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きゃっと・メモリー 〜人だった猫の恋〜 作者:糊塗霧 隙羽

第1回   1
吾輩は猫である。名前はまだ無い。・・・なんて言ってみる。

私は前世が人間だった猫。そして、前世の記憶を持った猫。

前世での私の名前は『マリア』何処に住んでたかは判らない。

今の私には本当に名前が無いので、自己紹介は出来ない。

まぁ、今までので十分紹介になったと思う。

私は最初から記憶を持っていた訳ではない。

つい最近、突然に浮かぶようになった。

それが自分の前世って思うのはほぼ、勘。

でも、外れてないと思う。

こうして記憶が残ったのは、多分訳があるんだろう。

生前・・・って言っても前の。その時に私には恋人・・彼氏が居た。

今も記憶がちゃんとあるし、とても恋しい。けど、居場所が判らない。

その彼と私は、あの日、喧嘩をした。

私が、有らぬ事を聞いたのが喧嘩の発端。

散々怒鳴った後、私は逃げるように彼の元から去っていき・・・

その時、車に轢かれて、ご臨終。享年15歳。

私が、記憶を持ち、生まれたのはコレが原因と思ってる。

これってどれ?それは、まず喧嘩の事。謝る・・・べきだから。

もう一つは、私の念だろうか。どうしても、無念だったからかと。

こんな、喧嘩して、生き別れたのが無念だったからかと。

神様の悪戯・・・・と、私の執念が生んだ奇跡。

そう解釈している・・・。だから、会いたい。会って、謝りたい。

けど、前に言ったとおり、居場所が判らない。

そもそも、ここは何処だ。

神様の悪戯は私に記憶を与えただけじゃなく、試練も与えた。

今度死んだら、少し神様を問いただしたい。こんな事して楽しいのか、と。

・・・・死んでた間、神様と会った記憶は無いが。(ぇ

とにかく、そんな訳で私の日々の暮らしは、野良をしながら情報収集だ。

大変だが、このくらい、根を上げられない。

っていつも思うけど・・・少し、挫けてもいい?

だって、文字が読めないもん。OTL

記憶はあるのに何故文字は読めない?まだ神様の悪戯は続くか?

流石に、自分の運命を呪う。

えぇい、とにかく鳴いてやれ!

「にゃーにゃーにゃーにゃー・・・・。」

意味あるのかコレ。OTL

「ん?クロじゃないか。」

あ、酒屋のおじさん。(って呼ばれてる人)(ちなみにクロは私の呼び名)

この人は野良の私にいつも食事を与えてくれる。

けど、そのキャットフード止めてくれないかな。かなり美味しくない。

「しかし、今日は一段と鳴いてたな。どうかしたか?」

いや、実は文字が読めなくて・・・・。

って、猫の言葉じゃ理解されない。とりあえず、さっきから気になる

『大阪』と書いた張り紙を見ながらにゃーにゃー鳴く。

「ん?これが気になるのか?」はい、凄く。

「別に何でもないよ?ただの県名。」

県名・・?ってなんだ!

「な、何だよ。何でそんなに飛び掛ってくるんだ・・・。大阪はここの事だよ・・・。」

ここ・・・?この道路か?・・・いや、違うだろ。この国の名前か。

「今日もクロは行動が判らんなぁ・・・・。」

それほどでも。おじさんありがとう!

心の中で適当に例を述べさっさと私はその場を去った。

「・・・・・。」

「・・・頑張れよ・・。」

次は、彼と、元々私が住んでた所を探さねばならない。

国の名前と発音は覚えてるが・・・場所と文字はわからない。

確か、オオイタと言った・・・・かな?(曖昧)

これがどこにある、ここからどれほど離れた国か調べねば。

しかし、記憶の謎を探して5日ほどだが・・・・ここの名前が判ったし、結構順調に感じる。

神様が悪戯を後悔し、手伝ってくれてるのかな。

これからも、そういうのがチラチラ続いて欲しいな。


続く

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Novel Editor by BS CGI Rental
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