■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

作者:米沢涼

最終回   手紙と冷たい手
       俺の郵便受けには、一通の手紙が送られていた。

 薄暗い部屋で、その一通の手紙の入った真っ黒な封筒を見つめていた。
 まだ中身は見ていないが、差出人も書かれていない不気味な手紙。ただ、書かれているというのは「藤田錐(フジタ キリ)」という俺の名前だけだった。
 だけど、見つめているだけでは先へは進まないと思い、俺はゆっくりと封を開けた。


 俺は男子校に通う、青春時の高校一年生。今は夏で暑く、運動好きならば動き回れという時期だった。
 けれど、運動が苦手というか、嫌いな俺はのんきに教室の中で、本を読みながらチョクチョク野球部を見下ろすのが楽しかった。
 人の頑張っている姿を見ていると、なんだか落ち着く。こんなことは他の人にも感じた事があるだろう。きっとそうだ。
 家に帰っても、特にこれといった事が無いからか、大半は学校で過ごしている。
 楽しい友達とワイワイするのも好きだ。というか、たいてい友達と一緒にいた。けれど、放課後は独りで教室に居る。これもまたいいことだった。
 そんなのんきな俺に今日、帰ってみると手紙が来ていたら、なんだか楽しみにもなる。だが、一番は怖いになる。


 今・・・白い便箋を見た。

 文字は真っ黒な文字で、直筆らしい。悪気があるのかはわからないが。
 ゆっくりと内容を読み上げていった。

「藤田は良い人ね。たまに私の前に現れてはにっこり笑って、私に挨拶してきて。そんな私の気持なんて知らないでしょうね」

 すべて読み上げると、背筋にスゥッと何か冷たいものがとおっていった。
 俺は怖くなって後ろをフッと振り向いた。
 何もないことを確認して、また手紙に目を戻した。
 なんだか言葉の終わりには、草を刈るときの鎌が書かれていた。
 立ち上がり、窓まで急いでいって急いで開ける。そして、周りを急いで見回した。

 誰かが見てるんじゃ・・・

 不吉なことを考えているような気もするが、俺にとってなんだか気が落ち着かない。 ハラハラすることも、ドキドキする事も好きな俺は、なんだか本当に楽しみになっていく。
 これから静かに、今まで通りにしていれば、とりあえずまた手紙は来ると思う。俺の勘は意外と当たる時が多いから。

 次の日の午後も、教室にこもって本を読んでいた。
 いろいろと周りに警戒していた。だからか、本は一向にページをめくれないでいる。
 よぉく耳を澄ます。すると、今日気付いた。あちらこちらでクスクス笑い声が聞こえる。俺はそっちに耳を傾けた。
 何を言っているのかを聞き取ろうとしたが、何を言っているのか聞き取れなかった。

 大体の人はそうだろうが、俺は女子の甲高いキンキンした声が大っ嫌いだ。
 好きだという人はいないだろうが、あれはどうしたもウザったくて仕方が無い。よく話すことうるさい子では違うように、なんだか俺は女という種族には、どうもついていけない種族と、気の合う種族がいる。
 手紙の相手はきっと女
 あの内容からだったら、一・二度は挨拶やらなんやらしたことがあるだろう。
 女子とは男子とつるんでいる仲、結構話したりとかも流れ的になる。まぁ俺はそれもいやじゃない。

 無理だと諦めた。無理に集中させると、頭が馬鹿になりそうだった。
 本をバンッと閉じ、机において外を見た。
 野球部がヤッサラホッサラ頑張っていた。俺は見るの専門だ。
 椅子から立ち上がり、窓を開けて、軽く身を乗り出した。
 気をつけて窓のサンに思いっきりよしかかった。そして、のんびり陸上部のほうやら見ていた。

 ドンッ

 急に後ろから押されて、体重が外に行っているため、かなり身を乗り出してしまった。

 何とか上のサンに右手をかけたので、何とか生き延びた感じだった。
 急いで振り向いた。
 キョロキョロ見回すが何も気配は無い。それに、人がいた形跡も無い。

 ゾクゾクッ・・・・

 かなり背筋が凍りづいた。しゃがみこみ、腕をさする。
 本を急いでカバンの中にしまい、走って教室を出て、廊下を走っていった。

 ドンッ

 誰かと肩と肩がぶつかった。
 俺は振り向くことも、誤ることもしないで、とりあえず学校を出て行きたかった。
 校門を出てまだ暫く走っていた。
 ここまでくればと思い、俺はゆっくりと足を止めた。
 ひざに手をつき、整わない息をゆっくりと戻していく。
 ふと見ると、すぐそこに公園があった。ゆっくりと公園に足を運ばせた。

 キーキー

 鉄の音がかすかになり続けるブランコと言う懐かしいものに座った。
 空高く鳴り響く音。俺はなんだか落ち着くなぁと、のんびりしていた。
 ゆっくりと青い空を見上げた。
 真っ白な雲がゆっくりと風の方向へと向っている。

 何分経っただろうか。
 俺はずっと見上げている。さっきまで何があったかを忘れて。のんきに疲れた首をポンポンと軽く叩いていた。
 すると、周りの景色がグルンと変わった。一瞬にしたことだが、俺は急いで右手を前に出した。
 砂に手が当たりそのまま身体を前転させた。
 背中に痛みがかなり走った。
 前転下からではない。
 首を軽く叩いていたとき、背中から誰かが蹴った。
 グラグラする頭を軽く押さえながら、後ろを向いた。
 また誰もいない。

 フー・・・

 一息ついた。
 なんだか何かが引っかかっている気がする。その何かがわからないが、なんだか俺には取り付かれているのか、恨みを持っている人がいるのか・・・いる
 俺は早歩き・・いや、走って家に帰って行った。
 すぐにポストを見た。

 体内時計は大体二分止まった

 寒気が背中から差し出す右手に通る。

 一通の手紙

 俺は寒気でほとんど間隔の無い右手で持ち、差出人を見た。 

 体全部に寒気がした。
 差出人はかかれていなかったのだ。書かれていたのは、俺の名前のみだった。
 手紙をギュウッと折り目がつくくらい、いつの間にかチカラを入れていた。
 ハッと気がつくと、俺は急いで部屋に入り、急いであけた。

「今日もいつもどおりのあなた。ひどいわ。今日はこっちを向いてくれなかった。挨拶もしてくれなかった。昨日の手紙・・・読んでなかったの?ひどいな・・・私はきょう。あなたを呪ってやる。どんな気持をしているかわからないのに・・・・私がこんなに苦しんでるのに」

 俺はスッと手紙を落とした。というか力が抜けて落ちてしまったといったほうが確実だったかもしれない。
「あなたを呪ってやる」
 今日のあの手と足。いや・・・足はどうだったかはわからない。手だったかもしれない。あの記憶だけさらりと消えてしまった。ただ、背中が痛かったからそう感じさせただけだった。

 いじめ

 これは単なるいじめに過ぎないかもしれない。
 呼んで学校を休むなどとしたら、きっと女子や男子はどこかでクスクスと笑うかも知れない。それに俺は、こんなのじゃまけやしない。というか、やってやろうじゃないかという心しか出てこなかった。
 きっと俺が考えていることだとしたら、こっちの勝ちだろう。

 どうにかなる

 俺は手紙をポイッと机の上に放り投げ、リビングに降りていった。


 次の日も俺はいつもどおり、何も考えずに学校に向かった。
 何もかもをいつもどおりに進めていった。

「桐〜・・・頼む!宿題写させて!」
 何時間目だっただろうか。数学の宿題を友達に見せてくれと頼まれた。
「お前・・またかよ〜」
 笑いながら文句を言うくせに、俺はちゃっかり友達にノートを渡した。
「サンキュ」
「なぁ俺のうつしていい?」
「おぅ!写せ写せあってるかどうかは保障しないぜ」
「お前のことだ百%当たってる」
 いつもの二人組みはいつもわざとなのか、忘れてくる。それで俺ら三人組だ。
 突っ込みとボケで言うと、俺は突っ込みのほうだった気がする。
 そんなのを俺らはしていたが、二人とも野球部だった。
 放課後残るのは、大体そいつらを見るのが楽しみだったかもしれない。けれど、変える方向が方向だからか、一緒に登下校は共にしない。

 もし手紙がこいつら二人のどちらかだったら・・・

「今日はこっちを向いてくれなかった」

 いや。二人ではない。こいつらのほうを向かない日は無い。
 今日も何なりと授業が始まる。
 学校は嫌いじゃない。一度言ったかもしれないが、なんだか落ち着く。いや言っていないかも。

 いつもどおりの放課後。俺は何が来ても受け止めてやる。受け入れてやる。そう力を入れていた。少しはこういう生活にも慣れてみたいものだ。
 カバンの中から、いつもの本を取り出した。そしていつもどおり読む。
 今日は警戒しないで、いつもどおり肩の力を抜いて読んでいた。もし殴られたりとかしても、とりあえず様子見くらいはしたいからだ。

 どうにかしてこっちから手紙を出すことは出来ないのだろうか

 俺はふと思った。
 というか、持っている本でその台詞(せりふ)が書いてあったからだ。
 パンッと本を閉じた。そして、ポンッと机の上に倒す。

 こっちから送る。
 ということは、こっちのポストに置いておけば勝手に取って行ってくれるのだろうか。いや。それはダメだ。親が取り出したら面倒なことになってしまう。というか、差出人の名前がわからない。
 俺は机に伏せた。
 何も思いつかない。何もいいアイディアが思いつかない。
 どうすれば良いのだろうか。放っておけば良いのだろうか。だが、俺は手紙の相手がかなり気になる。どういう人なのか。どういうことをしてる人なのか。
 今の情報だと、学校と家の間で会う人なのか。それか学校の人か。どっちかというあいまいな範囲だが、今のところだと、ここまでしかわからなかった。

 時間は待ってはくれなかった。伏せて考えているうちに、いつの間にか帰らなければならない時間になってしまった。
 俺はため息をつきながら、カバンに本を入れた。すると、ふと思った。

 書いた人は同一人物なのだろうか。

 もしかしたらあっちの仲間は他にもいるだろう。その場合、書いている人は同じなのだろうか。なんだかそういうところも探し出せば面白いことがわかるかもしれない。
俺はゆっくりと学校を出て行った。

 ポストを確認すると、やっぱり一通手紙が来ていた。
 即行部屋に上がっていった。そして、今まで来たのをすべて出した。そして、今日来たのを読む。

「桐・・今日の放課後どうしたの?何かいいことでも思いついた?それとも本を読みながら寝てた?(笑 」

 それだけだった。
 俺は急いでその三つの手紙を並べてみた。
 自体は同じ。
 パソコンでやったかのように、並び方もきっちりだ。途中なんだかおかしな字も無い、完璧な字だった。
 定規でもない。よく悪巧みするやつらは、定規というものを使いが、これは完璧使われていなかった。
 とりあえず、書いた人は一人かどうかはわからないが、どちらかというと、全部同じ人だと思う。きっと。

 俺は窓を開けて、新鮮な空気を入れた。
 家のポストのほうを見ると、なんだか人影が。俺は後先考えないで、部屋にある予備の外靴を持ち、窓から降りた。
 昔から夜抜け出すために、いろいろやってきていた。そして、実行もしていたから、二階から降りることなんて簡単に出来た。
 隠れた。すると、なんだか髪の長い女の子。確か同じクラスだった。
 ほんとにいちお顔を合わせては、こっちから手を振ってみたりとかもしていた。
 すべて俺のせいだったのだろうか。俺は、こっちにフッと振り向こうとしているそのこの近くに寄った。

「うわぁ!」
 かなり驚いている顔だった。俺は真剣な顔をしておいた。
「ねぇ、手紙・・・あなたじゃないよね?」
 俺はそう聞くと、驚いている顔から、普通の顔にもどった。
「手紙?」
 この子は何も知らないのだろうか。ほんとに気のせいなのだろうか。
「あぁ・・俺・・のところに入れたりとかした?」
「いいえぇ〜・・・ここに来たの今日初めてですから」
 と、ハタッとした顔で言った。
 この子に限ってそれは無いか・・・というかここまで疑わなくても良いか。
「いや・・・なんでもないわ。ごめん・・」
 俺はすぐにどこか違うところに行こうとした。どこか行こうとしたら、いつの日かの公園にたどり着いた。
 ブランコは怖いということで、滑り台の一番上に座って考えた。ここだったら、押されても滑っていくだけだった。

 青い空にまた白い雲があった。俺はこの雲が大好きだった。
 今にでもつかみたいがつかめないところ。
 俺はそんな雲が好き。

「あっれ〜?桐じゃんけ!何してんの」
 あの二人組みだった。一人は高瀬悠馬。もう一人は本条允(ほんじょう まこと)野球部だ。いつの間にか私服できていた。
「お前らこそ・・どうしたの?」
 スーッと滑り台を降りて、高瀬たちのところに向っていった。
「え〜?だってお前の家行ったって居ない言ってたんだもん・・」
 リスのようにほっぺたを膨らませて、というか、もっというならフグの方が似合っているかもしれない。
 膨れた頬を俺はバシッと、両方から叩いてやった。
「ブッ・・・なにすんだよ!」
 頭をバシッと叩かれた。
「おれのもやって〜」
 北条は後ろを向いて、何かを準備したあと、膨らませた頬をこっちに向けた。俺は何も知らないで、バシッと叩いた。

 ビシャッ

「うわ〜・・・なにすんだよ・・・」
 急に北条の口からジュースみたいなのを吹き出された。
「ハッハ〜引っかかってやんの〜!」
 北条と高瀬は爆笑していた。俺は北条の持っていたジュースを奪い、思いっきり二人にぶっ掛けた。
「ウワッ・・このやろう〜!」
 なんて馬鹿なことを公園でしていた。

 こいつらには助けられたのかもしれない。
 俺のしんみりと考えていたことなんて、さらりと忘れさせるくらい、バカ騒ぎの元にしてくれた。


 俺はのんびり家に帰っていった。玄関の前でポストを確認する。すると、予想していなかったものが・・それは一通の手紙だった。
 差出人不明。俺の名前だけ。俺は急いで二階に上り、窓から入っていった。

 急いで中身を確認する。
 
「なに三人でバカ騒ぎなんてしているの?やっぱりいつもの桐君ね。最初は見てくれてないのかな?っておもったけど、ポストに何もないってことは、いちお封筒くらいは見てくれてるのだろう。いや・・桐君なら絶対に中身を見ているわね。こんなのを放って置く人じゃないものね。どう?私の正体がしりたくなってきた?」

 あの短時間でこれを書いていたのか。
 バカ騒ぎ・・・どこで見ていた。俺はいちお周りを確認してからにしておいたはずだ。俺は何を失敗していたんだ。
 いや・・これは毎日のように冷静にしているのが一番だ。
 俺はとりあえず、落ち着こうと一息ついた。ふと見た行に、こんなことが書かれている。

「桐君」

 俺は他の手紙を見た。

「藤田」「あなた」「桐」「桐君」
 
 俺の呼び方がすべて違う。人が違うのか、単に分を考えているのが違う人なのか。俺はまた新たなことに気がつく。けれど、こんなことじゃ「名探偵コナン」とか「じっちゃんの名にかけて」を言った人みたいに推理少年ではないので、とけるわけない。
 ここら辺は無視しておくべきなのだろうか。
 俺はなんだか不安になってきていた。

 次の日。いつもどおりの学校。いつもどおりの人たち。いつもどおりの俺。
 そしていつもの空。俺は昼休み。屋上にいた。
 屋上は気持がよかった。青い空が上にあって、白い雲もある。俺はそんなのほほんとした生活を望んでいた。けれど、こんなあたふたな生活も良いかな?とかも思う。
 俺の生き方が楽しさに変わったのは、あの手紙のおかげかもしれない。

 放課後が来た。俺はなんだか放課後というのは、ちょっと怖くなってきているのか、背筋にかなり寒気がとおっていた。なにかあるのか、なにかあったから怖いのか、俺のことなのにわかリャしなかった。
 いつもどおり本を読む。本を読むが、一向に頁(ページ)は進んでいかなかった。
 頭が手紙でいっぱいだ。ダメだダメだと思いながらも、どうしても考えてしまう俺は、何も考えていられなくなり、本をカバンの中に入れて、顔を伏せた。
 なんだかこんなのも嬉しいかもしれない。毎日毎日が、違うことを考えて。けれど、これはいつまで続くのだろうか。フッと消えたりとかもありえることだろう。
 俺はなんだか余計怖くなってきた。
 こんなに怖くなる俺も俺で、なんだかおかしくなってきていた。
 ゆっくりと立ち上がり、壁によしかかって、そのままズルズルと下りていった。しゃがみこみ、俺は頭を抱えた。

 家に帰ると、また手紙に出会った。
 部屋にゆっくり戻っていった。そして、中身をゆっくりと開けて読む。

「明日の放課後・・校舎裏に来てください。きちんと話をしたいです。待ちぼうけをさせるつもりも無いんでそこらへんは安心してください」

 次の日の放課後。
 約束どうり、校舎裏に向った。
 すると、女子三人が待っていた。
「君たち」
「やぁ。手紙・・読んでくれたっぽいわね」
 なんだか強気で腕組していて、ポニーテールが似合う女子が言った。
「ありがとうございます」
 頭を下げる、クロが似合い、三つ編みをしているおとなしそうな子。
「本当に着てくれるとは・・思わなかった」
 ショートヘアーのチョット冷静な子が。この三人がいた。俺はぴたっと固まった。なんだか予想とかなり外れていた気もする。
「なぁ・・なんなわけなの?俺・・・に・・恨みでもある?」
「いいやぁ〜なんかさ〜・・・チョット気になって」
 強気の女が言った。なんだか何かがうまく行き過ぎている気がする。
「気になってでこんなことするの?」
「乙女心というのをわかってないなぁ〜」
 冷静そうな子は俺の目の前に来た。背は俺が元々低めだからか、チョット目線が同じくらいだった。
「私たち三人・・・あなたのことが好きだって言ってるのよ!じゃないとこんなことしないわよ!」
「お・・・おれを・・好き?」
「そうよッ全く乙女心がわかんないかしら」
 なんだか嫌みったらしく言われると、なんだか・・・・って感じになる。俺はどうすれば良いのだろうか。この三人とも、性格がそれぞれ違う気がする。俺はどうすれば良いのだろうか。
「ごめん・・・俺・・・あんたらの事・・よく知らないから」
 と俺は、走ってその場を離れた。
 こういうときはこれが一番いい。下手して付き合って、なにかあったら俺が後悔する。それに、向こうにもいい恋愛というものをしてほしい。
 俺はそのまま家に帰っていった。そして、ポストを見る。何も入っていない。当たり前だ。入っていたとしたら、俺よりも早く帰って入れているということになっている。
 悩みながらも俺は一日を頑張った。

 朝。ポストを見ると、一通の手紙が合った。

「あなた・・・・明日死にますそれか死に掛けるわね」

 それだけ書いてあった。俺は封筒にそっとしまい、机の上に置いた。今日は土曜日。明日は日曜日だった。日曜になにかあっても確かに問題は無いかもしれない。けれど、殺される。いや・・部屋に閉じこもっていれば・・
 俺は明日一日ずっと部屋にこもっていることにした。

 次の日。予告どおり来るかどうかわからないが、俺は部屋に閉じこもっていることにした。いや・・何かのために家に閉じこもるといったほうが良いのだろうか。
 
 プルルルル・・・

 呼び出し音。誰からだろうか。電話が来た。
「ハイもしもし藤田ですけど」
 俺はゆっくり電話に出た。
「あ!桐か!俺俺・・允だよぉ〜ん。なぁ、今日ってか今から遊びに行ってもいい?」
 遊びに来る。けど、来るなら俺は出て行かなくても平気だ。それにこいつらだったら平気かもしれない。
「あぁいいよおいで」
「わかった。んじゃ悠馬といくわぁ〜」
「おう」
 そう言ってきった。
 なんだか来るのが楽しみだ。なんて行ったって、暇にならなくて良いのだから。

 暫くすると、二人は来た。そして、俺の部屋でじゃれながら遊んでいた。
「あれ?なに?この手紙・・」
「あぁ・・気にしないで」
「そう」
 机の上から允は取ったが、すぐにフッとつくえにもどした。すると、俺の目の前に急に座った。丁度俺の後ろは壁だった。
 俺はなにするのかなぁとのんびり考えていた。
「なぁ、お前・・・死んで」
 言われるとすぐに首を絞められた。
 俺はあがきにあがいたが、ジタバタさせる腕や足は、悠馬に止められた。
 感覚がなくなってくる。
 けど、一つだけ感覚があるのは、允と悠馬の手が冷たかったことだけだった。

■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections