家に帰り、夕食後もありすの機嫌は悪かった。 「ありすちゃん、帰りの時から何で怒ってるの?」 修平が隣に座ってテレビを見ているありすに猫撫で声でそう言うがありすはそれを無視する。 「なぁ、僕が何かしたなら謝るからさ・・・」 修平がそう言うとありすは修平の顔を睨みつけて言った。 「ありすが言った事を修平君がちゃんと聞いてくれなかったのがいけないの!」 それを聞いて修平は頭掻きながら 「聞いてなかったんじゃなくて聞こえなかったんだってば・・・だからもう一度言ってよ。」 修平がそう言うとありすは顔を赤くしながら言った。 「えっと・・・昼間言ったのは・・・ありすをね・・・修平君のね・・・・」 「うん」 「その・・・・えっと・・・修平君の・・・」 「うん」 「えっと・・・ありすを・・・修平君の・・・お、お・・・お嫁さんにして欲しいな、って・・・」 ありすはそう言うと頭から湯気が出てるのかと思うほど顔が真っ赤になった。 そしてそれを聞いた修平は一瞬、ありすが何を言ってるのかわからずに固まった。 修平はその言葉の意味を理解し、答えを出すのに30秒ほどかかった。 「ありす・・・僕はありすの事は好きだが・・・結婚は出来ないぞ?」 修平がそう言うとありすは今にも泣き出しそうな声で 「じゃあ・・・ありすの事をお嫁さんにするのは嫌なの?」 ありすがそう言うと修平は慌てて首を横に振った。 「いや、そう言うわけじゃなくて・・・ただ、正式には結婚できないってだけで・・・ありすの事を嫁にするのはできる。」 修平がそう言うとありすの顔に笑顔が戻った。 「じゃあ、ありすのことお嫁さんにしてくれる?」 ありすがそう言うと修平は頷いた。 すると電話が鳴った。 修平は電話に出る。 「もしもし、村上ですが・・・」 「村上君?保健室の月守だけど・・・」 「何ですか?」 「明日ありすちゃん連れてきてくれない?」 「・・・早速何をする気ですか?」 「まぁちょっと早めに学校来てくれれば良いのよ。」 「わかりました・・・」 そう言って修平は電話を切った。 「誰から?」 ありすは不思議そうに修平に尋ねる。 「保健の先生。明日お前を連れて来いってさ。」 「わかったー。明日は修平君と一緒に学校行けるんだ。」 ありすはそう言うと嬉しそうにはしゃいだ。 はしゃぎすぎて電話がかかってくる前に考えていた事をすっかり忘れたのは秘密である。
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