〈ストーリーの主題〉 つまりはこの均しきシリーズにこめたメッセージです。
作品全体を通しては、均しきってことで、こう、全て同じようにならしたようなものをイメージしたわけですよ。 人は選択をするけれど、それがけしてこちらが良いから、とかこちらは嫌だからとかだけでは決められない。どちらを選んでも良いものや、どちらを選んでも嫌なものだってある。 それがまるで、全て同じようにならしたイメージなんですね。
環境や心境は自分にどうしようもないこともあるけれど、選択していくのは自分なんだ。選択をできるのは自分なんだ。 だからその選択をけしておそれずに挑んで欲しい。 逃げ出さずにしっかり前をみすえて欲しい。
そういうメッセージをこめた……つもりです(笑) 伝わったでしょうか?
○均しき望み この話では均実が古城に留まるか、隆中に戻るかという選択をしていますね。 関羽は均実にこう言っています。 「人は後悔しない道を選ぶ。それを果たせばいいのだと、わしは思う。」 これも一つの真理ですね。心の強い、関羽だからこその真理でもありますが。 人は後悔せずには生きられません。そんな人たちはどうすればいいんだっ? というような真理でもあります。 でも均実はこの関羽の言葉で、心が軽くなっていますよね? だからきっと、これはこれで正解の一つなのでしょう。
○均しき絆 均実がこの話で選択したものはいくつもあります。 日本とあちらの世界とどちらをとるか。 そのためにどうするのか。 徳操のいう相をどう受け取るのか。 などなど……
でもこの話では、均実は実は矛盾した選択をしているんですよね。 均実は最終的に二つのことを選んでいます。 亮を支えることと、歴史を変えてみせること。 均実は「均しきさだめ」で気付きましたが、歴史を変えたいと望むなら、仕官して亮より偉くなるよりももっと簡単な手段があったんですよね。 それがすなわち、亮を殺すこと。 歴史を変えてみせること=亮を殺すことであるなら、もう一つの選択である亮を支えることとは矛盾しているんですよね。 だから三作目の長い均実の苦悩に続くわけです。
○均しきさだめ 選択の結末のお話ですね。 ここでは均実が最後の最後で、自分には抗えないものによって環境が一気に変化してしまいます。つまりこれまで選んできた選択も、全て無意味に…… でも均実にはむりやり前を向いてもらいました。 日本には亮はいない。戦もない。だから「邦泉」として亮をささえるという選択肢は存在しない。 だから、「均実」として生きていこう。 「邦泉」という選択肢が忘れられなくても、逃げずに前を向いて。
それが自分なのだ、と。
ん〜ハッピーエンドにするつもりも、バッドエンドにするつもりも最初からなかったのですが、どうなったでしょうか? きっとこれがハッピーなのかバッドなのかは人の受け取り方次第なのだと思います。ですが、作者としてはこれがハッピーエンドだと感じていただければ、メッセージがちゃんと伝わったのだろうなと考えています。
【ほんとにほんとの最後のあとがき】 さて、均しきシリーズ。いかがだったでしょうか? 作者の暴走や、知識不足、いろんなものがごちゃまぜになったこの作品は、確かにまずいところもありまくると思います。 ツッコミどころもありまくり、そしてなにより長すぎる。 なのでほんと、読んでいただいた方には感謝を尽くしても尽くしきれません。
学生生活最後の作品になるであろう、この均しきシリーズ。
夏休みに始動したこの大型プロジェクト。
ときに病気にかかりつつ、
ときに全てを放り出したくなりつつ、
ときに完成した達成感や、感想に喜びつつ、
なんとかここまでたどりつきました。
ひとえに読んでくださったあなたのおかげです。 本当に、本当に、本当に……ありがとうございました。
奇伊都
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