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均しきさだめ 作者:奇伊都

第49回   あとがき1 キャラクター情報
【あとがき】
 うそ……終わっちゃった……
 本当にいま、呆然としています。
 この無駄に長い、規模の大きな話が……終わっちゃった。

 …………いつまでも呆然としているわけにはいきませんね。

 では恒例の感謝タイム。
 ここまで読んでいただきありがとうございました……
 ダメだ、気が抜けすぎて力が入らない。

 長かったですね……ほんとに。


 予告どおり、この均しきシリーズ最終話のあとがきには裏話などを載せておきたいと思います。
 ネタバレをしっかり含んでいるので、……ああ、もう好きなように読んでください。




〈キャラクター〉
 ここでは均しきシリーズにでてきたキャラクターについての裏話、設定などを載せていきます。

○辻本均実・つじもとひとみ
 主人公。女子にしては背が高い。基本冷静で観察力もあり、頭もいいのだが唯一自分のことに関しては考えがまわらない。日本での家庭環境のせいもあり、最初は亮に兄を重ねている。
 彼女のモデルは作者自身です。私も背が高いですからね。心境を書くときなど、彼女とがもっともシンクロしやすかったです(笑)
 もうすでに明かしていますが、均実の名前は亮の弟諸葛均より派生しています。


○相川純・あいかわじゅん(黄綬)
 均実の幼馴染。均実と同じく背は高い。しかし均実がさばさばしているのに対して、女の子っぽい性格をしている。頭はあまりよくないけれど、手先は器用。昔、『門』を通ることで日本にやってきた。三国志の時代での名前は黄綬で、黄承彦の娘。
 彼女のモデルは元クラスメートです。かわいい発想をしてくれる子のイメージなんですが、作者がそうではないのでちょっと四苦八苦した覚えが……。いや、いい子なんですけどね。
 彼女の月英という字は本当は違う(資料が残っていない)らしいのですが、作者が月英という字を気に入ったのでそのままつけました。だから彼女と侍女の陽凛の名前は、月と陽ということで切っても切れないような関係があるようにしています。

 彼女と最も関係のある裏話だと思うのでここで明かしますね。
 最後に植木鉢によって『門』が開き、あちらに行った鳥。あれは純が初めて『門』を見たときの鳥、またはその子孫という裏設定があったりしました。


○諸葛亮 孔明・しょかつりょう こうめい
 ヒーロー?(笑) 常に穏やかで争うことを好まないけれど、未来の安寧を導くためなら……という強い心の持ち主です。
 もう説明するまでもなく有名な方ですね。性格としては均実に結構似ているのですが、本質は違います。例えば二人とも声を荒げたりすることは滅多にありませんが、均実は冷静だからで、亮は温厚だからです。
 モデルは……彼に関しては黙秘で(笑) でもあまりモデルと性格も挙動も似てません。やっぱり三国志演義を読んで、私が持っている「諸葛亮孔明」のイメージが強かったのかもしれませんね。


○岡田圭樹・おかだけいき(蔡封)
 実は……っ! という位置の人。彼は季邦になった時点で記憶喪失なので、性格を最初に登場した時とは全然違うものにしました。なもんで最後、均実と話しているシーンではどちらの性格を使うべきか、すこし混乱していたり(笑)
 基本的に現代っ子の男の子ですね。均実と似た視点で物事を考えられるので、結構重宝しました。

 で、気付いたでしょうか? 彼の名前。
 均実は諸葛均の均から派生したのはさっきも言いましたよね? 純は、もともとの名前が綬なので糸偏だけ流用しています。
 つまり現代にでてきている人の名前は、『門』が開いたときに入れ替わることになる、三国志の世界の人物と関係してたりします。
 ということで彼の「圭樹」という名前……気付きました?
 彼は三国志の世界では「封」という名前になっています。
 そうです。「圭樹」から樹の左側を取っ払って縮めると、「封」になるんです。
 ふふふ、まぁ気付かれないだろうと思ったのですが、純ちゃんが季邦としての圭樹に初めて会った時、微妙な反応をするじゃないですか? そのときに気付かれてはいけないと思い、誤魔化すため均実は「季邦が劉封に似てる?」という考えを一時期持っています。
 名前が一緒だから、きっと読者はそれ以上深読みしてこないだろう、という苦し紛れの策でした(笑)


○関羽 雲長・かんう うんちょう
 保護欲の強い人です。筋を通そうといろいろ苦労してる苦労人でもありますね(笑)
 彼も有名な人ですねぇ。神様にまでなってますし。
 彼の失恋(?)は最初から決まっていました。でもねぇ、私関羽って結構好きなんですよ。だもんでただ失恋させるのはかわいそうだなぁと思いまして……ですね。
 均実、結局振るのに、かなり思わせぶりなことしてるでしょ(鬼畜)


 主要人物はこれだけかな?
 では思いつく限りの端役の人たちに♪


○悠円
 彼を忘れてはいけませんね。均実の忠実なる犬です(笑) 彼の成長は書いてて面白かったですねぇ。一人称がどんどん変わっていく子です。読み返してもらえれば分かりますが、「おいら」⇒「僕」⇒「私」になってます。いいなぁ、話の中で成長する子って。そのうち似たようなキャラクターを作り出すかもしれませんね。
 彼にはモデルはいませんが、イメージとしては私の飼っている犬です……やっぱり(笑)

 彼には後日談があります。
 均実の、つまり諸葛均の代理として仕事をしていた彼は、そのうちどんどん出世していきます。いくのですが……もちろんそれは代理としての仕事。諸葛均の名前で出す文書も多くなってくると、どうしても諸葛均が姿をだす必要があるのですが、均実はもう日本に帰っているし、本物の諸葛均はとっくの昔に亡くなっています。
 で、まぁごちゃごちゃとありまして、亮のはからいもあってなんとか乗り切ることはできるのですが、悠円は決断を迫られます。
 それは諸葛均の代理としての仕事をやめ、悠円自身が仕官をしないか、ということです。
 悠円は悩むのですが、そんなとき均実が置いていったジャージがでてきます。彼女はいつか戻ってくるかもしれない。そんな彼女の居場所を捨てたくない。
 悠円は自身の仕官をすることなく、生涯、諸葛均の代理として仕事をすることになるのでした。
 めでたし、めでたしってね。諸葛均は長水校尉という地位までいったという資料があったので、そこから想像が膨らんだ話でした。


○徐庶 元直・じょしょ げんちょく(単福)
 いい相談役ですね。徐庶は弟が均実と同い年ぐらいだ……ということにして、均実の兄代わりになってもらいました。剣が使えるというのは作者の創作です。

○石韜 広元・せきとう こうげん
 無口。で時々鋭いことをいう。

 徐庶と石韜に関しては、実を言うと彼らの昔話が本編中、当陽での逃亡の後、均実に彼ら二人が会いに行ったときに入るはずでした。
 しかし全カット(笑) 本来石韜を出した理由は、彼にその昔話をさせるためだったので、ほとんど彼の出番がなくなってしまいました……ご、ごめんっ広元!
 ということでここで語ってもらいましょう。

 仕事のために出て行った庶の姿が見えなくなってから、広元はゆっくり語りだした。
 事情があり、結果だけいうと庶と広元はその昔、人を殺した。そのとき運悪く捕まったのが広元。彼を牢から脱走させようとした庶は確かに成功するが、逆にとらえられてしまう。だが庶はとらえられてしまったときのことまで考え、手を前もって打っておいた。それが働いて庶は逃げ出せたのだが、その手があまりにも鮮やかで、彼の名前は売れてしまった。
 事情があったとはいえ、潁川にはもう住めなかった。
 徐庶という名前は、潁川にいた者ならば誰でも知っているほど有名だった。
 だから徐庶は単福と名前を変えて逃げ出した。それを追いかけていった広元と共に、各地を数年放浪。その後、隆中で古い知り合いであった司馬徽と再会。居を構え、とりあえずの落ち着ける場所を得、今に至る。
 悠円はそこまで聞いて、待ちきれなかったかのように口を挟んだ。
「それにしてもどうして元直先生の本名がわかったんでしょうか?」
 曹操からの書簡は徐庶を直接指名してきていたらしい。これで徐庶は偽名を使っていたことが劉備にばれたらしい。
 悠円の問いに、広元は一つの仮説を披露した。
 曹操は才のある者を大切にする。そういった噂も広く集めている。潁川というのは曹操の領土といってもいい位置にある。だからもしかすると単福という名前に変えたことまで、調べ上げられていたのかもしれない。
 そこまで調査は済んでいた。つまりそこまで徐庶は要注意人物としてみなされていた。
 だから……遅かれ早かれ、曹操はなんとかして徐庶を狙ってきただろう。
「そのために元直は私に、均実殿にこの話をしてくるように頼んできたんだ。」
 均実のほうを広元は見てそう言った。
「そのために……って」
「きっと均実殿は曹操から逃げるときに、母を連れて行けなかったことを悔いているだろうからと。」
 悠円の言葉に答えた広元を均実は目を見開いてみた。
 あの捕虜になった者たちが集められた帷幕の中で、確かに均実は庶の母に会っていた。そして……見捨てていった。
 息を小分けにして何度も吸い込んだが、均実は息苦しさが治らなかった。
 声が……でない。
「私も元直と曹操の下へ行く。」
 均実はその言葉に驚いたように息を吸った。
「私には彼を助ける義務がある。」
 そもそもあの時自分が捕まらなければ、徐庶は名を偽る必要も、名が売れることもなかったという。
 全ては昔、均実がこの世界にくる以前から始まっていたことなのだ。
 広元はそういって、均実に気にしないように言った。
 彼も庶と共に曹操の下へ行く。均実とはもう二度と話すことすらない場所へと。

 ……う〜ん、もともと無口の設定なので、やっぱりあまり話してないですね。
 このときは均実の声がでないので、余計会話もはずまないですから(必死の言い訳)


○劉備 玄徳・りゅうび げんとく   以下劉備麾下の人物は略
 基本、表情にださないので、感情が読めない人。彼の立場からすれば、簡単に読まれては困るでしょうが。
 彼はほんと個性豊かな将軍や参謀たちをもっていますね。簡雍や張飛に孫乾とか……

 あ、そうそう。
 これも裏話ですが、均実の二人の兄がもし『門』に入ったら……誰と入れ替わるでしょうか?
 答え、わかる人いるかなぁ? 均実の兄の名前は評司と芳人です。
 ……ちっちっちっぽーん! 時間切れ〜。正解の発表です。
 評司は実は関平。この人、一応登場してますよね。「均しき絆」のほうで。
 芳人は糜芳。彼は出てきていませんが、彼と兄弟の糜竺はでてきてます。
 つまり均実の兄弟は、『門』に入ったらどちらも劉備陣営の人間になるという、どうでもいい裏話でした(笑)


○曹操 孟徳・そうそう もうとく   以下曹操麾下の人物は略
 怖い人のイメージがあります。でも結構好き。目が鋭いので勘違いされやすい人でしょう。芸術をたしなみ、均実に香を送ったりと細やかな心遣いもできる人です。
 が、怖い人(笑)
 彼の配下にもいろいろいましたね。基本、「均しき望み」のほうで出ているので、もう結構記憶の片隅に追いやられていますが、楽しんで書いてた覚えがあります。

 曹操といえば、息子の曹丕。彼は三国志演義の記述どおりで、均実が許都を去った後進んでいたとすれば、当陽で均実と再開したころには奥さんがいます。そこらへんも書いたらおもしろかっただろうなぁ、と思うのですが、あのころ均実がいっぱいいっぱいだったもんで……。
 話の展開上、魏の話は均実が許都を脱出してから詳しく書くわけにはいかず(そんなことを、片田舎の隆中にいた均実が知ることができるわけがないので)結構カットしたストーリーは多いです。特にてこの原理≠ェどういう風にいかされたのかをかけなかったのは残念ですね。


○周瑜 公瑾・しゅうゆ こうきん
 呉の陣営の人って、あまり均実と関わっていないので特に書くことがないんですけどね。亮が尊敬のような感情を抱く、目標とする人です。三国志演義では彼らは仲が悪かったように書かれていたりするのですが、仲よかったんじゃないかなぁと思ったのでそういう関係にしました。

○甘夫人と糜夫人
 劉備の奥方達。「均しき望み」のほうでは、かなり生き生きとしてらっしゃいますね(笑)
 糜夫人は当陽で井戸に身を投げ亡くなるというのが、三国志演義内での逸話の一つなのですが、当陽ではそんなこと書いてる余裕なんてないと判断。均実が「人は一人では生きられない」と痛感するためのイベントの一つとして、彼女の死は早めてしまいました。結構好きなキャラだったんですけどね……。
 甘夫人は糜夫人の遺志を受け継ぎ、彼女の死後、天然ボケがなくなってしまっています。きっと彼女はしっかりしなくては、と思ったんでしょうねぇ。

○徽煉
 ごめんね、徽煉。私はこの均しきシリーズの中で、彼女がもっとも可哀想なキャラクターだと思っています。
 だってほんとは死ななかったんだもん。最後まで行き続けるキャラクターの一人だったのですが……殺しちゃいました。ストーリーの進み方からして、均実が衝撃をうけるために身近な死が必要なほど、徐康死亡から時間が経ちすぎていたために、やむを得ず。
 もともと均実をすんなりと夫人達のもとに連れていく役目のキャラクターだったので、もう当陽では言っちゃなんだけど無価値なキャラだったんだよね。
 ごめんなさい……。
 でも好きでした。彼女は。
 歳くってるのに薙刀を振り回すは、大の大人をぶちのめすは、関羽に敵わないと思われているは……彼女の活躍は書いてていつも楽しかったです。

○甘海
 諸葛家執事。すこし頭が固い。真面目なのだけれど、自分の常識の範囲内でのみ物事を認識しようとする。

 彼は常に旅をしていました。のでいろんなところを補ってもらいましたね。
 均実の安全を確保するために、徽煉につなぎをつけてもらったり。
 関羽に劉備の消息を伝えにいってもらったり。
 亮の作成していた地図の情報を集めてもらったり。
 諸葛瑾に均実のことを教えといてもらったり。
 矛盾がでてきそうなところを確実にフォローしてくれる、ありがぁい存在でした。

 甘海と徽煉の若いころの話も考えていましたよ。
 若いころから甘海は、亮の父親に仕えていました。で、徽煉とある事件で知り合いになり……。これは甘海の人生の後悔の一つなのですが、若き甘海は徽煉に、なんと恋をしてしまったのですっっ! 衝撃でしょ?
 でもこれまたいろいろあって、徽煉は違う人のところに嫁ぐことになりました。
 めでたしめでたし♪
 ……って、あれ? めでたくない?
 でも彼らはそれ以後も、いい友人のような関係なので結局めでたいんだと思うんだけどなぁ?

 まだ他にもいるけれど、これぐらいで勘弁してください(泣)


2に続く。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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