ちらっとチョコレートを数えてみる。 「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ…………47個」 (ぎゃー。あり得ないですけど!!) 「今、俺ちょっと本気でお前の事嫌いになりそうになった」  ちょっとだけ目頭が熱くなる。  具体的な数字を目の当たりにするんじゃなかった。  俺が3度生まれ変わってももらえないかもしれない。  うっうっ。かわいそうな俺…。
   とにかくヒマな俺達は、ベットの上でプロレスをする事にした。 「ギブアップ」したら負けの完全デスマッチ。  最初に両手を組んでグググっと渾身の力で押してみるが、俺よりも20センチ以上も高い雅人は余裕の笑みを浮かべたままビクともしない。 「祐紀、まさか全力じゃないよな」 「う……っるさ……いッ」  顔を真っ赤にして押し続けていても、一向にラチがあかない。  雅人はそんな俺の表情を鬼畜な笑みを浮かべて楽しんでいるようだ。
   こうなったら親友といえど奥の手。  ガツン!!!  と、思い切り頭突きをお見舞いしてやった。 「へっへっへーん、バ〜カ、バ〜カ。油断してんじゃねーよ」  頭を押さえて顔をしかめている雅人にアッカンベーと舌を出すと、 俺はビシッと勝利のVサインをする。  頭を押さえたままの雅人がギロリ、とそんな俺を睨み付けた。  や、やばい、本気で怒ってるかも。
 
  「祐紀…調子にのり過ぎたようだな」  ぐるん、と突然天井が見えた。  突然グイっとベットに押し倒され、仰向けにされるとイキナリ口を塞がれる。 「…ッ」   ぎゃ〜! 俺の初キッスが!  ジタバタもがく手を一つに括り上げ、雅人は俺の口の端をペロリと嘗めた。 「やっぱり。勝手に盗み食いしたな」 「うっ…」  痛い所をつかれて、俺は反論の言葉を失った。 「47個なんて少ない数なはずない」  雅人はサラリと凄い事を言う。 「…さて。悪い子にはお仕置きしてやらないとな」 「お仕置きって…やらしい声で変な単語言うなって」 「やらしい? 俺の声と言葉で祐紀が興奮するって事か?」 「ん…っ」  雅人は俺の耳朶の中に舌を這わすと、掠れた低い声でそう囁く。  やばいっ。直下型地震みたいに腰にクル。
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