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神様の不平等 作者:米沢涼

最終回   ペンダント
 母と暮らすようになり、三年経った今は、高校一年に入学したばかりだ。
あれから父さんの事は、一切知らない。どうなったのかも、何が起きていたのかも知らない。
 変わったことといえば、高校にはいった事と、変わっていなかった。けれど、枡との関係が崩れたこと以外は。
 なぜ崩れたのかといえば、ただ高校が違うだけだった。たまにメルするくらいだったが、今では全然する気配すらない。
 緋月とは、メールもするし、よくあったりもする。たまり場で、よく兄貴とも遭遇し、今どうしているかという話も、良くしていた。
 兄貴の智晴は、今完璧の社会人で、一人暮らしも始めている。本当は、兄貴と住むか?という話にもなったが、兄貴は兄貴でやりたいようにやってと、説得も容れた。
 弟の智也は中学一年にやっとなった。あの明るい性格だからか、いっぱい友達も出来て、たまに家に連れてきたりとかもする。
 声変わりがまだで、昔みたいな甲高い声が、家の中をめぐっていた。
姉はというと、もう結婚し、色々と仕事に着いたりもして、一番大変な時期だと騒いでいた。
 兄弟は、ある決まった日になると、集まる週間になった。その決まった日とは、誕生日の日だった。その日は、必ず集まってパーティーをする。
 稔の家族に慣れた緋月は、たまに遊びに来て、パーティーを仲間入りすることがある。それをよく歓迎してくれる稔の家族は、気長い人たちで有名だったそうだ。
 稔の調子はというと、中一くらいのときよりも、全然笑うようにもなったし、学校でも、元気で有名と、結構人気があるのだった。
 頭もいいし、顔もかっこよくなり続ける稔は、周りから愛されている気がする。
 今も学校。いっぱい友達の出来た稔でも、色々と悩み事のあるころだ。
「あいざわぁ〜一緒に昼食べようぜ」
「え〜相沢君は私たちと食べるの!」
 かなりの人気者。男子から誘われ、女子から誘われ、引っ張りだこだった。
「じゃあ、皆屋上で食べようよ」
 チョッと微笑む感じで言ったら、そうしようかと、皆であきらめる。本当は一人ひとりと、やりたかったのだろうか?
 そんなこんなで、幸せな毎日を過ごしているが、まだいまだに色々と自分のことについて、解決されていない。
 神様。
 本当に神様というものは存在しているのだろうか。そして、もし存在しているのならば、神様は稔に平等にしてくれないものなのだろうか。
 不平等は、昔だ。今はなんだか、不平等には感じない。
 けれど、家にいるとき。かなり気まずいのだ。
 元々稔は、あの家に居るはずの人間じゃないのだから。
 父はどうなったのか。枡はどうなったか。色々と心配事が増えていく一方だった。

 今日の帰り、川の近くにとどまっていた。
 近くの草原に座り込み、ずっと水の流れを見つめていた。
 ポケットから、たった一つのあるものを手にした。
 それは、たった一つのペンダント。それは、昔父さんがお守りにと買ってくれていたのだ。母さんと別れてから数年ずっと、首にぶら下げていた。けれど、もういらないと思ったのは、母さんと暮らすようになったときだった。
 それからポケットにしまうようになった。けれど、もうこのペンダントは必要ない。
神様が決めたことでも、仏様が決めたことにも。
 誰もに平等で、すべてに平等で。神様は不平等を稔に送らせた。だからか、今の稔は昔みたいに弱くない。
 笑顔を出せなくなったあの日から。稔は年を重ねるとともに、進化していくものだというものを、知った気がする。 
 そっと右手首を見た。
 いつの日に貸したリストカットが、いまだにあとが残っている。その傷に、そっと左手でなぞった。身体がゾクゾクと震え上がった。リストカットを、もう一度しようなんてことは、考えられなかった。
 怖いわけではない。
 やる意味が全然ないからだ。
 今思えば、あれから一回しか切らなかった、自分にすごいと思う。
 袖を戻し、稔は立ち上がった。ペンダントを片手に持つ。そして、流れる水のギリギリに立った。
 ペンダントを持っている左手を差し出し、キラキラ光水に、キラキラ光ペンダントを落とした。
 ポチャン・・・
 その悲しい音は、今でも覚えている。   

 作者〜・・・
 この神様の不平等を最後まで読んでくれて、どうもありがとうございます。深々とお礼させていただきます。
 最後まで読んでくださったついでに、この感想を気軽に書いてくれたら、嬉しいです。というか、一言くらい書いていってください。良ければ。
 感想といっても、あぁすればこうなるんじゃない?とか、アドバイス的なのも受け付けています。これからも、良い小説ができるよう、腕を上げたいと思っています。
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