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F I N A L  F A N T A S Y  ] 作者:FLAIR

第5回   ジレンマの航路 《T》
<ボルト=キーリカ>

【ユウナ】
「わたくし 召喚士ユウナと申します  ビサイド寺院から まいりました

【妻】
「あっ 召喚士様!

ユウナ
「ほかに召喚士がいなければ わたくしに異界送りをさせてください

【夫】
「おお ありがたい!

【妻】
「もう 身内が魔物になるのは 覚悟しておりました……

ユウナ
「どちらへ行けばいいですか?

<ユウナ、誘導され、先へ進む>

ワッカ
「オレたちは町の様子を見てくる 人手がいるだろうからな

ティーダ
「え?

 

【住民A】
「あんた? やっぱり生きてたのね?
「あっ!
「……なんだい 店はやってないよ!

 

【男】
「はあ……酒場は閉まっているよ 酒でも飲まないとやりきれない

 

レッティ
「ティーダさん 足元注意! 危ないから この先まだダメですよ

 

 

ティーダ
「『異界送り』ってなに? なにが始まるのさ?

ルールー
「ふぅっ
「あんた 忘れたんじゃなくて 本当に知らないって感じね
「死者は迷うのよ
「死んでしまったのが悲しすぎて 自分の死を認めようとしない
「もっと生きていたいと願いながら まだ生きている人間をうらやむ
「死者は生きている人間がうらやましい
「その気持ちは やがてねたみや悲しみに変わる
「そういう死者の心がスピラにとどまると 命を憎む魔物となって人を襲う
「そんなの悲しいでしょう?
「だから『異界送り』をして 迷える死者を眠らせてあげるのよ

ティーダ
「それも召喚士の仕事なのか?

<ルールー、うなづく>

 

<ユウナの異界送りが始まる。→村の民はむせび泣きながら、それを見守る。→異界送り、終了>

 

ティーダ
「……召喚士って大変だな

ルールー
「ユウナはそれを選んだの  なにもかも 覚悟の上のこと
「私たちにできるのは ユウナを見守ることだけよ
「最後の時までね

ティーダ
「……最後の時?
「最後って なに!?

<住民らが驚いて向く>

ルールー
「『シン』を倒す時まで

<と言ってルールー、ユウナのもとへ>

ユウナ
「わたし うまくできたかな?

ルールー
「初めてにしては上出来
「きっとみんな異界に行けたわ でも 次は泣かないようにね

【ユウナ】
「うんっ……

 

次なんて なければいい……

 

『シン』に殺された人たち……

『異界送り』をするユウナ……

 

それを見守る人たち……

 

不思議で……少し恐ろしい儀式

 

もう見たくないと思った

 

 

<翌朝>

<宿屋>

【子供】
「おっきくなったら ブリッツボールの選手になるんだ!

 

【老人】
「こないなっても ここはわしの故郷での  今さら よそに移り住む気はねぇだ

 

<ティーダ、宿屋を出ると>

ダット
「やっと起きたっすか〜!? ワッカさんが待ってるっすよ〜!

 

【女性】
「悪い夢だと思いたかったの
「これは夢で 目がさめたら全部もとどおりなんだ……って
「でも 朝になってもなにも変わってなかった……

 

【ティーダ】
「っ?

<ティーダ、少女の足場が崩れかかっている事に気付く>

【ティーダ】
「わっ!

<ティーダ、少女を抱え、脱出する。→小さな家が崩壊。→少女、お辞儀をして、去る>

 

【住民B】
「こうやって修理しても また『シン』が来たら おしまいだ
「こわされては直し 直してはこわされ……その繰り返しさ

 

【住民C】
「ユウナ様が来てくれたおかげで みな安らかに異界に行けたわい
「ありがたいこった エボンのたまものじゃの

 

<酒場>

【住民D】
「料理なんか出さなくていいから ここにいたいんだ
「沖を見るのが 怖くて怖くて…… ヤツの影が見えるような気がするんだ

 

【マスター】
「妹を助けてくれたのはあなたね?
「あの宝箱は ほんのお礼よ  えんりょしないで受けとってね

 

【少女】
「助けてくれて ありがとう  おうち こわれちゃったけど……
「おねえちゃがいるから わたし 元気だもんね!

 

 

ワッカ
「お 来たか
「ビサイド・オーラカ集合!
「これから寺院へ行く ビサイド・オーラカ必勝祈願だ!

【オーラカ一同】
「おうっ!

ワッカ
「キーリカの寺院は 大召喚士のオハランド様が暮らしていたところだ
「オハランド様は 若いころは ブリッツボールの名選手だったんだ

ティーダ
「ワッカ

ワッカ
「ん?

ティーダ
「必勝祈願はいいんだけどさ なんか……いいのかな

ワッカ
「ブリッツで浮かれたら マズイってか?

ティーダ
「こんな時だしさ

ワッカ
「こんな時だからこそ だ
「選手は力の限りをつくして戦う 観客はひいきのチームを応援する
「やなこと つらいこと 試合中だけは忘れられる
「それが 長い間このスピラでブリッツがなくなっていない理由だ
「オレはそう思うな

ティーダ
「そっかなあ……

ワッカ
「いい試合して カッ飛ばそーぜ
「なっ!

ティーダ
「おう!

ワッカ
「寺院は森を越えたところだ  んでは 行くぞ!

 

【ビースト・メンバーA】
「みんな大会を楽しみにしていたのに 『シン』のせいで……くそっ!
「オレたち選手も 練習なんかやってる場合じゃない

 

【ビースト・メンバーB】
「オレたちキーリカ・ビーストが優勝すれば 島のみんなを はげませる
「それを思えば 練習にも気合が入るってもんだ

 

【住民E】
「毒気のせいか なんにも思い出せねぇ  自分の名前も 住んでた家もな
「ここに座ってれば 誰かが気づいて助けてくれると思ったが……
「だーれも相手にしてくれねえよ  みんな自分のことで せいいっぱいらしい

 

 

<キーリカの森>

ワッカ
「どうした?

ルールー
「ユウナがね あんたもいっしょにってさ

ユウナ
「あのさ…… ガード お願いしちゃダメかな

ワッカ
「なんだそりゃ? 冗談よせよ ユウナ
「こいつはブリッツはできるけど 魔物との戦いはシロウトだぞ

ユウナ
「ガードじゃなくてもいいの そばにいてくれれば……

【ワッカ】
「えっ?

<ワッカ、大袈裟に驚く>

ティーダ
「なにそれ? どゆこと?

ユウナ
「それは……えっと……

ルールー
「どうせみんな寺院に行くんだから 話は あとでいいでしょ?

ユウナ
「うんっ……
「ごめんね 突然

ティーダ
「ごめんって言われても…… なんだよ よくわからないな

ユウナ
「……ごめんなさい

 

<戦闘:バルサム>

ルールー
「!
「キマリ! 『竜剣』を ためしてみたら?

ティーダ
「なんだよ 『りゅうけん』って

ルールー
「本来は 敵を弱らせて自分を回復するワケ
「でもロンゾ族が使えば 魔物のワザを自分のものにできる場合もある

ティーダ
「おっ すごそう!

<キマリ、『竜剣』を使用して、“タネ大砲”を取得する>

<バルサムを撃破>

<戦闘終了>

 

ガッタ
「全体 止まれ!

ルッツ
「あの魔物は この森の主『オチュー』
「討伐隊の手にも負えん凶暴なやつだ ここは無駄な戦いを避けろ

 

ガッタ
「警戒中 警戒中

 

ルッツ
「オチューの強さは ほかの魔物とケタちがいだ
「討伐隊が束になっても倒せるか あやしいな

 

<戦闘:はぐれオチュー>

<はぐれオチューを撃破>

<戦闘終了>

ガッタ
「すげー!

ルッツ
「やるな……あんたら さすが召喚士とガードだ

ガッタ
「先輩! 負けちゃいられませんね

ルッツ
「もちろん 負けないさ

ガッタ
「来たれ〜若人〜討伐隊〜♪
「『シン』を倒せ〜 かわいいあの子もふりむくぞ〜♪

 

ルッツ
「ワッカに いい思いをさせてやってくれ たのむぞ

<ティーダ、『エリクサー』をもらう>

 

ガッタ
「あんた 大会終わったら討伐隊に入りなよ 歓迎するぞ

 

【討伐隊メンバー】
「はあ……はあ…… 練習中! 練習中!

 

【隊長A】
「討伐隊は来るべき大作戦にむけて 練習中だ  『シンのコケラ』を目撃したら 報告たのむ
「【キーリカ寺院】へのお参りか? 寺院へは そこのケモノ道を抜けていけ
「森には毒を持つ魔物も現れる 油断は禁物だぞ!

<ティーダ、『万能薬』をもらう>

 

【隊長A】
「見たぞっ! よく『オチュー』を倒せたな 討伐隊スカウトしたいぐらいだ
「勝利をたたえて これを進呈しよう

<ティーダ、『バファイシールド』をもらう>

 

【隊長B】
「ガードのみなさん ご苦労さまです!
「『シン』に襲撃された地域では 魔物の数が増えるようです
「道中 お気をつけて

<ティーダ、『ハイポーション』をもらう>

 

 

<キーリカ寺院・参道>

ワッカ
「ふふふ……
「この石段はな ゆいしょ正しき石段なのだ
「オハランド様が現役時代に ここでトレーニングしたのだ!

オーラカ一同
「ふふふ……

<オーラカ一同、屈伸をしてティーダを意味ありげに見ている>

ティーダ
「は……
「勝負ッスね
「オレに勝てると思ってんの?

オーラカ一同
「ふふふ……

ワッカ
「ユウナ たのむ

 

ユウナ
「よぉい!

<ユウナ、手をあげるが>

【ユウナ】
「ふっ ふふっ

<先に階段を駆け上がる>

ワッカ
「あ!? ずっこい!?

<ワッカ、オーラカのメンバー、続いて階段を駆け上がる>

 

ルールー
「いつまでも子供ね

 

<すると、オーラカのメンバーが慌てて逆走してくる>

ダット
「まずいっすー!!

ワッカ
「早く! 手伝え! 『シンのコケラ』だ!

<戦闘:『シンのコケラ:グノウ』&グノウの触手A&B>

<『シンのコケラ:グノウ』&グノウの触手A&Bを撃破>

<戦闘終了>

ティーダ
「はぁ はぁ はぁー…… はー
「きっつぅ〜

ワッカ
「ははは……悪かった ついおまえを呼んじまった

ティーダ
「ガードは大変ッスね

ワッカ
「おまえバトルのほうも 才能あるみたいだよな

ティーダ
「やめてよ
「あのさ 『シンのコケラ』ってなに?

ルールー
「『シン』の体から はがれて 置き去りにされた魔物のこと

ワッカ
「放っておくと『シン』が戻ってくる さっさと退治しちまわないと

 

 

バトルの才能があるかもって

ワッカに言われて……

 

このとき ユウナのガードになることを

頭のスミで考え始めたような気がする

 

 

ワッカ
「そういや……あれだ ザナルカンドには魔物はいるのか?

ティーダ
「あまりいない たまに出ると大事件だな
「ザナルカンドのことなんて 信じてないくせにさ

ワッカ
「……考えたんだけどよ
「『シン』にやられた人間は 死ぬんじゃなくて……
「『シン』の魔力で1000年前だか後だかの世界に運ばれるのかなって
「んで ある日突然ひょっこり帰って来たりしてさ……

ルールー
「いつもながら感心するわね

【ワッカ】
「あん?

ルールー
「自分をだます方法を 次から次へと考えつくから感心するって言ったの
「『シン』はチャップをどこにも運ばなかった
「彼を押しつぶして ジョゼの海岸に置き去りにした
「あんたの弟は……二度と帰ってこない
「それから これも言っておくわ
「あんたがどんなに望んでも 誰もチャップの代わりにはなれない
「ジェクト様の代わりもどこにもいないし……
「もちろんブラスカ様の代わりだって どこにもいない
「そんな考え方……悲しくなるだけよ

<ルールー、先へ行く>

ワッカ
「オレだって 弟の代わりなんて できねぇんだよ……
「まあ いろいろあってな  気にすんな

 

ワッカとルールーと

チャップってヤツの間に……

 

そう オレの知らない

複雑な事情があったんだなって……

 

それくらいはわかった

でも そういう話題は苦手だった

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Novel Editor