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不思議な人形 作者:FLAIR

第1回   人形との出会い
「これが、中国土産なのか?  ばあさん。」                  
     
 ここは、練馬区、猫飯店。                       
 久しぶりに故郷の村へ里帰りしていた、コロンは、シャンプー、乱馬、あかね達に、 中国の土産品を見せていた。                       
     
 「土産と言っても、わしの村の倉庫から取ってきたものじゃ。」        
                        
 テーブルの上には、色とりどりの装飾品やら、小物やら、
 変わった品物ばかりが散らばっている。                         
 シャンプーは、指輪を手でいじくっている。                 
       
 「まあ、そうじゃろ。 倉庫自体、あまり開いたことも無かったのでな。
  里帰りついでに、虫干しもしてきたんじゃよ。」          
            
 コロンは、体こそ、小さいものの、貫禄がある。               
      
 愛用の杖を肩に乗せ、若者達が土産品を物珍しげに見てるのを、
 楽しそうに見守っている。                     
 「でも・・・   どれも、可愛いわ。」                  
      
 あかねも、テーブルに山と積まれたアクセサリーを、珍しそうに見ている。   
       
 どれも皆、中国大陸特有のデザインが施されていて、美しい。

 「ひいばあちゃん、私も見たことないものばかりあるな。」

 あかねは、自分の目の前に、小さな人形があるのに気がついた。         
               
 (中国の、男の子ってとこなのかな?)                   
     
 その人形は、チャイナ服を着せられていた。                   
      
 髪は短く、きりっとした眉毛が、りりしくも見える。             
       
 でも、あかねがその人形に気をとられたのは、一瞬の間で、
 すぐに他の髪飾りやネックレスなどに目が向けられた。                  
 「ひいばあちゃん、どれも凄く綺麗あるな。」                
      
 シャンプーも女の子。綺麗なものには、目がないようだ。
 「欲しけりゃ、お前達にやるぞ。」                      
      
 「ほんとあるか?」                        
 「嬉しい! おばあさん、ありがとうございます!」             
       
 あかねも、シャンプー同様、アクセサリーを選びに入った。 
 が、また、さっきの人形が目の前にある。                  
       
 (なんでかしら?)                
        
 不思議に思ったが、あまり深くは考えず、派手なペンダントに手を伸ばす。   
               
 「ったく、女ってのは、こんなのに弱いんだからよ。」           
 乱馬は、あまり興味がないようだ。                   
 「いいじゃない。 だって、可愛いんだもん♪」               
       
 「けっ 可愛くねえ女が、よく言うぜ。」                  
      
 <どかっ>           
          
 乱馬は、あかねに足蹴にされたようだ。                   
      
 「何ですって〜〜〜〜〜〜〜〜乱馬のばかっ」                  
 あかねが、再び、テーブルに向かうと、何故かまた、さっきの人形が目の前にある。                       
 (え・・・?    だって、私、人形はテーブルの奥に置いたよね・・・?) 
   
 コロンは、店の厨房に入ると、湯を沸かしだした。               
      
 「さて、そろそろ仕事にするかの。 欲しいもんは、あったかのう?」   
                         
 女の子達は、あわててアクセサリーを選んだ。                
       
 「私は、この指輪にするね。」                     
 「じゃあ、私は・・・」         
             
  あかねは、花の絵が施されている、小物入れを手に取ろうとした。      
  が、いつの間にか、さっきの人形を手にしていたのだった。          
               
 (ど、どうして?)
  
「あかね。  かわった物を選ぶあるな。」                  
      
 シャンプーは、あかねの手に持っている人形を見て言った。          
               
 「え、いえ、その・・・」 
                     
 あかねもその人形を見たが、別になんてこと無い、普通の人形にしか見えない。 
                        
 「ほら、あかね、そろそろ行くぞ!」          
 「う、うん。」           

 乱馬に促され、あかねは、その人形を手に持ったまま、猫飯店を後にした。

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Novel Editor