ジャングルへと続く密林の外。 そこには野営をするポタンとクレストの姿があった。 ランドタートルに敗れ、二人はマーキングを頼り、ジャングルから抜け出してきたのだ。 「………」 焚き火を囲み、二人は黙々と野草のシチューを啜る。 「…………」 言葉はない。二人は数刻ほど、この調子だった。 「……クレスト」 「………ん? っと」 ポタンはオレンジ色の果実を投げ渡す。 「頭を働かせるんだから糖分、摂らなきゃ駄目だ。明日またリベンジするんだろ?」 「……ああ、そうだな。明日のリベンジに向けて、対策会議をしなきゃな!」 意を決したかのように、オレンジ色の果実を齧るクレスト。 そんなクレストの視線が、泳いでいたのにポタンは気づいていた。 「んで、ランドタートルだけど……」 「ああ、困ったな。あそこまで硬くて素早い、というのは予想だにしていなかった……」 ランドタートルは甲羅だけではなく皮膚も硬い。クレストは攻撃した時の、あの痺れたような手の痛みを思い出していた。 「でも、倒さなきゃレェンダは手に入らないんだよね……困ったなぁ」 言ってから、ポタンは自分の発言の違和感に気づく。 「ん……?」 「どうした?」 「いやさ、必ずしも倒さなきゃいけない訳じゃないよね?」 ポタンの言葉に、クレストは首を傾げた。 「えーと……どういうことだ?」 「レェンダはランドタートルの背中に生えてるんだよね? それなら、別にランドタートルを倒さなくてもレェンダは手に入れられるんじゃないかな?」 ポタンは続ける。 「ランドタートルが寝てるとこを奇襲してさ、背中に生えてるレェンダだけ削り取ってもらってくるって寸法だよ」 ポタンの提案に、クレストは顎に手を当てて思案する。 「うーん、ランドタートルがいつ寝るのかも判らない。寝ているとしたら今、真夜中だろうが……あの強さだ、害意のある者が近づいてくると起きるくらいの事はしてきそうだぞ。しかも夜は俺達にとって不利だ。真っ暗闇の中で活動するなんて、無事にジャングルから帰還できるかすら怪しい」 「でも、それでもただ普通にランドタートルを倒してレェンダを手に入れるよりは、確率が高いんじゃないかな?」 「そうかも知れないが……目的はレェンダを手に入れるだけじゃないんだぞ。俺達二人、どちらも欠ける事なく、無事に帰還するのだって、大事な目的なんだ……うん」 クレストの言葉には、どこか迷いがあった。 「そっか。それじゃ、決行は翌日の昼にして、クレストがランドタートルを相手している間に、僕がランドタートルの背中に張り付いて、レェンダをいただくってのはどう?」 「悪くないが……ポタン、君はレェンダを実際には見てないだろう? 大丈夫か?」 ポタンはクレストの問いに首を縦に振った。 「大丈夫、甲羅に生えてる赤苔、でしょ? 間違えようがないと思うよ」 「それもそうか……よし、それでいくか!」 自分にも言い聞かせるような、クレストの宣言。 「うんっ!」 ポタンもそれに続く。 「そうと決まれば、今日は早く寝て明日に備えよう。それと、一応レェンダの外見を詳しく話しておくな」 寝袋の中で、クレストのレェンダ講義が始まる。 ポタンはその講義を聴きながら、何故クレストはこれほどまでにレェンダについて知っているか疑問に思ったが、静かにクレストの言葉に耳を傾けるのだった。
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