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青い空、君と輝いた夏 作者:一之瀬 芽衣

第7回   君との青い日記帳
 甲子園常連高と言われた海星高校。スターティングメンバーに入るのは難関。中嶋くん、宏伸はキャッチャーにはなれなかったがレフトでメンバーに選ばれた。

「宏伸やったね!!」
「ばーか!俺レフトだぞ。本当ならキャッチャーだったのにな」
「何言ってんの!レフトに入れただけでも立派でしょ!!」
「まぁな!!今年で最後だもんな」
「そうだね」

いつもの帰り道、いつもの会話、宏伸といるのがあたり前だった。

「でもさ!春の選抜は俺入れなかったじゃん。だから冷や冷やしたぜ」
「それは宏伸が足を痛めるからでしょ!まったく野球部がサッカーなんかして足痛めて試合に出れないなんてそんな話ありますか?」
「だからぁそれはな!あーもうそんなこと言ったら今日の晩飯抜き!!」
「はぁ?そんなのずるい!!」

私たちは家賃のこともあってか二人で宏伸の家に住んでいた。学校には何かあるといけないので完全許可を取って。もちろん恋人ではないからそんな関係になるはずもない。ただそばにいるのが当たり前になっていた。

「はい。これお守り!」
「え?」
「もうすぐ県大会やろ?これ神社で買うてきてん」
「あおい・・・ありがとう」

県大会が近づいたある日あおいがお守りをくれた。3つ。1つ目は私、2つ目は宏伸・・・

「あれ?これは?」
「それは卓大さんにやで。早よ元気になるように!!っていうても渡しにいかれへんのにこんなんしたら迷惑やったかな?」
「ううん。すっごく嬉しい。あおいありがとう。大好き!!」

3つ目は卓ちゃん。卓ちゃん私たちはもうすぐ県大会を迎えます。卓ちゃんも治療頑張ってくださいね。あおいも応援してるからね。

「お前また書いてんの?」
「うん。毎日書いてるよあれから」
「すげえなぁ。卓大へのラブレター」
「そんなんじゃないよ。ただ私の勝手な日記ですー!!」

私は卓ちゃんと別れてから毎日日記をつけていた。卓ちゃんが見たらきっとお前バカかよっていうくらい、いつも常に卓ちゃんに日記で話しかけていた。

「あ!?」
「ん?どうした?」
「あのね、この日記、県大会の決勝戦にもう5冊目に突入するよ!!」
「じゃ、その一番最初の日記には県大会優勝で飾らないとな!!」
「うん!!」

卓ちゃん次の日記帳は卓ちゃんの大好きな青い日記帳にしようかな。そしたら卓ちゃん読んだときに言ってくれるかな。あ、青い日記帳だって。私の胸にはあの懐かしい記憶が蘇ってきた。

「じゃあ2人にノートをあげましょうね」
「ボク、あおがいい」
「えーひろちゃんもあおがいい」
「ぼくがあお」
「ひろちゃんがあお」

結局お互い譲り合わなくて、喧嘩して、卓ちゃんが青のノート無理やり持って帰って。そして次の日うちに来てそのノートを渡してくれた。

 ひろおにあおののーとあげるとぼくがつかえないので、
これはいっしょにつかいましょう。こうかんにっきにしましょう。

汚い字で書かれて読めなかったけど、私は返事を書いた。

うん。ひろちゃんとたくちゃんのひみつのこうかんにっきにしましょう。

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Novel Editor