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Your Friends 作者:一之瀬 芽衣

第1回   神様がくれたかけがえのない贈り物
あなたたちに出会ってもう何年経つのかな。
最初は全然このメンバーで仲良くなるなんて思ってもみなかった。
私は今、胸を張っていえるよ。あなたたちに会えてよかったって心から思う。
あのときは私、まだ幼かったんだよね。何もわかってなかった。
でもそんな、そんな私を一生懸命変えてくれた。
いっぱい辛いことも何度も離れようとしたこともあった。
もし私の人生で一番の贈り物って言われたら私、間違いなくあなたたちを思うな。
ありがとう私の大事な親友たちへ。いつまでもそばにいてください。
神様がくれたかけがえのない贈り物




私は中学3年生のとき、大好きな友達がいた。その子の家は両親が共働きで夜帰りが遅く、そして幼い妹と2人だったので私は毎日のようにその子の家に遊びに行ってた。親の反対も押し切って夜遅くまで毎日のように彼女の家に行っていた。

「今日来れる?」

そんな言葉を聞くとつい断れない。もともと嫌なことも断ることが出来る人間じゃなかったけど、彼女に誘われると頼られているような気がしてすごく嬉しかった。私はすごく彼女が好きだった。恋愛感情じゃなくて一番の親友だって思ってた。いろいろ複雑なことに巻き込まれたりもしたけど、やっぱりそれでも彼女をすごく大事に思っていた。

中学を卒業して彼女に会わなくなったが、それでも会いたいなと思っていた。そんな夏のある日、たまたま仲よかったメンバーで遊んだ。そこに彼女はいなかったけど、私はそこで彼女の恐るべき姿を知った。そして、ここからが友達との戦いの日々だった。

「芽衣・・・言いにくいんやけどあの子、付き合ってんねんよ。彼と」
「え?だって振られたんちゃん?」

彼女は好きな子がいた。そして告白するか考えていると相談を何度も受けた。いざ告白するにもどうやって呼び出していいのかわからなくて。だから私が男の子に電話をかけて呼んでもらうように頼んだり、うわさになりたくないからと私が誰かに告白して別のうわさを作ればいいかなんて考えたりしていた。彼女は結局電話で告白した。返事はNOだと聞いていた。でも・・・彼女は私にだけ黙って付き合っていた。これが最初の嘘。

「いやぁ芽衣に話したらあかんと思ったらしくて。一回振られたんやけど彼から告白してきたらしい」

そうやって私に言ったのは律。彼女と仲がよかった一人。私もまぁ話はしていたが中学の頃は一緒に遊んだりするような関係じゃなかった。律に言われた言葉は私の胸を貫いた。私はそのとき、正直、律にムカついた。どうしてあなたが知って私が知らないのと。

「記憶喪失も嘘・・・やったんよ」

記憶喪失。私は中学3年のある日、彼女から一通の手紙をもらった。記憶喪失で何もわからないと。私は信じたくなかった。でも彼女が言うことに間違いはないって絶対思った。だからそのときは特にいつもより遅い時間まで彼女の家に行き、いろんな話をして、そして・・・記憶が戻ったと聞いたときはとても嬉しかった。これが2つ目の嘘。

「芽衣、大丈夫?」

私とこの中で3年生、唯一同じクラスだった凛が私をなだめてくれた。凛はいつもそんなに干渉しているって感じじゃなかったけれど3年生の後半はほとんど毎日遊んでいた。そして唯と理穂。ここには5人集まっていた。ただ真実を知らなかったのは私だけ。でもどんなに彼女のすべてを明かされても私はまだ心の中で彼女、朝子を友達と思っていた。でもよく思えない自分もいて心の中で葛藤していて両方で泣いた。

「なぁ、朝子に言いにいかへん?」
「・・・・」

私は朝子を傷つけたくなかったし、もし仮に全てを話せば後で後悔するようなそんな気がした。

「・・・うちな、ずっと思ってたんよ。でも芽衣に話して、芽衣が泣いて・・・うちは別に自分がどんな目にあっても怒らんよ。でもな、うちの、自分の大好きなもん傷つけられて許されん!!」

律が私にこう言ってくれた。彼女は毎日遊ぶような仲になっていたがそこまで自分を思ってくれているなんて私は夢にも思わなかった。でもそれを聞いてすごく嬉しかったし、怒りもさっぱり消えて涙が余計に溢れた。

「うちもやっぱり芽衣をここまでしたのはちょっといいことじゃないと思う」

普段そんな心情的なことに干渉しない凛までもがそう言って私の気持ちをわかってくれた。
唯もそう。痛いくらいに気持ち分かってくれていた。

「やっぱりこのままじゃよくないと思うよ」
理穂にいたっては小学校からの友達だった。私は阪神大震災から一度だけ過呼吸になりかけたことがあった。だがそれは一時的だと思っていたが中学に入学し、初めての中間テストを機に頻繁に起こった。中学校は好きじゃなかった。理穂は私のその症状のことを一番わかってくれていて、そしていつもその事を心配してくれていた。

「あんた体が一番大切なんやからね!!」

私はこのとき幸せだと思った。こんなにも私を思ってくれている人がいるなんて思わなかったから。そして大好きな友達に裏切られた分、こんなに素敵な人たちにめぐり合わせてくれたことを神様に感謝したかった。そして私は明日、朝子と話すことになった。でも言いたいことは全部言うつもり。みんなが私にくれた勇気、絶対無駄にしたくないから。

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Novel Editor