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F I N A L  F A N T A S Y  ] 作者:FLAIR

第2回   気が付くと見知らぬ世界 《U》
ティーダ
「オレ……変なこと言ってんのか?

リュック
「『シン』に近づいたんだ……

【ティーダ】
「うん……

リュック
「だいじょうぶ! きっと すぐ治るよ
「『シン』に近づきすぎた人間は 頭がグルグルしちゃうんだって
「だからキミも ヘンなユメみたいの 見ただけじゃないかな

ティーダ
「オレ 病気ってこと?

リュック
「『シン』の毒気にやられたんだと思う

ティーダ
「なんで?

リュック
「だって……ザナルカンドなんて今もう ないんだもん
「1000年前に『シン』があばれて こわしちゃった
「だからブリッツボールなんて できないよ

ティーダ
「え?
「どういうことだよ 1000年前って
「オレ 『シン』がザナルカンドを襲うのを見たんだぞ
「あれが1000年前だってのか!? 信じらんないって そんなの!

 

リュック
「あのさ……

【ティーダ】
「ん……?

リュック
「ブリッツの選手なんでしょ?

【ティーダ】
「うん

リュック
「ルカへ行けば なんとかなるかもよ
「キミを知ってる人 いるかもしれないし……
「キミもなにか思い出すかもしれないもんね

ティーダ
「ルカ?

リュック
「よ〜し あたしにまっかせなさい! ルカに連れてってあげるよ!
「行きたくないの〜?

【ティーダ】
「あ いや

リュック
「じゃ みんなに話してくから ちょっと待っててね
「あ…… それから注意!
「ザナルカンドから来たなんて 人には言わない方がいいよ
「あそこはエボンの聖なる土地だから 怒る人いると思うんだ

【ティーダ】
「あん… ああ

【リュック】
「うん

<リュック、去る>

 

ザナルカンドは

エボンの聖なる土地……

 

なんのこってすか……

って感じだった

 

エボン? 『シン』の毒気?

ルカ?

 

どこか遠くへ来ただけだと思ってた

すぐに帰れると思ってた

 

ティーダ
「1000年の時を越えたってか?
「信じられるかっつうの!
「あぁ もう!

<ティーダ、壁を蹴り上げる。→すると、地響きが起こり始める。→水中から、“何か”が浮上>

 

【アルベト族A】
「『シン』!
「『シン』がくるぞ!

【アルベド族B】
「ましたに いるぞ!

 

ティーダ
「ぬわっ!

<津波が押し寄せ、ティーダ、弾け飛ばされる…>

 

 

<そして……>

<ビサイド島・浜辺>

<ティーダ、水中で目覚める>

ティーダ
「リュック!

<ブリッツボールがティーダの頭に当たる>

ティーダ
「いっ!?
「ブリッツボール!?

【ゴツイ男】
「だ〜いじょ〜ぶか〜!

ティーダ
「ひとーーっ!!

<ティーダ、ブリッツボールにシュートを放ち、男たちの方へ返す>

【ゴツイ男】
「すっげぇ……
「フフ……

<ティーダ、浜辺へ>

ティーダ
「よっ! ども!

【ゴツイ男】
「おまえ…… さっきのワザ もう1回やってみ?

 

うれしかった

今度こそ助かったと思ったんだ

 

<ティーダ、シュートを放つ>

 

【男たち】
「すっげぇ……
「うひゃ〜
「おぉ……
「すごい……

【ゴツイ男】
「シロウトじゃないよな どこのチームだ?

ティーダ
「ザナルカンド・エイブス!

【男たち】
「ザナルカンド?
「なんだって?
「ザナルカンド・エイブス……

【ゴツイ男】
「……どっから来たって?

ティーダ
「あっ…… 悪い! 今のナシ!
「あ〜 オレさ 『シン』に近づきすぎて 頭がぐるぐるなんだよな
「だから どこから来たとか ここが どこなのかとか……

【ゴツイ男】
「『シン』の毒気にやられたか……
「でも こうして生きてるんだ
「エボンのたまものだな
「トレーニング 続けてろ

<別の男たち、散らばる>

【ワッカ】
「オレはワッカ このビサイド・オーラカの選手兼コーチだ

【ティーダ】
「あっ…… うう……

<ティーダ、腹が鳴る>

ワッカ
「なあんだ ハラヘリか?
「おっし! 村行くぞ なんか食わしてやる

<ワッカ、先へ行く>

 

ボッツ
「今年の大会じゃ ワッカさんの足手まといにならないようにしないと
「あんた 毒気が抜けたら 練習につきあってくれよ
「毒気 早く抜けるといいな

<ティーダ、『ポーション』を1個もらう>

 

キッパ
「見てのとおり うちのチームはすこーしだけ未熟でさ
「合言葉は『せいいっぱい がんばろう』だ! それしか とりえがないんだけどね……
「あんたも これでせいいっぱい がんばってくれよ

<ティーダ、200ギルもらう>

 

ジャッシュ
「あのシュートすごかったな〜 オレもあんなの撃ってみたいよ
「ワッカさん待ってるぞ 早く行ったほうがよくないか?
「村までの道のりは魔物が出るぞ 危なくなったらこれを使いな

<ティーダ、『ポーション』を3個もらう>

 

ダット
「ボールが落ちてくると つい目をつぶっちゃうんだ
「あんたが おぼれずにすんだのは ブリッツの選手だから……だろうな
「一流の選手は ずっと息を止めてても ぜんぜん苦しくないんだろ
「オレたちも見習いたいよ
「浜から沖まで 息つぎナシで何往復できるか 競争したことがあるんだ
「オレたちゃ2往復が精一杯だけど ワッカさんは5往復しても余裕だぜ
「毒気に やられてるんだろ? 早いとこ休んだほうがいいって
「そうだ! これをあげるよ 毒気にも きくかもよ

<ティーダ、『ハイポーション』をもらう>

 

 

ワッカは いいやつだと思った

だから……聞いてみたくなったんだ

 

ティーダ
「あのさ ザナルカンドって 1000年前に……滅びたんだよな?
「今は 遺跡になってしまった……で いいんだよな?

ワッカ
「昔々スピラにはでっかい街がたくさんあった 夜でもにぎやかな機械じかけの大都市だ
「みんな機械の力によって おもしろおかしく遊んでたワケだ
「だけどな……見てみろ
「突然『シン』が現れて 機械の街を全部こわしちまった
「もちろん ザナルカンドもな
「それがだいたい1000年前…… そう おまえの言うとおりだ
「ま 『シン』は調子に乗っちまった人間への罰ってワケだな
「まったくよ……
「昔のやつらのせいで今のオレたちが 苦労するなんてハラが立つよなあ
「もちろん罪をつぐなうのは 今の人間の大切な役目だ
「そりゃ わかってるさ うん  でも時々やりきれなくなってな……

 

リュックの言ったとおりだった

 

ワッカもリュックも ウソをつく

必要なんて ぜんぜんないんだ

 

ワッカ
「あははは! でもよザナルカンド・エイブスってのは笑えたぞ
「もしかしたら そんなチームホントにあったのかもしれないけどよ
「ま楽して暮らしていた時代のチームなんて 弱っちいに決まってるけどな
「おまえが落ちこむことないだろ〜が

 

オレをはげましてくれる

ワッカの気持ち うれしかった

 

でも その時オレが考えていたのは……

 

始まりは『シン』だ

だからもう一度『シン』に会えば……

 

それができたら ザナルカンドへ

帰ることができるかもしれない

 

その時が来るまでは ここがどこかとか

いつの時代だとか 気にするのはやめよう

 

気にしないってのは難しかったけど

少しだけ楽になった

 

ほんの……少しだけ

 

<分岐点>

ワッカ
「おーい! こっちだ!

 

<沈んだ谷>

ティーダ
「なんかあんのか?

<ワッカ、ティーダを後ろから押すと、ティーダ、崖から落とされる>

ティーダ
「うわわわわ!

<ワッカも崖に飛び下りる>

ティーダ
「なにすんだよっ!

 

ワッカ
「ぐふふふふふ……

<ワッカ、ティーダの首に腕を巻く>

ティーダ
「はなせよっ!

ワッカ
「お願いがあるんだな〜

ティーダ
「あんたのチームに入れってんだろ!

ワッカ
「う!?

<ティーダ、引きはがす>

ワッカ
「もうすぐ大きなブリッツの大会がある スピラ中のチームが集まるデカイやつだ!
「デカイ大会だから おまえのこと知ってるやつらも きっと来る
「そしたらおまえ元のチームや生活に戻れるだろ?
「なあ 悪い話じゃないと思うぞ どうだ? な? な!

ティーダ
「いいよ

ワッカ
「ありがとよ〜! 大会まで たのんだぜ!

 

ブリッツと『シン』だけが ザナルカンドと

スピラをつないでいるような気がしたんだ

 

そんなにハズレてなかったろ?

 

 

<峠>

ワッカ
「オレはあそこで生まれて 5歳でブリッツボールを始めた
「13歳でビサイド・オーラカに入って…… 10年選手ってやつだな
「でも 10年やっても 大会じゃ 一度も勝てなかった
「んで引きぎわがかんじんだってんで 去年の大会を最後に引退したんだ
「でな引退してから 新しい仕事を始めたんだよな
「でも ちょっと気ぃ抜いたら すーぐブリッツのこと考えちまう

ティーダ
「10年間 勝ちナシじゃあな

ワッカ
「うっ! 去年の1回戦はチャンスだった
「でも キツいことがあって 試合に集中できなかった

ティーダ
「いいわけッスね

ワッカ
「きびしいッスね

ティーダ
「次の大会で勝ってスッキリしたい そういうことか?

<ワッカ、うなづく>

ティーダ
「大会の目標は?

ワッカ
「順位は関係ないんだ いい試合ができたらそれでいい
「本気でやったって充実感があれば オレスッキリやめられると思う

ティーダ
「『目標?』って聞かれたら 『優勝!』って答えろよ
「試合に出るなら勝つ それ以外なにがあるんだ

ワッカ
「優勝……まじッスか

 

<村への坂>

【男A】
「おお 海から来た人か

【男B】
「この道は魔物が多いから 注意したほうがいいよ

【男A】
「『シン』に近づいたのに助かったんだろ こんなところでやられるなよ!

<二人、去る>

ティーダ
「誰?

ワッカ
「討伐隊のルッツとガッタ

ティーダ
「ん? トウバツタイ?

ワッカ
「おまえ そんなことも忘れちまったのか?
「悪かった 気にすんなオレかめんどう見てやる

ティーダ
「うっす
「その代わり 大会の時 大活躍してやるから!

ワッカ
「うっす
「討伐隊のとこは直接聞けよ 村の宿舎にいるはずだ

 

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Novel Editor