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F I N A L  F A N T A S Y  ] 作者:FLAIR

第23回   『シン』との最終決戦 《T》
ティーダ
「なあ もっと いろいろあったよな?
「そういえば あの時とか…… 誰か なんかない?

ユウナ
「あのね

ティーダ
「うお なに?

ユウナ
「思い出話は……
「もう……
「おしまい

<一行、武器を手に取る>

ユウナ
「行こう

 

<フリーウェイ跡>

ワッカ
「異界……みたいだな

アーロン
「似たようなものだ

 

 

<エボン=ドーム>

【僧官】
「長き旅路を歩む者よ 名乗りなさい

ユウナ
「召喚士ユウナです ビサイドより参りました

【僧官】
「顔を……そなたが歩いてきた道を見せなさい
「よろしい
「大いに はげんだようだな
「ユウナレスカ様も そなたを歓迎するであろう
「ガード衆ともども ユウナレスカ様のみもとに向かうがよい

ユウナ
「……はい

 

<内部>

【ガード】
「スピラを救うためならば わたしの命など喜んで捧げましょう
「ガードとして これほど名誉なことはありません
「ですから ヨンクン様…… かならずや『シン』を倒してください

 

リュック
「ナニ? 今のナニ〜?

アーロン
「かつて ここを訪れた者だ

ルールー
「ヨンクン様って言っていたわね……
「あの人 大召喚士様のガード!?

アーロン
「幻光虫に満ちたこのドームは巨大なスフィアも同然だ
「想いをとどめて残す いつまでもな……

 

【少年】
「いやだ! やだよ かあさま! かあさまが祈り子になるなんて!

【母親】
「こうするしかないの
「わたしを召喚して 『シン』を倒しなさい
「そうすれば みんなあなたを受け入れてくれる

【少年】
「みんななんて どうでもいいよ!
「かあさまがいてくれたら なんにもいらないよ!

【母親】
「わたしには もう時間がないのよ……

 

ワッカ
「おい 今のってよ……

リュック
「シーモア?

 

ティーダ
「あっ……

 

ジェクト
「なあ ブラスカ
「やめてもいいんだぞ

ブラスカ
「気持ちだけ受け取っておこう

ジェクト
「……わーったよ もう言わねえよ

アーロン
「いや 俺は何度でも言います!
「ブラスカ様 帰りましょう! あなたが死ぬのは……いやだ……

ブラスカ
「君も 覚悟していたはずじゃないか

アーロン
「あの時は……どうかしていました

ブラスカ
「はっはは
「私のために悲しんでくれるのはうれしいが……
「私は悲しみを消しに行くのだ
「『シン』を倒し スピラをおおう悲しみを消しにね
「わかってくれ アーロン

 

<回廊>

ジェクト
「もしかして この先 試練か?

ブラスカ
「たぶんな

ジェクト
「かったりぃなあ…… ここまで来て またかよ
「オレはまた 歓迎の花火でもバンバン上がるかと思ってたぜ

ブラスカ
「私が『シン』を倒したら そうしてもらえばいいさ

 

 

<エボン=ドーム寺院・試練の間を攻略>

 

 

<試練の間>

<戦闘:魔天のガーディアン>

<魔天のガーディアンを撃破>

<戦闘終了>

アーロン
「ユウナ……着いたぞ

ユウナ
「究極召喚……ですね

アーロン
「行け

ユウナ
「はい

<ユウナ、一人で下へ降りる>

 

ジェクト
「ああん? 究極召喚がねえだぁ!?

 

<ユウナ、戻って来る>

ユウナ
「アーロンさん!
「みんな 来て!

 

<祈り子の間>

ユウナ
「これ 祈り子様じゃない  ただの石像なの

<すると、老人が現れる>

【僧官】
「その像は すでに祈り子としての力を失っておる
「史上初めて 究極召喚の祈り子となったゼイオン様
「そのお姿をとどめる像にすぎぬ
「ゼイオン様は もう…… 消えてしまわれた

ワッカ
「消えたぁ!?

リュック
「てことは 究極召喚もなくなっちゃったの!?

【僧官】
「ご安心なされい
「ユウナレスカ様が 新たな究極召喚をさずけてくださる
「召喚士と一心同体に結びつく大いなる力を……
「奥に進むがよい ユウナレスカ様のみもとへ

<僧官、消える>

ティーダ
「ちょっと待てよ
「アーロン あんた最初っから知ってたんだよな?

アーロン
「ああ

リュック
「どーして だまってたの!?

アーロン
「おまえたち自身に真実の姿を見せるためだ

キマリ
「ユウナ

ユウナ
「もう戻れないよ

キマリ
「わかっている
「キマリが先に行く ユウナの前はキマリが守る

 

<大広間>

リュック
「なんか出てくるよ!?

ユウナ
「ユウナレスカ様……

<ユウナレスカ、登場>

ユウナレスカ
「ようこそザナルカンドへ
「長い旅路を越え よくぞ たどりつきました
「大いなる祝福を 今こそ さずけましょう
「わが究極の秘儀……究極召喚を
「さあ……選ぶのです

【ユウナ】
「あ え?

ユウナレスカ
「あなたが選んだ勇士をひとり わたしの力で変えましょう
「そう…… あなたの究極召喚の祈り子に

【一行】
「ええっ!?

ユウナレスカ
「想いの力 絆の力 その結晶こそ究極召喚
「召喚士と強く結ばれた者が 祈り子となって得られる力
「ふたりを結ぶ想いの絆が 『シン』を倒す光となります
「1000年前……わたしは わが夫 ゼイオンを選びました
「ゼイオンを祈り子に変え わたしの究極召喚を得たのです
「恐れることはありません
「あなたの悲しみは すべて解き放たれるでしょう
「究極召喚を発動すれば あなたの命も散るのです
「命が消えるその時に 悲しみは消え去ります
「あなたの父 ブラスカもまた 同じ道を選びました

【ユウナ】
「っ!?

 

アーロン
「まだ間に合う 帰りましょう!

ブラスカ
「私が帰ったら誰が『シン』を倒す
「ほかの召喚士とガードに同じ思いを味あわせろと?

アーロン
「それは…… しかし、なにか方法があるはずです!

ジェクト
「でも 今はなにもねぇんだろ
「決めた
「祈り子にはオレがなる
「ずっと考えてたんだけどよ……
「オレの夢は ザナルカンドにいる
「あのチビを 一流の選手に育て上げて……
「てっぺんからの ながめってやつを見せてやりたくてよ
「でもな……どうやらオレ ザナルカンドにゃ帰れねぇらしい
「アイツには……もう会えねえよ となりゃオレの夢は おしまいだ
「だからよ オレは祈り子ってやつになってみるぜ
「ブラスカといっしょに『シン』と戦ってやらあ
「そうすればオレの人生にも意味ができるってもんよ

アーロン
「ヤケになるな!
「生きていれば……
「生きていれば無限の可能性があんたを待っているんだ!

ジェクト
「ヤケじゃねぇ! オレなりに考えたんだ
「それによ アーロン
「無限の可能性なんて信じるトシでもねぇんだオレは

ブラスカ
「ジェクト

ジェクト
「なんだ 止めても無駄だぞ

ブラスカ
「すまん……いや ありがとう

ジェクト
「ブラスカにゃ まだ『シン』を倒すって大仕事が待ってる

ジェクト
「オレのぶんまでブラスカを守れよ

【アーロン】
「ぐっ……!

ジェクト
「んじゃ行くか!

アーロン
「ブラスカ様! ジェクト!

ジェクト
「まだなんかあんのかぁ!?

アーロン
「『シン』は何度でもよみがえる!
「短いナギ節のあとで また復活してしまうんだ!
「この流れを変えないと ふたりとも 無駄死にだぞ!

ブラスカ
「だが 今度こそ復活しないかもしれない
「賭けてみるさ

ジェクト
「ま アーロンの言うことも もっともだ
「よし オレがなんとかしてやる

アーロン
「なにか 策があるというのか?

ブラスカ
「ジェクト?

ジェクト
「無限の可能性にでも期待すっか!
「ハハハハハ! ハハハハハ!!

<アーロン、ぐったりする。→それを現実のアーロンが、目障りとばかりに斬りにかかる>

【アーロン】
「ぐっ!
「ええいっ! たあ!!

<消える>

アーロン
「そして……なにも変わらなかった

ティーダ
「オレたちが変えてやる

ワッカ
「どうやって!
「作戦なんて なにもねえんだろ?

ルールー
「誰かが祈り子になる必要があるなら……
「私 いいよ

ワッカ
「オレもだ ユウナ!

ティーダ
「それじゃあオヤジたちといっしょだろ! ナギ節つくって……そんだけだ!
「また復活しちゃうだろ!

ワッカ
「あのな……
「『シン』を倒して ユウナも死なせねえ
「そんで『シン』の復活も止めたいってか?
「全部かなえれば最高だけどよ!

ルールー
「よくばりすぎたら…… 全部失敗するわ

ティーダ
「イヤだ よくばる

ワッカ
「青くさいこと言うなよ!

ティーダ
「青くてもいい!
「オトナぶって カッコつけてさ
「言いたいことも言えないなんて絶対イヤだ!
「そんなんじゃ なにも変えられない!
「オレ……この青さは なくさない
「ああ どうしたらいいかなんてわかんないよ
「でも 10年前のアーロンが言ってたこと……
「オレも信じるッス

リュック
「無限の……可能性?

ティーダ
「うん
「オレ 行ってくる
「ユウナレスカに話聞く

リュック
「聞いたら なんとかなるのかなあ?

ティーダ
「さあな わかんないけど……
「オレの物語……
「くだらない物語だったら ここで終わらせてやる!

ユウナ
「待って
「ねえ……わたしにとっては わたしの物語なんだよ
「ふりまわされてちゃ ダメ
「ゆらゆら揺られて 流されちゃダメ
「どんな結末だって きっと後悔する
「そんなの……いやだ
「わたし……決める 自分で決める!

 

<魔天>

ユウナレスカ
「祈り子となる者は決まりましたか
「誰を選ぶのです

ユウナ
「その前に 教えてください
「究極召喚で倒しても 『シン』は絶対に よみがえるのでしょうか

ユウナレスカ
「『シン』は不滅です
「『シン』を倒した究極召喚獣が新たな『シン』となりかわり……
「かならずや復活をとげます

ティーダ
「そんでオヤジが『シン』かよ……

ユウナレスカ
「『シン』はスピラが背負った運命 永遠に変えられぬ宿命です

ワッカ
「永遠にって……
「でもよ! 人間が罪を全部つぐなえば 『シン』の復活は止まるんだろ?
「いつかは きっとなんとかなんだろ!?

ユウナレスカ
「ひとの罪が消えることなどありますか?

【ワッカ】
「うっ……う……!

ルールー
「答えになってません!
「罪が消えれば『シン』も消える エボンはそう教えてきたのです!
「その教えだけが……スピラの希望だった!

ユウナレスカ
「希望は……なぐさめ
「悲しい定めも あきらめて 受け入れるための力となる

ティーダ
「ふざけんな!

<すると、10年前のアーロンが映し出され、ユウナレスカに詰め寄る>

アーロン
「ふざけるな!
「ただの気休めではないか!
「ブラスカは 教えを信じて命を捨てた!
「ジェクトは ブラスカを信じて犠牲になった!

ユウナレスカ
「信じていたから みずから死んでゆけたのですよ

【アーロン】
「うわああああああ!!

<アーロン、ユウナレスカに突進。→返り討ちにあう…>

 

ユウナレスカ
「究極召喚とエボンの教えはスピラを照らす希望の光
「希望を否定するのなら 生きても悲しいだけでしょう
「さあ 選ぶのです  あなたの祈り子は誰?
「希望のために捧げる犠牲を

ユウナ
「……いやです
「死んでもいいと思ってました
「わたしの命が役に立つなら…… 死ぬのも こわくないって
「でも……究極召喚は……
「なにひとつ変えられないまやかしなのですね

ユウナレスカ
「いいえ 希望の光です
「あなたの父も……希望のため犠牲となりました
「悲しみを忘れるために

ユウナ
「ちがう
「父さんは…… 父さんの願いは!
「悲しみを消すことだった
「忘れたり ごまかすことじゃない……

ユウナレスカ
「消せない悲しみに逆らって なんの意味があるのです

ユウナ
「父さんのこと……大好きだった!
「だから……
「父さんにできなかったこと わたしの手でかなえたい!
「悲しくても……生きます
「生きて 戦って いつか!
「今は変えられない運命でも いつか……かならず変える!
「まやかしの希望なんかいらない……!

ユウナレスカ
「あわれな……
「みずから希望を捨てるとは
「ならば……
「あなたが絶望に沈む前に せめてもの救いを与えましょう
「悲しい闇に生きるより 希望の光に満ちた死を
「すべての悲しみを忘れるのです

<ユウナレスカ、戦闘準備に入る>

【一行】
「ううっ!?

アーロン
「さあ どうする!
「今こそ決断する時だ
「死んで楽になるか 生きて悲しみと戦うか!
「自分の心で感じたままに物語を動かす時だ!

<アーロン、構える>

キマリ
「キマリが死んだら 誰がユウナを守るのだ

<キマリ、構える>

リュック
「あたし やっちゃうよ!

<リュック、構える>

ワッカ
「ユウナレスカ様と戦うってのか? 冗談キツイぜ……

ルールー
「じゃあ逃げる?

ワッカ
「へっ!
「ここで逃げちゃあ…… オレぁ オレを許せねえよ
「たとえ死んだってな!

<ワッカ、構える>

ルールー
「……同じこと考えてた

<ルールー、構える>

ティーダ
「ユウナ!
「いっしょに続けよう オレたちの物語をさ!

<ユウナ、大きくうなづく。→ティーダ、ユウナ、構える>

<戦闘:ユウナレスカ>

<ユウナレスカを撃破>

<戦闘終了>

ユウナレスカ
「わたしが消えれば……究極召喚は失われる
「あなたがたは スピラの希望を消し去ったのです

ティーダ
「だから ほかの方法を探すんだよ!

ユウナレスカ
「愚かな…… そのような方法など ありません
「たとえあったとしても…… 万一『シン』を倒せても……
「永久に生きるエボン=ジュが新たな『シン』を生み出すのみ

ティーダ
「エボン=ジュ!?

ユウナレスカ
「ああ……ゼイオン 許してください
「希望の光を失って スピラは悲しみの螺旋に満ちる……

<ユウナレスカ、完全に消え去る>

ユウナ
「とんでもないこと……しちゃったのかな

ティーダ
「もっと とんでもないこと しよう

リュック
「どんな?

ティーダ
「『シン』を倒す
「究極召喚なしで しかも復活させないように
「どうやってって 聞くなよな

 

<大広間>

アーロン
「話がある

ティーダ
「なんだよ

アーロン
「そろそろ はっきりさせておこう

ティーダ
「……そっか やっぱ あんたも……

アーロン
「ああ 俺も死人だ
「もっと驚くと思ったが?

ティーダ
「なんか……そんな気がしてたんだ ユウナレスカにやられたんだろ

アーロン
「ブラスカが『シン』と戦い 命を落とした後でな
「納得できなかったんだよ
「あいつらのかたきを討つために もう一度ここに来て……
「……返り討ちだ
「なんとか一命をとりとめて ガガゼトを はいおりたが……
「ベベルの手前で力尽きてな  その時会ったのが キマリだ
「ユウナをまかせて……俺は死んだ
「それ以来 異界に行かず こうしてさまよっている

ティーダ
「アーロン……

アーロン
「そんな顔をするな こういう体で得したこともある
「『シン』に乗って おまえのザナルカンドにも行けたしな

ティーダ
「そんで……ずっとオレのこと 見守ってくれたのか
「どうして……
「どうしてそこまでするんだよ あんた!

アーロン
「こういうことはな 口では説明できんのだ
「いいだろう 見せてやろう
「俺の記憶だ

<アーロン、念じると、当時の光景が映し出される>

ジェクト
「最後だ……いっこだけ いいか
「あのよ……
「わりい やっぱ やめとくわ

アーロン
「いいから言えよ!

ジェクト
「そうか じゃあ言っちまうぞ
「息子をたのむ

【アーロン】
「お……!

ジェクト
「ザナルカンドの あいつをたのむ  あいつ……泣き虫だからな
「誰かついててやんねえと 心配で心配でよ
「だからよ……たのむわ

アーロン
「しかし ザナルカンドなんてどうやって行けば……

ジェクト
「へっへへ なんでえ なっさけねえな!
「おめえの言う『無限の可能性』ってヤツでなんとかしてみろよ

アーロン
「……ああ! やってやろうじゃないか!
「約束しよう
「あんたの息子は 俺が守る  死んでも……守ってやる

ジェクト
「すまねえな アーロン
「おめえはカタブツ野郎だが…… そういうとこ キライじゃなかったぜ

 

アーロン
「こういうことだ

 

<ティーダ、エボン=ドームを出る。→すると『シン』がいて、ティーダを凝視していた>

ティーダ
「オヤジ……
「もう 究極召喚はないんだ
「でも なんとかするから
「もう少し……待っててくれよな

<『シン』、おとなしく引きかえす。→飛空艇が『シン』を通り過ぎて、降り立つ>

 

アニキ
「どこに いきゃいいんだ?

<シド、帰還したティーダたちの顔を見まわす>

シド
「へぇー シケたツラだな……

アニキ
「どこ いくんだよ!

リュック
「どこ行くどこ行くって しつこいよ!
「少しは自分でも考えてよね!

アーロン
「どうする
「名案を期待しよう

ティーダ
「いっしょに考えろよ

アーロン
「そうだな……
「『シン』はジェクトだ
「おまえと『シン』はたしかに通じあっている
「それが突破口になるかもしれん

ティーダ
「んで どうすんだよ?

アーロン
「それがわかれば苦労はせん

ティーダ
「だよなあ……

 

ルールー
「整理して考えてみましょう かならず手があるはずよ

 

ワッカ
「究極召喚も なにもかもひっくりかえっちまったしなぁ

 

リュック
「えっと…… まだ 考え中

 

シド
「思いつくまで待ってやる アタマしぼって考えな

 

アーロン
「あせっても道を失うだけだ 落ち着いて先を見すえろ

 

<キャビン>

ユウナ
「わたし ダメだね

ティーダ
「なんだよ いきなり

ユウナ
「どうやって『シン』を倒すか ずっと考えてる
「けど……
「エボンの教えにないことは わたしには……わからなくて
「……ごめん

キマリ
「ユウナ あやまるな

ユウナ
「え?

キマリ
「逃げているように聞こえる
「ユウナには似合わない

ユウナ
「……うん
「ありがとう キマリ

ティーダ
「あのさ キマリはなんかいい考え ない?

キマリ
「エボンの教えだ

ユウナ
「教えじゃ『シン』は倒せないよ

キマリ
「教えの中に答えはない 答えは教えの外にある
「教えの中と外を知れば 答えは見つかる

ユウナ
「教えか……

キマリ
「キマリなら マイカに聞く  力ずくでも しゃべらせる

ティーダ
「それだ! キマリ すげえよ!

キマリ
「ふん
「マイカに会えるか キマリには わからない

ティーダ
「どこ逃げたって この船で追いかければいい

キマリ
「消えてしまったら 追いつけない

 

ユウナ
「ベベルに行くんだよね?

ティーダ
「乗りこむッス
「……心配?

ユウナ
「ううん だいじょうぶ  もう立ち止まれないからね
「ベベルで 答えが見つかるよね

 

<ブリッジ>

ワッカ
「おい! すんげえこと考えたぞ!

リュック
「あたしが思いついたんだよ! あたしに言わせなよ!

ワッカ
「よーするにだな!

リュック
「え〜っとねえ!

ルールー
「歌がカギよ

ワッカ&リュック
「ああっ!?

ティーダ
「歌って?

ルールー
「ジェクトさんは祈りの歌が好き…… そうでしょう?

ティーダ
「うん

リュック
「だからマカラーニャ湖の底で 歌を聞いてたんだよね

ルールー
「あれほど凶暴な『シン』が静かに歌を聞いていた……

ワッカ
「あのな……おまえのオヤジさんのことだから 言いにくいけどよ

ティーダ
「ううん いいって
「どうしようもないんだからさ

ルールー
「じゃあ 言うわね
「正面から『シン』に立ち向かっても とうてい勝ち目がないわ
「けれど 祈りの歌を聞かせれば 『シン』は おとなしくなる

ワッカ
「そのスキをつけば なんとかなるんじゃねえか!?
「まあ……反則かもしれねえけどよ こだわってらんねえしな
「な?

リュック
「ね? すごい作戦でしょ!

ティーダ
「ああ ためす価値 アリだな!

 

ルールー
「もう この作戦に賭けるしかないわね!

 

ワッカ
「きっと うまく行くぜ!

 

リュック
「あのね ほんっとにあたしが思いついたんだよ!

 

シド
「どうやら 次の手が決まったらしいな
「どこだろうと こいつでひとっ飛びだぜ!

 

 

<ビサイド島・討伐隊宿舎>

ガッタ
「魔物を退治しながら浜辺に向かう  到着したら そのまま警戒体勢!
「もし『シン』が出現したら すぐに連絡だ いいな!
「よし 全員出発!

【一同】
「はっ!

ティーダ
「おい!

ガッタ
「やあ!

ティーダ
「やあ じゃなくてさ! なにがあったんだ!?

ガッタ
「あはは 訓練だよ 訓練

【ティーダ】
「ああ〜

ガッタ
「いつ『シン』が来るか わからないしな
「ちゃんと訓練しておかないと いざって時に村を守れないだろ
「ほんとは……心細いんだけどさ
「後輩の前じゃ 泣き言なんか言えないしな

ティーダ
「ルッツも そうだったのかもな
「キツイことがあっても おまえの前じゃ言えなくてさ
「だから弱音を吐かないで せいいっぱいやってた とか

ガッタ
「かもしれないな……
「じゃあオレ そろそろ行くよ  あいつら放っておけないし

ティーダ
「がんばれよ

ガッタ
「そっちもな!

 

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