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Your Friends 作者:一之瀬 芽衣

最終回   大好きな友達☆☆
あの日から数日後に律に言った言葉。電話という顔も見ない手段で。次の日は自分がいった言葉で一日苦しんでいた。自分が自立するための手段だと切り捨てた大事な人。でも自分はそんなに強い人間じゃなかった。後悔しか残らないそのやり方は朝子よりも律を傷つけた。律を傷つける人は許せない。それが自分自身であっても。

「芽衣、聞いたよ」
「うん」
「芽衣が毎回遊びたくないって言ったことは、芽衣に合わせるって言ってた」

凛からの電話、私が昨日律に言った言葉の一つ一つの返事。毎回遊ぶのはもう嫌。私にも私の時間が欲しい。その答え。

「芽衣が律の所有物じゃないってことも、高校が大事だということもみんなわかったって言ってた」

取り返しのつかないことをしたのは自分。わかってほしいと思ったはずなのに、それは全部自分の気持ちの逆ばかり。試していたのかもしれない。でもその答えが律の当然の答えだった。だからこのままじゃいけない。私は律に電話した。

「・・・もしもし」
「・・・やっぱり形だけの友達は嫌や」
「・・・・」
「意味わかっとう?」
「・・・もう友達やめるってことやろ?」
「ごめん、その逆」
「へ?」

泣きながら話す彼女の声がここまで苦しめたと象徴していた。ごめんねごめんね。私は素直じゃないんだ。多分好きになればなるほどずっと素直じゃないんだと思う。だから・・・お願い私のこと素直じゃないやつだって軽く考えてほしいな。

「やっぱ芽衣はうちから離れられへんねんや!!」

律は変わり者かもしれない。いや変わり者!!でも律やみんながいてくれたから今の私がいる。もう大事な人を追い詰めたりはしない!!絶対に。

 数日間、律と会わない日が続いた。でもそれは決して悪い意味じゃなくて、律の部活が忙しくなったからだった。そして私と凛は一緒に内緒で律の家に行くことにした。帰っていなかったので家の前で待っていた。

「え?!」
「よ!!」
「え?何しとん?」

制服姿で帰ってきた律は私たちの姿をみて少し目がウルウルしていた。

「凛がエキスポ行ったからそのお土産やって」
「え?あ、また今度もらうわ」
「は?」
「いやまた今度」
「何言うとんよ!!せっかく持ってきたのに!!」
「いや・・・」

凛の押しに負けて結局受け取った。でも律にしてみればまた会う口実ができるだったらしい。

「ほんまにバカや!」
「バカやもんなー!」

私と凛は顔を見合わせて言った。ま、今分かったことじゃないし、一番のバカは律だけど。

「律に会いたいから会いに来ただけやし」

律の思いと私たちの思いは一緒。部活でも私たちを思ってくれていたら私たちも同じように律を思っている。だから本当に今素直になれた。

「友達があんたらでほんまによかった」

その言葉そっくりそのままお返しします。

 律は演劇部だった。今日はその大会。そして、私は唯と内緒で会場に向かっていた。でも律の演劇の時間には間に合わなかった。

「何でおるん?」

律と会うことが出来た。会って最初に言う言葉がそれかよ。と内心思ったりもしたが『律に会いたいから会いに来たんだよ』口には出さなかったけどそう言いたかった。でも律には迷惑だったのかもしれない。律は部長だったのですぐどこかへ行ってしまった。

「あたしが思ってるだけでみんなは別にあたしのことなんとも思ってないんやろな」
「そんなんやったら真剣に話聞いてないよ!!」

唯と2人で話していた。私はなんで少しのことですぐ不安になってしまうのだろう。

「うちは芽衣のこと好きやで」

唯に言われてすごく嬉しかった。たとえ一人よがりでも自分が好きならそれでいい。そう思えるようになってきた。ただなんだろう。私がいることが負担になるのだけは嫌だった。律はすごくすごくいい子だからもしかしたら無理に一緒にいさせているのなら嫌だと思った。電話が鳴った。律からだった。もう解放してあげようと思った。最初は劇の話をしていた。でも・・・

「解放してあげる私から・・・」
「何言っとんねん!!うちはみんながおらんなんて考えられへん」

でもそれは私が含まれているわけじゃない。だって私が高校の友達と遊ぶって言っても何も言ってくれないから・・・。それは私が独占欲の強い人間だと初めて気づいた瞬間だった。

「・・・知らんやろ、うちらが芽衣から高校の友達の名前聞くのどれだけ嫌かなんて・・・・」
「そんなん!だったら・・・」
「芽衣が困ると思ったから言わんかったけどな」

私のことを考えてくれていたんだ。私って人の気持ちが全然わからないなと思った。

「うちは確かに自分にとってどうでもいい人には平等にする!でもあんたらは違う!!高校の友達には悪いけどうち高校の友達は誰一人必要やって思ってない!!」
「律・・・」
「今日来てくれたとき泣きそうに嬉しかったよ」

そう言ってくれた。私のほうが嬉しかったよ。もっと素直になることを誓います。

あれからいろいろあった。もう修復不可能じゃないかと思うことも度々あった。でも今も彼女たちはそばにいてくれる。何かあって電話しようかなメールしようかな。って思うと不思議と向こうもそう思ってくれていたり。恋愛も大事かもしれない。でも私は今は友情が一番大事!この気持ちが変わっても友情はずっと、彼女たちはずっと大事。私の親友。


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Novel Editor