アーロン 「ユウナの使命を知っているはずだが
シーモア 「もちろん 「ユウナ殿の……いえ 召喚士の使命はスピラに平和と安定をもたらすこと 「しかし『シン』を倒すことだけが すべてではありますまい 「『シン』に苦しむ民の心を少しでも晴れやかに…… 「それもまた 民を導く者のつとめ 「私はエボンの老師として ユウナ殿に結婚を申しこんだのです
アーロン 「スピラは劇場ではない 「ひとときの夢で観客を酔わせても現実は変わらん
シーモア 「それでも舞台に立つのが役者のつとめ 「今すぐに答える必要はありません どうか じっくり考えてください
【ユウナ】 「うっ……
アーロン 「そうさせてもらおう 出るぞ
シーモア 「ユウナ殿 良いお返事をお待ちしています
<アーロン、去ろうとすると>
シーモア 「なんのためにとどまっているのです?
<アーロンの表情が変わる>
シーモア 「これは失礼 「我々グアドは異界の匂いに敏感なもので
<そして…>
ルールー 「大召喚士の娘ユウナとグアドの族長シーモア…… 「そのふたりがエボンの名のもと 種族の壁を超えて結婚 か 「たしかにスピラにとって 明るい話題になるわね
ワッカ 「でもよ ホントひとときの夢って感じだよな
ティーダ 「……っていうかさ 早く旅の続き行かない? 「冗談キツイッスよ
リュック 「あ やきもち?
ティーダ 「ちがうって! 「『シン』を倒すのが一番 それ以外は後回しだろ?
ワッカ 「よけいなことにまきこまれちまったよな……
ユウナ 「よけいなこと……なのかな
ティーダ 「マジッスか!
ユウナ 「わたしが結婚することでスピラ中の人たちが…… 「少しでも明るい気持ちになれたら…… 「そうなふうに役に立てたら…… それも素敵だなって思うんだ 「こういうことって 今まで想像したこと なかった 「だから よく考えてから 返事をしたいの
ティーダ 「マジッスか!
リュック 「結婚して旅をやめちゃうのもアリだと思うなあ
ユウナ 「旅は……続けるよ 「シーモア様も きっとわかってくれると思うな
リュック 「うん……そうだね
ユウナ 「わたし召喚士だもん 「『シン』を倒すって決めたんだから
アーロン 「ブラスカと同じようにな
それなら なにを考える
必要があるッスか!
……って叫びたかった
ユウナ 「わたし 【異界】に行ってくる 「異界で父さんに会って 考えてみるね
ルールー 「そうね 気がすむまで考えなさい
【ユウナ】 「うん
誰もユウナに聞かなかったのが
不思議だった
シーモアのこと
好きなのか? って
【グアド・ガード】 「異界は聖なる霊場ゆえ 無用の騒ぎは禁物ですぞ
<異界の門>
ティーダ 「質問ッス! 「異界のことなんだけどさ 「誰もが死んだら 召喚士が異界送りするんだろ? 「んで 死んじゃった人の魂は異界に行くんだよな? 「でさ これから行くのがその異界? 「そこにはユウナのオヤジさんがいる? 「ようするに 死んじゃった人が住んでんのか?
【ワッカ】 「うーん……
【ティーダ】 「あ……
ワッカ 「ま〜たヘンなこと 考えてんだろ?
ティーダ 「テヘヘヘ……
ワッカ 「ま 行けばわかるさ
<アーロンとリュックだけ、残る>
ティーダ 「どーして行かないんだ?
アーロン 「異界は気に食わん
ティーダ 「はっは〜ん 「怖いんだろ
アーロン 「未来の道を決めるために過去の力を借りる…… 「異界とは そんな場所だ 性に合わん 「……さっさと行け
リュック 「ホントはさ 死人じゃなくて 思い出に会いに行く場所なんだよ 「会いたいって思う気持ちに幻光虫が反応するの 「でね 幻光虫が人のカタチになる よーするにマボロシってわけ
ティーダ 「ふ〜ん
リュック 「じゃあ 行ってらっしゃい
ティーダ 「おまえ 行かないのか?
リュック 「思い出は 心の中に
ティーダ 「はあ?
リュック 「思い出は優しいから 甘えちゃダメなの!
<異界>
初めて来た異界のことより
ユウナの気持ちが気になってた
ユウナの両親って
仲良さそうでさ
そんなの見たら ユウナの気持ちも
結婚する方に かたむくかも……とかさ
ワッカ 「よう チャップ 「すぐに おまえに会いに来るつもりだったけど…… 「すまん!! 「これからシャキっとすっから かんべんしてくれ 「ブリッツボールも引退したし あとはガードひとすじだ 「おまえに なんとなく似てるやつが現れてな…… 「そいつといっしょに旅をしてるうちに……思った 「おまえもどこかで生きてるんじゃないかってな 「でも やっぱりおまえは異界の住人なんだよな…… 「はっきりわかったよ 「……なあ そっちはどうだ? 「あ さっき話したやつにな おまえの剣をやったんだ 「いいよな?
【ティーダ】 「はあ……
ルールー 「彼は死んで……私は生きている 「ここに来ると よくわかるわね 「そろそろ私も 人生前向きに考えないとね 「ふふふ……
ティーダ 「なに?
ルールー 「前向きってなによ……ってね
ティーダ 「チャップのことに こだわらないってことじゃないの? 「チャップには悪いけど 新しい誰かとつきあうとか
ルールー 「なるほど そういうのもアリね
ティーダ 「ワッカとつきあうとか
ルールー 「どうしてワッカが出てくるのよ
ティーダ 「だって 仲いいだろ?
ルールー 「仲いいのと そういうことは ぜんぜん別ね
ティーダ 「ああ……そうなの
ルールー 「そう おぼえておきなさい 少年 「女の子の気持ちをカンちがいして 恥かかないようにね
ティーダ 「……おぼえとく
ルールー 「私も忘れないようにするわ 「さよならチャップ 「いつも不思議そうだって あんたは言ってたけど…… 「楽しかったよ……とてもね
ティーダ 「で どう?
ユウナ 「決めたよ
ティーダ 「そ そりゃよかった で どっち?
ユウナ 「10年前 父さんが『シン』を倒した時のこと 思い出したのね 「わたしはベベルにいたんだけど 街中が大騒ぎだった 「みんな笑っていて とっても楽しそうだった 「『シン』を倒すのが一番の明るい話題 だよね? 「あれもこれも なんて よくばっちゃダメだよね
ティーダ 「じゃ 戻る? シーモアに返事するんだろ?
ユウナ 「その前に…… 「ジェクトさん……呼んでみない?
【ティーダ】 「え?
ユウナ 「だいじょうぶ きっと来ないから
思わないようにするのは
思うのと同じことなわけで……
ユウナ 「ほら 来ない!
オヤジは『シン』だから
ここには来ないってことか……
ユウナ 「きっと どこかで会えるんだよ
でも本当にオヤジが『シン』だったら……
オレは ユウナや……スピラの
人たちに なんてあやまれば……
いや どうしてオレがアイツの
代わりに あやまるんだよ……
ティーダ 「最低だな オヤジ
ユウナ 「ね どうしてそんなにキライなの?
ティーダ 「いちいち腹が立つんだよな アイツ 「アイツのせいで オレと母さんは……
<すると、ティーダの母親が目に映る>
ティーダ 「……母さん 「はは……出て来ちゃった
ユウナ 「きれいな人だね
ティーダ 「あれ? 「母さんは異界送りなんてされなかったのに……
ユウナ 「……生きてるときから 死を受け入れていたんだよ
ティーダ 「ひどいな それ オレ いたのになあ
ユウナ 「あ ごめん
ティーダ 「ん……いいんだ 「あ 「なんか オレ わかっちゃった
ユウナ 「なに?
ティーダ 「オヤジがキライな理由
<回想>
ジェクト 「な? そんでオレははっきり言ってやったんだ
【ティーダの母親】 「ほんと!?
ジェクト 「ったりまえだろ!
【ティーダの母親】 「ははっ そうだけどぉ
ティーダ 「お母さん……
【ティーダの母親】 「ちょっと待っててね
ティーダ 「オヤジがいると 母さんはオレのほうを見てくれなかった 「だからオレは オヤジがキライになっていったんだろうな 「オヤジが いなくなってからさ…… 「母さんはどんどん元気がなくなって
アーロン 「具合はどうだ?
ティーダ 「あんたには関係ないだろ!
アーロン 「あの人に死なれては 俺も困るのでな
ティーダ 「母さんが死ぬって言うな!
アーロン 「……悪かった
ティーダ 「近所のおばさんが言ってた 「つがいの鳥は どっちかが死んでしまうと…… 「残った一羽は あとを追うように死んでしまうって…… 「ほんとに……そうなった 「オレはますますオヤジを憎んだ 「でもオヤジ 本当は……
ティーダ 「お母さん……
【ティーダの母親】 「ちょっと待っててね
ジェクト 「行ってやれよ またビースカ泣くぞ
<回想終了>
ティーダ 「なんか オレ……
ユウナ 「ん?
ティーダ 「めちゃくちゃカッコ悪いよな
ユウナ 「そんなことないよ
ティーダ 「カッコわりいいいいい!
ワッカ 「どうだ? もうちょっと考えてくか?
ユウナ 「ううん だいじょうぶ
ルールー 「あんた なんかあったの?
ティーダ 「ははははは……
<そして…>
<異界の門>
ユウナ 「お待たせしました! 「シーモア老師に返事をしに行きます
<すると>
【住民A】 「うわぁはぁ!
<死人ジスカルが、異界から出てくる>
【住民B】 「ジスカル様!?
【住民A】 「おお……ジスカル様
アーロン 「迷って……いるようだな
ユウナ 「どうして……
アーロン 「ユウナ 送ってやれ 「うぅ……! うっ!
<アーロン、苦しそうに膝を地につかせる>
ユウナ 「ジスカル様……
ルールー 「もうジスカル様じゃない 早く送ってさしあげなさい
<ユウナ、異界送りをして、死人ジスカルを消す>
【ユウナ】 「うっ……はあ……
アーロン 「話は後だ ここを出るぞ
<異界への参拝路>
ワッカ 「さっきの どういうことだ? なんでジスカル様が?
<選択肢:「わかった!」or「だまって聞いてる」→「だまって聞いてる」を選択>
ユウナ 「ジスカル様ほどのお方が 送られずに亡くなるなんて……
ルールー 「異界送り されたのかもしれないわ 「それでも……スピラにとどまった 「強い とても強い思いに縛られていたら そういうこともある……らしいわ
リュック 「反則だよねえ それ
アーロン 「まともな死に方をしなかったということだな
【グアド・ガード】 「ジスカル様の件は くれぐれも ご内密に 「不吉なうわさが広まれば スピラの平和が乱れます
ユウナ 「わたし シーモア様に会ってきますね
アーロン 「ユウナ! 「ジスカルのことはグアドの問題だ おまえが気にすることはない
<ユウナ、行く>
ティーダ 「あのさ
ルールー 「なに?
ティーダ 「ユウナの結婚のこと どう思った?
ルールー 「旅を続けるなら どちらでもよかったわ
ティーダ 「それだけ? 「ユウナがシーモアを好きかどうか とかは?
ルールー 「人はいろんな理由で結婚するわ
ティーダ 「どういう意味?
ルールー 「あの結婚には そういう感情は必要ないってこと 「『シン』を倒して スピラの人たちを幸せにしたい 「明るいニュースで スピラの人たちを幸せにしたい 「ユウナにとっては どっちも同じなのよ 「必要なのは自分の覚悟 「覚悟があれば 感情はなんとかなるでしょ?
ティーダ 「……そうかなあ 「よくわからないッス
アーロン 「ユウナが戻ったら出発する 準備は まかせたからな
ルールー 「あのね…… 「私だって もし ユウナが結婚するんだったら……
ティーダ 「あ さっきの続き?
ルールー 「そう 「ユウナが結婚するなら 好きな相手と してほしいわよ
ティーダ 「だろ〜!!
ルールー 「でも…… 「ユウナが 好きな相手と結婚したいって言い出したら…… 「私は反対するわ
ティーダ 「は? 「言ってること ムジュンしてるッスよ
ルールー 「わかってるわよ
ティーダ 「あのさ
ルールー 「さっきの続きなら もうやめて
ティーダ 「なんで?
ルールー 「……悪かったわ 忘れてちょうだい
ティーダ 「ずるいよ……
ルールー 「理由は いつかわかる 「私は その理由を言葉にしたくない 「よけいなお世話かもしれないけど ユウナを好きになっちゃダメよ
<選択肢:「わかってる」or「好きになったもみたいだ」or「ルールーのことは?」→「ルールーのことは?」を選択>
ルールー 「そうね…… 「選択肢のひとつにいれてあげてもいいわ 「せいぜいがんばりなさい 少年 道はけわしいわよ
ワッカ 「いや〜 一時はどうなることかと思ったよなあ
リュック 「ここを出たら 次は通称【雷平原】なんだよね…… 「雷はやだなあ……
ルールー 「ジスカル様のこと 気になるわね…… 「シーモア老師は知っているのかしら…… 「グアドの問題はグアドが解決……か
シェリンダ 「あら 「召喚士様は ごいっしょではないんですか?
ティーダ 「ああ シーモアの家に行ってるんだ
シェリンダ 「シーモア老師 または シーモア様 ですね
ティーダ 「あ 気をつけます はい
シェリンダ 「それでいいです 「あ シーモア老師は 先ほどご出立されましたよ
ティーダ 「マジッスか?
シェリンダ 「【マカラーニャ寺院】へ向かわれたようです 「シーモア老師は あの寺院の僧官長でもありますから
ティーダ 「あ みんなに教えてやらなくちゃ
<シーモアの屋敷・エントランス>
ユウナ 「ジスカル様…… わたしにできること ありますか?
リュック 「ユウナ〜 いくよ〜!
ティーダ 「シーモアはマラカーニャ寺院へ行ったんだってさ
ワッカ 「マカラーニャ寺院だ
ティーダ 「そうそう
ワッカ 「……にしてもよお 「いくら老師さまでも なにも言わないで行くなんてなあ?
リュック 「こーんなに早く返事されるとき 思ってなかったんだよ
ワッカ 「あ そうだな きっと
アーロン 「ユウナ…… なにかあったのか
ユウナ 「……いいえ なにも
アーロン 「ふ……隠し事が下手だな
ユウナ 「本当になにもないんです 「さ 行きましょう!
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