<雷平原・南部>
リュック 「あ〜あ…… 来ちゃったよ……
<稲光が鳴り響く>
リュック 「きゃああっ!?
ティーダ 「どうやって進むんだ ここ
ルールー 「あちこちに避雷塔が立っているわ 「雷は 避雷塔が受け止めてくれるわけね
ワッカ 「避雷塔から はなれすぎず 近づきすぎず北へ進め だな
ルールー 「なにもない広い場所は危険ってことよ
<稲光>
リュック 「きゃああ〜〜〜っ!? 「ちょ〜っとだけ グアドサラム戻る?
アーロン 「短いつきあいだったな
リュック 「あ〜…… わかったよ 行くよ!
メイチェン 「あや ご苦労さまです 語っても……いいですかな?
<選択肢:「また今度ね」or「どうぞ」→「どうぞ」を選択>
メイチェン 「では この街道について 語らせてもらいましょうかな 「昔々 ここは有名な旅の難所でしてな 「越すに越されぬ雷平原 行く手をはばむ稲光 「……とまあ こんな歌まで残っとるぐらいですわ 「そこへ ビリガンなる男が現れましてな 「機械をあやつり 平原中に避雷塔を建てて回ったのですわ 「旅人が 雷を避けながら進めるように ですな 「ビリガンはあの避雷塔を建てているときに…… 「雷に打たれて死にました 「ビリガンはアルベド族 歴史に残らん名前ですわ……
シェリンダ 「あ おつかれさまです!
ティーダ 「ども!
シェリンダ 「そうそう! 「シーモア老師とユウナ様がご結婚なさると聞きました 「素敵なお話ですよねえ 早く みんなに知らせたいです!
ティーダ 「誰から聞いた?
シェリンダ 「グアド族からですよ みんな とってもうれしそうでした
ティーダ 「それ ちょっと違うな ユウナは断るつもりだから
シェリンダ 「えっ! 本当ですか!
<選択肢:「うん 結婚はナシ」or「冗談ッス」→「うん 結婚はナシ」を選択>
シェリンダ 「そうなんですか…… 「……がっかりしました 「スピラ中が喜びと祝福にわきかえったでしょうに……
<稲光が近くに落ちる>
【ティーダ】 「うおっ!
【リュック】 「っっっ!!
ワッカ 「お〜! 近い近い! うははははは〜!!
ルールー 「さっさと行くわよ
ワッカ 「へいへい
リュック 「へへへへ……
ワッカ 「ん? どした?
リュック 「へへへへ……
ティーダ 「へへへへ…… ってなんだよ 気持ち悪いな
リュック 「いぃやぁぁぁ〜〜っ!?
<リュック、ティーダの足にしがみ付く>
【ティーダ】 「うわっ あっ
リュック 「やだ〜! 「もうやだ〜! 雷やだ〜!! 「そこで休んでこ! ね? ね?
アーロン 「ここの雷はやむことはない 急いで抜けた方がいい
リュック 「知ってるけどさ〜! リクツじゃないんだよ〜!
ティーダ 「はは だってさ どーする?
<旅行公司前>
リュック 「たのむよ〜! 休んでこうよ〜! 「雷はダメなんだよ〜! 休もうよ ね? おねがい! 「こんなにやだって 言ってるのにさあ…… 「ヒドイ……ヒドイよ…… 血も涙もナイよ…… 「もしかして 楽しんでるー?
アーロン 「やむをえん 休むぞ うるさくてかなわん
<旅行公司>
ユウナ 「少し……つかれました…… 「お部屋はありますか?
【店員】 「あっ 召喚士様ですね どうぞ あちらを使ってください
ユウナ 「ありがとうございます
<ユウナ、スタスタとひとりで部屋に行く>
ワッカ 「おい ユウナ?
ルールー 「らしくないわね
キマリ 「ユウナは休んでいる 邪魔をするな
アーロン 「フン 召喚士が若い娘だと ガードするのも大変だな
ティーダ 「そんなにコワイのか?
リュック 「うん 「子供のころ 海で遊んでたら 魔物に襲われたんだよ 「いっしょにいたアニキが魔法で倒そうとしたけど……
<稲光が鳴る>
リュック 「きゃああ!? 「アニキったら あわててあたしに魔法をぶつけてさあ! 「サンダーの魔法で ひゃひゃひゃひゃひゃ〜!
ティーダ 「うひゃ〜……
リュック 「あの時から 雷 ダメだあ……
ルールー 「でも有効な魔法ではあるわね 「水中に現れる魔物は 魔法攻撃に弱いから
リュック 「あ! アニキもそう言ってた
ルールー 「あんたたちも おぼえたら?
<またも稲光が鳴る>
リュック 「きゃあああ!?
ルールー 「無理みたいね
<すると、リンが現れる>
リン 「これはこれは みなさん わが旅行公司にようこそ 「おや
リュック 「しーっ!
リン 「ふむ
リン 「アルベド語の勉強はいかがですか
<選択肢:「まあまあ」or「ダメ」→「まあまあ」を選択>
リン 「それは素晴らしい 「では さらなる進歩のためにこの本を差し上げましょう
<ティーダ、『アルベド語辞書第14巻』をもらう>
リン 「ときに…… 「あの方……もしや アーロンさんでは?
<選択肢:「そうだよ」or「ちがうよ」→「そうだよ」を選択>
リン 「やはりそうですか 「ミヘン街道店でお見かけして以来 気になっていたのですよ 「アーロンさん! 「ご記憶にないでしょうか? 「あれは10年前…… ブラスカ様のナギ節のはじめです
アーロン 「ああ 世話になったな
リン 「いえいえ 「重傷を負われた方を放ってはおけません 「それにしても 翌朝あなたの姿が消えていた時はおどろかされました 「常人ならば歩けないほどの傷でしたのに
アーロン 「悪いが…その話はやめてくれ
リン 「かしこまりました
ルールー 「ユウナったら完全に上の空ね 「ジスカル様の件……かな 「リュックには悪いけど ユウナが落ち着いたら出発ね
ワッカ 「ユウナ……どうしちまったんだろうなあ? 「ま ムリにも聞けねえしな
リン 「先ほど シーモア老師のご一行をお見かけしました 「なんでも 老師はご結婚なさるとかで……
ティーダ 「なんであんたが知ってんだ?
リン 「グアド族が広めているのですよ
ティーダ 「勝手なやつらだなあ
アーロン 「めんどうな旅になりそうだ
<廊下>
ティーダ 「あれ? 「んっ…… 「うわ!?
<ティーダ、誤って部屋のなかへ飛び出す>
【ユウナ】 「ひっ!
【ティーダ】 「いっ……!
ユウナ 「な なに!?
【ティーダ】 「あ あの……ん?
【ユウナ】 「ああっ!
<ユウナ、慌ててジスカルのスフィアを隠す>
ティーダ 「あ……あのさ 別に用事はなくってさ……
【ユウナ】 「う……
ティーダ 「あ…… 「ごめん まずかった……よな 「あ! あのさあ! 「今のって グアド族のジスカルだよな?
ユウナ 「うん…… 「遺言だったの 息子をよろしく……だって
ティーダ 「ふーん…… 「息子って シーモアだろ? 「よろしくなんて言われても 困るよなあ?
ユウナ 「ごめんね……
<ユウナ、出ていく>
ティーダ 「あ?
<すると、ワッカが来て、ティーダの頭を掴む>
ワッカ 「な〜にしてんだ こら!
ティーダ 「うわ〜! いたっ たっ……!! 「ユウナの様子が ヘンだったからさあ!
ワッカ 「んなこたあ わかってるって 「そのうち自分で言い出すって それまで 待ってやろうぜ
ティーダ 「う〜! あ 痛い痛い痛い痛い! 「わかった! わかった! 待つから! 痛いって!!
<そして…>
リュック 「雷 止まらないね……
アーロン 「期待していたわけでもあるまい
<稲光が鳴る>
リュック 「きゃあ!
アーロン 「一生やっていろ
リュック 「わかったよ…… 「でも! 「そんな言い方しなくたっていいじゃんよ! 「もっと こう やっさしくはげますとかさあ! 「それなら あたしだってその気になるのに! 「ぜんっぜん わかってないんだもんなー もう! 「こらぁ! 聞いてんの〜? 「負っけないぞ〜! 「ふぬぬぬぬ…… 「負けるかっちゅ〜の!
<北部>
ユウナ 「みんな……いいかな
ワッカ 「どうした?
ユウナ 「聞いてほしいことがあるの
ルールー 「ここで?
リュック 「もーすぐ終点でしょ さくさく行っちゃおーよ
ユウナ 「いま話したいの!
アーロン 「あそこで話そう
イヤな予感だけは当たるんだよな
ユウナ 「わたし 結婚する
ルールー 「やっぱり……
【ティーダ】 「そうきたッスか……
リュック 「ひっ!
ワッカ 「な どうしてだ? 気い変わったのか?
ユウナ 「スピラのために…… エボンのために…… 「そうするのが一番いいと思いました
アーロン 「説明になっていない
ルールー 「もしかして…… 「ジスカル様のことが関係してるの?
ティーダ 「あ! あのスフィア!
アーロン 「……見せろ
ユウナ 「……できません 「まず シーモア老師と話さねばなりません 「本当に申し訳ないのですが これは…… 「個人的な問題です
ワッカ 「水くせえなぁ
アーロン 「……好きにしろ
ユウナ 「すみません
アーロン 「だが今一度聞く
ユウナ 「あ 旅は やめません
アーロン 「ならば……よかろう
ティーダ 「ちょっと待てよ アーロン 「旅さえしてれば あとは どーでもいいのかよ!
アーロン 「その通りだ 「『シン』と戦う覚悟さえ捨てなければ…… 「なにをしようと召喚士の自由だ 「それは召喚士の権利だ 覚悟と引きかえのな
ティーダ 「でも なんか…… 「ん〜〜!
ワッカ 「ユウナ いっこだけ質問がある 「シーモア老師と話すだけじゃダメなのか? 「結婚しねえとマズイってか?
ユウナ 「……わからない 「でも 覚悟は必要なんだと思う
ワッカ 「そ そうか
リュック 「ユウナ……
<リュック、ユウナの肩に手を置く。→稲光、鳴る>
リュック 「うるさいッ!
<リュック、気を取りなおして>
リュック 「覚悟ばっかさせて……ごめんね
ユウナ 「いいの……だいじょうぶ
なにが『ごめんね』で
なにが『だいじょうぶ』なのか……
なにが『覚悟』で
なにが『権利』なのか……
よくわからなかった
みんなと 考えがはなれて
しまったような気がして
みんなとはなれちゃったら
オレはこのスピラで……ひとりだ
自分がひとりきりなのを
感じるのは つらかった
アーロン 「ともあれ ひとまずは【マカラーニャ寺院】を目指す 「ユウナはシーモアと会い 好きに話し合えばいい 「俺たちガードはその結論を待ち 以降の旅の計画を考える 「いいな
<マカラーニャの森・南部>
アーロン 「ユウナのことが気になる か
ティーダ 「はあ 気にすんなってのが無理だよ 「なにするつもりなんだ?
アーロン 「単純に考えれば…… 「結婚を承諾することを材料にして…… 「シーモアと交渉するつもりなんだろうな
ティーダ 「なんの交渉?
アーロン 「さあな
ティーダ 「ひとりで だいじょうぶかなあ
アーロン 「フン ……望み薄だな シーモアの方が役者が上だ
ティーダ 「わかってんならさあ なんとかしない?
アーロン 「ユウナがそれを望んでいない
ティーダ 「んああ…… 「それもわからないんだよな オレたち 信用ないのか?
アーロン 「逆だな 「皆を巻きこまぬよう ひとりで解決しようと決意している
ティーダ 「うん そんな感じだ 「でも そっちの方が心配するっつうの 「話してくれるだけでいいのにさ
アーロン 「それができん娘なのだ 「生真面目で思いこみが激しく ……甘え下手だ
ティーダ 「は よく見てんなあ
アーロン 「ユウナは わかりやすい
ティーダ 「ははは…… 「たしかに
アーロン 「いつかガードの出番が来る 「その時は おまえが支えてやれ
リュック 「おそ〜い!
ティーダ 「わりい!
オレは不思議と落ち着いていた
ユウナの結婚は オレが想像するような
あれやこれやの結婚じゃなくて……
そう 旅を続けるための
ちょっとした儀式みたいなもの
そういうふうに考えられるように
なってたからだと思う
まあ なんていうか……
あきらめの境地ってやつ
だったのかもしれないけどさ
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