「これが、中国土産なのか? ばあさん。」 ここは、練馬区、猫飯店。 久しぶりに故郷の村へ里帰りしていた、コロンは、シャンプー、乱馬、あかね達に、 中国の土産品を見せていた。 「土産と言っても、わしの村の倉庫から取ってきたものじゃ。」 テーブルの上には、色とりどりの装飾品やら、小物やら、 変わった品物ばかりが散らばっている。 シャンプーは、指輪を手でいじくっている。 「まあ、そうじゃろ。 倉庫自体、あまり開いたことも無かったのでな。 里帰りついでに、虫干しもしてきたんじゃよ。」 コロンは、体こそ、小さいものの、貫禄がある。 愛用の杖を肩に乗せ、若者達が土産品を物珍しげに見てるのを、 楽しそうに見守っている。 「でも・・・ どれも、可愛いわ。」 あかねも、テーブルに山と積まれたアクセサリーを、珍しそうに見ている。 どれも皆、中国大陸特有のデザインが施されていて、美しい。
「ひいばあちゃん、私も見たことないものばかりあるな。」
あかねは、自分の目の前に、小さな人形があるのに気がついた。 (中国の、男の子ってとこなのかな?) その人形は、チャイナ服を着せられていた。 髪は短く、きりっとした眉毛が、りりしくも見える。 でも、あかねがその人形に気をとられたのは、一瞬の間で、 すぐに他の髪飾りやネックレスなどに目が向けられた。 「ひいばあちゃん、どれも凄く綺麗あるな。」 シャンプーも女の子。綺麗なものには、目がないようだ。 「欲しけりゃ、お前達にやるぞ。」 「ほんとあるか?」 「嬉しい! おばあさん、ありがとうございます!」 あかねも、シャンプー同様、アクセサリーを選びに入った。 が、また、さっきの人形が目の前にある。 (なんでかしら?) 不思議に思ったが、あまり深くは考えず、派手なペンダントに手を伸ばす。 「ったく、女ってのは、こんなのに弱いんだからよ。」 乱馬は、あまり興味がないようだ。 「いいじゃない。 だって、可愛いんだもん♪」 「けっ 可愛くねえ女が、よく言うぜ。」 <どかっ> 乱馬は、あかねに足蹴にされたようだ。 「何ですって〜〜〜〜〜〜〜〜乱馬のばかっ」 あかねが、再び、テーブルに向かうと、何故かまた、さっきの人形が目の前にある。 (え・・・? だって、私、人形はテーブルの奥に置いたよね・・・?) コロンは、店の厨房に入ると、湯を沸かしだした。 「さて、そろそろ仕事にするかの。 欲しいもんは、あったかのう?」 女の子達は、あわててアクセサリーを選んだ。 「私は、この指輪にするね。」 「じゃあ、私は・・・」 あかねは、花の絵が施されている、小物入れを手に取ろうとした。 が、いつの間にか、さっきの人形を手にしていたのだった。 (ど、どうして?) 「あかね。 かわった物を選ぶあるな。」 シャンプーは、あかねの手に持っている人形を見て言った。 「え、いえ、その・・・」 あかねもその人形を見たが、別になんてこと無い、普通の人形にしか見えない。 「ほら、あかね、そろそろ行くぞ!」 「う、うん。」
乱馬に促され、あかねは、その人形を手に持ったまま、猫飯店を後にした。
|
|