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Your Friends 作者:一之瀬 芽衣

第3回   芝居
今日から新学期、それぞれ学校がバラバラだったが午前中までだったので律と唯と律の家で集まった。学校にいるのは辛かった。だから駅で凛と会ったときは肩の荷、不安が全部消えた。嬉しかった。こんなに嬉しいのは初めてだった。でも今の自分の状況のまま彼女たちと会うのはだめだ、そう思った私はある言葉を胸に秘めていた。自分を軽蔑するであろう言葉を・・・。



「実はさぁあたし、2人のこと少し信じられへんねん」

律とは普通に戻れていた。でも軽蔑しただろう。あんなにむきになって私をかばおうとしてくれていたことを私が信用していないと言ったのだから。絶対これで2人は私を嫌いになったであろう。そう確信した。でも律が発した言葉は私の想像の間逆だった。

「うちは芽衣を信じてる。だから芽衣もうちを信じてや」
「でもあたしの中にはみんなを信じれないもう一人のあたしがいるんよ」
「だったらうちを信じられんもう一人の芽衣をうちが殺すわ」

耳を疑いたくなるようなことばかり律は言った。でもどんなことを言っても変わらない私の意志にとうとう律は言った。

「うちな芽衣のこと、ほんまは信じてへんねん。みんなのことも半信半疑やねん」

私はその言葉が耐えられず目に涙を浮かべてしまった。律は芝居をしていてそう言ったらしいが私には絶えられなかった。そう律に伝えた。

「やっぱ信じとうやん。涙を流すってことは信じてるってことやん」

笑ってそう言った。正直驚いた。あんなにひどいことを言ったのにまだ私のことを信じてるなんて・・・。お人よしにもほどがあった。友達だからってそこまで出来るなんて。凛も黙って聞いていたけど律がお芝居だってちゃんとわかっていたみたいだった。

「ごめん、また傷つけて、あれお芝居やった」

私はそう言った。2人は分かっていたかのように笑った。私は自分に問いかけた。どうしてこんな友達を持っているのだろうと。朝子があのとき言った気持ち、言葉を聞いて私は朝子のことを何もわかっていなかった。
「てか普通態度でわかるやろ?」

返す言葉もなかった。そんな言葉が返ってくるなんて全く思いもよらなかった。朝子は結局私のことなんてどうでもよかったんだ。

「ほんまあたし、あほやね、あほあほあほあほ・・・」
「あほじゃないって」
「あほやって」
「あほちゃうよ」
「あほ!」
「そんなあほがうちは好きや」

律、あなたはどうしてそんなに優しいんですか?私はその後、帰り道で発作を起こして倒れた。こんな自分が惨めで今度こそ嫌われたって思った。でも落ち着いてお母さんが律に電話をしてくれたとき律は泣いていたらしい。私からもう一度電話を掛けると律が嬉しそうに出てくれた。自信がなかった自分を守ってくれる人がいる。こんな私でも全力でぶつかってくれる人が好きだって言ってくれる人がいる。こんなに幸せでいいのかな私。そういえばきっとそう誰もが答えてくれる、そんな気がした。

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Novel Editor