事情を言って、女の子を助けるように頼んで帰りました。

その後、どうなったかは…今までの物語です。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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