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| あれから数年たち、櫻はもう立派な大人と言っていいのだろうか、十八歳になった。 きちんとした仕事が出来るようになり、いつの間にやら村人たちが、櫻のために大きなものを作りましたという連絡が入り、櫻は言われた場所に行った。
 そこは、大きな草原の中だった。
 
 呆然と立つしかなかった。
 櫻の目からは大粒の涙が出てきた。
 「櫻様!どうなされました?」
 「どうもこうも・・・・これが・・なけないで居られるか」
 優しいこの村人たちのおかげで、櫻の表情がコロコロ変わるようにもなった。
 「この・・大きな桜を・・」
 そう。櫻の目の前には、多くくそだった桜の木だった。
 「ここの王。我々を守ってくれる王。櫻様のため作ってみました・・・」
 「ありがとう・・ありがとう皆」
 「王様・・そんな泣かなくても」
 櫻はしゃがみこみ、目をこすりにこすって、涙をふき取った。
 「こんな・・いいものを・・ありがとう!」
 「優しく慣れたのは、櫻王だったからですよ」
 村人にはこんなにも優しくされていた。
 そのおかげで、無理に悩むことがかなりなくなったのだ。
 
 
 夜。
 寝る前に窓を開けた。そして、ベランダに出た。すると、なんと嬉しいことか。あの 大きな桜が丁度見えるのだ。
 それを見て思い出す。
 夜須の顔。
 どうしても夜須は櫻にとっての人となったのだ。
 
 夜須
 帰ってきてくれ。何で・・お前は俺の見方についてくれた・・俺は・・まだ本心を言っていないのに
 
 「夜須〜〜〜〜〜〜!」
 ベランダから思わず怒鳴ってしまった。
 「うるっさいなぁ〜そんな怒鳴らなくても聞こえてるよ」
 櫻はフッとした瞬間に、後ろに振り向いた。
 夜須がいたのだ。
 「何で・・・ここに?」
 「こいつを脅した。」
 指を刺す向こうには、あの高かった背が、想いっきり夜須の脇に挟まっていた。その人物とは、櫻の能力(チカラ)制御してくれていた、ヒューセイだった。
 「こいつ・・乱暴すぎ・・」
 かなり苦しそうだ。
 そんなの無視に、櫻は夜須に飛びついた。
 「夜須!ありがとう。夜須が・・夜須がいてくれて・・こんなに嬉しい・・もう・・・」
 「日本語しゃべれ。けど、俺も久し振りに会えてよかったよ」
 なんだか側から見たら、おかしな人たちだったが、それもそれで良いのかもしれない。
 
 
 夜須・・ありがとう。夜須のおかげで闇がもう怖くない
 
 来てくれて本当に嬉しかった。
 仲間ってこんなにいいものだとは・・本当に夜須のおかげでわかった。
 俺のすべては夜須を中心に回っていたのかもしれない
 ありがとう
 やっと入れる日が来た
 
 「夜須。最高の仲間だ」
 
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