学校を辞めてから1週間経ったある日。 修平は軍の射撃訓練場に居た。 「命中率が低い・・・次はもっと当てろ。」 修平の訓練の指導をしている赤川宗司(あかがわそうじ)は修平が撃った的を見ながらそう言う。 「すいません・・・」 「だけど最初に比べてだいぶ当たってるな。この調子でがんばれ。」 「はい。」 「そんじゃ、今日の練習はここまで。飯でも食いに行くか。」 「あ、はい。」 修平は宗司がそう言うのを聞いて銃を構えるのを辞めた。
数分後・・・二人は食堂でカツ丼を食べていた。 「それにしても修平・・・お前素人にしては随分と当てるな?」 「宗司さん・・・さっき命中率低いって言ってたじゃないですか・・・」 「ばーか。他の奴だったらあの距離じゃ一発も当たんないよ。」 訓練時以外この二人はどう見ても先輩後輩だった。 「修平君、となり座って良い?」 宗司と修平が話していると修平の後ろからそう言ってカレーの乗ったトレーを持ったありすがやってきた。 「ああ、良いよ。」 修平がそう言うと宗司とは反対側の修平の隣に座った。 「宗司さん、修平君ちゃんとやってる?」 ありすはカレーを食べつつ宗司に尋ねる。 「ああ、なかなかの腕だ。」 「宗司さんたら態度がすぐ変わるんだから・・・ところでありす、そっちは午前中は何やってたんだ?」 「戦術のお勉強〜。午後は剣術の練習だよ。」 ありすはそう言いながらカレーを食べる。 修平とありすが軍に入ってから二人は訓練三昧だった。 宗司が修平に銃の訓練を行い、その間にありすは別のところで剣術の訓練か戦術の勉強をしているのである。 「修平、午後は俺の訓練はない。嬢ちゃんの剣術の訓練でも見てきたらどうだ?」 「良いんですか?」 宗司の提案に対し修平は意外な顔をしながら答えた。 「ああ。ただ俺も行くけどな。」 宗司はそう言ってニヤリと笑った。 それを見て修平は深いため息をついた。
結局午後、修平は宗司の提案どおりありすの剣術の訓練を見ることにした。 修平と宗司は剣道場の脇に座る。 ありすは何故か訓練時は学校の制服だった。 そしてありすは剣道場の中央に竹刀を持った制服姿で立つ。 ありすの向かいには剣術の指導をしている大石仁三郎(おおいしじんざぶろう)がジャージ姿で竹刀を持って立っていた。 「お嬢、準備は良いか?」 仁三郎がそう言うとありすは竹刀を構える。 それを見て仁三郎は走り出した。 ありすに急接近し竹刀を振り下ろす。 ありすはそれを竹刀で受け止める、そして仁三郎の竹刀を振り払う。 仁三郎は後ろへと飛び、いったん距離を取る。 ありすは床を蹴って走り、竹刀を斜め下に構えて仁三郎に接近し、竹刀を振り上げる。 仁三郎はそれを横へ流すとありすはそのまま竹刀を横に振るが仁三郎はそれを竹刀で受け止めてありすの方へ叩き返す。 ありすはその衝撃で後ろへ吹っ飛ぶが着地と同時に床を蹴って上へ飛んで竹刀を頭上にに構えて仁三郎めがけて落ちた。。 「上へ飛んだら体勢が変えられないから隙ができるって教えたはずだぞお嬢!」 仁三郎はそう言うと竹刀を下から振り上げてありすのことをいつものように叩き落した。 ・・・・はずだった。 だがありすは仁三郎の竹刀に自分の竹刀を当ててその反動で向きを変えて仁三郎の後ろへと着地して仁三郎の横腹にめがけて竹刀を振った。 仁三郎はとっさに足でありすの竹刀を蹴り上げた。 「えー、仁さんそれはなしだよ〜」 ありすが抗議の声を上げる。 「すまん。つい反射的にやってしまった。」 仁三郎は苦笑いを浮かべながらそう言う。 「まぁ・・・・今のは完全にお嬢の勝ちだ。」 仁三郎がそう言うとありすは嬉しそうに笑って修平のほうへと走っていき修平に抱きついた。 「修平君、ありす勝ったよ〜」 「凄いな、ありす。僕にはとてもじゃないけどできないや。」 修平はそう言ってありすの頭をなでる。 そこへ仁三郎が近づいてきた。 「お嬢・・・約束どおり最終試験だ。合格したら晩飯はご馳走だ。」 仁三郎がそう言うとありすは頷いた。 「大石、そりゃどういう意味だ?」 宗司が不思議そうに言う。 「精神が混乱した状況でも剣が使えるか試すだけだ。気になるなら見に来い。」 そう言うと仁三郎はありすを連れてプールサイドへと向かった。 宗司と修平もそれに続いた。 プールにはありすの膝の高さぐらいまで水が張ってあった。 仁三郎はありすにプールに入るように言う。 ありすは真剣を持ちプールの真ん中に立った。 「それじゃあお嬢、始めるぞ。これからある生物をプール内に放す。10分以内にその生物を全て頭部を切断して息の根を止めろ。それ以外の所を斬ったらその時点で終わりだ。良いな?」 仁三郎がそう言うとありすは頷いたと同時に仁三郎は何かのスイッチを押した。 するとプールの壁に穴があき一斉に黒い物体が大量に流れ込んだ。 「宗司さん・・・・あれ何ですかね?」 「うなぎ・・・・だな・・・・」 修平と宗司はあっけに取られながらそう言う。 一方・・・プールの中では・・・・ 「ひゃあぁぁぁ!?」 うなぎの群れによってバランスを崩しありすはその場に倒れてしまった。 「だめぇ・・・!あ・・・やぁ・・・足にからみつかないでぇ・・・・」 ありすは足に絡みつくうなぎを振り払おうと足をバタつかせる。 するとうなぎ達はありすのスカートの中へと入った。 「ぁ・・・だめぇ・・・スカートの中はだめなのぉ・・・・ふあぁぁん・・・あぁん・・・パンツの中入らないでぇ・・・・」 ありすは喘ぎ声を上げながらなんとかうなぎをどかそうと手を伸ばすとうなぎは今度は手から上半身へと行き始めた。 「やぁぁぁぁ・・・・ぁん・・・そんなところで動かないでぇ・・・・」 ありすの下半身は完全にうなぎに占領され、上半身も占領されかけていた。 今のありすはうなぎによる侵略が終わるのを待つしかなかった。 「ふあぁぁぁ・・・・だめぇ・・・だめなのぉ・・・・あぁぁぁぁん・・・・」 ありすはもううなぎを斬るどころではなくなっていた。 「宗司さん・・・この光景はどうなんでしょうね?」 「嬢ちゃんには刺激が強すぎるんじゃないか?大石、そろそろ辞めてやらないと嬢ちゃんがかわいそうだぞ?」 「まぁ待て。もうちょっと待て。」 仁三郎がそう言うと修平と宗司はそれに従った。 「ふぁ・・・・そこはぁ・・・そこだけはだめなのぉ・・・・」 だがうなぎは動きを止めなかった。 するとありすはふいに「そこ」に攻め込もうとしているうなぎをつかんだ。 そして頭を引きちぎった。 「そこだけは・・・・そこだけは修平君以外ダメなのぉ!!!」 そう叫ぶとありすは体中にまとわりつくのうなぎを全て体から吹っ飛ばした。 そして刀を構える。 「全部まとめて・・・・うなぎの蒲焼にしてやるぅ!!!」 そう言うと周りのうなぎの頭部を一斉に斬り飛ばし始める。 その様子を見ながら宗司は修平を見ながら呟いた。 「修平・・・お前嬢ちゃんに何したんだ?」 「気にしないでください。」 修平はそう答えたがそれからしばらくすれ違う人々は修平を見るとひそひそと話すのだった。
|
|