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| さぁてこれからが大変になってきた居た櫻たち。思ったよりも順調に進みすぎている。本当はもっといろいろと追っ手がきてもいいころなのに、なかなか見当たらない。 櫻一人のときとは、いろいろと変わってきている。
 「なぁ〜お団子食べたいよぉ〜」
 内面子供の夜須が、駄々をこね始めた。櫻よりも二つ年上の癖して。
 「少しは我慢という言葉を身につけたほうが良いんじゃないんですか?」
 「だってぇ〜・・・っていうか、俺より年上なんだから敬語やめなよ」
 そういうことを言うのは、まだ大人っぽいのだが、やはり子供に見えてしょうがない櫻である。
 元々居た場所を離れようと思ったときは、丁度櫻が夜須に会ってからだ。
 目指す場所は「フォーサフトォーム」に向っている。
 
 「なぁ〜チョット休もうぜぇ〜?」
 「それ・・さっきも聞いたし大分昔にも言ってただろ・・すこしは体力つけるぞ・・」
 言いながら振り向くと、夜須はもちろん漆まで地面に座っていた。
 「なぁ・・・お前ら困難で疲れた言ってて平気なわけ?これから」
 「少しはゆっくり行こうよ。」
 「お前が寝てから、かなりスピード上がった!」
 あげているつもりは無いが、ただ単に夜須たちの体力が馬鹿みたいに無いだけだ。
 「何で櫻はそんなに体力があるのかが不思議だ」
 体力があるわけではない。ただ単に、足の筋力がありすぎるだけだった。
 何もかも、風沙・・・母の力のおかげだった。
 
 この追っ手というものが出来てきてから、母や父は殺された。その両親の刺青を取ろうとするやつらをこらしめ、その刺青を奪い返した。そして、自分のものにしたのだ。
 
 母の風沙の力は風。
 この間知ったのだが、その風沙のおかげで、風が操れることも発覚した。
 
 そのおかげで櫻には、その速さについて行けれるような筋力が無いといけないため、必要以上に筋力がついたのだ。
 逆に夜須たちの筋力・・夜須は腕がかなり筋力がある。他はダメらしいが。
 漆は、特にこれといった筋力は無いが、腹筋背筋の筋力はあるらしい。けれど、その筋力でどうするつもりだろうか。
 櫻は足。けれど、腕などには筋力が無く、普通の人より力が無いかな?というくらいだった。自分を支えるので大体やっとらしい。
 あまり人のことをいえないが、足の筋力がないと、この先やれないということくらいは、わかってほしかった。
 
 「なぁ〜櫻も座れよ」
 「休んだら余計疲れる」
 「そんな深いこと考えるなって・・・」
 「あのなぁ〜・・・そんな深いことってそこまで深く考えてないから」
 「そうかなぁ〜?」
 疑問をもっと深く疑問にしたがるのか、夜須はその深くが気になっていた。
 
 
 結局休むことになって、数分後。夜須が立ち上がった。
 「ウシッ行くか」
 「おぅ」
 「これで休憩無しだから次のところまでは」
 「次って?」
 「次は降りる」
 そういうと、夜須の表情が固まった。
 「降りるって・・・急斜面って事?」
 「急斜面ってわけじゃないけど、登った山を降りる感じかな?」
 「まじで・・・・?」
 夜須の顔から血の気が引くような、ボケーッとして何も考えられなくなってきているような顔だ。
 「降りは嫌いなの?」
 「嫌い・・・嫌いだよ」
 しゃがみこんだ夜須。
 「何か深いことでもあるの?」
 漆が何も考えないで聞いた。すると、石化する夜須。
 「そ・・・・・それが・・・・」
 
 
 「マジでか!」
 「なっさけねぇ〜」
 驚く漆に、呆れる櫻。
 「そんな笑うなって漆!それに呆れないで・・・」
 「けど、あの時崖平気だったんじゃ・・・」
 「馬鹿いえ。隠してたんだよ動揺というか振るえというかを・・・」
 「あれ?木登ったよな?」
 「あれくらいの高さは平気」
 そう・・・夜須は高所恐怖症だった。なかなか笑えるようで笑えない話。
 「けど、本当に高所恐怖症の人なんていたんだぁ〜」
 腹を抱えてまで笑う漆。
 「うるっさいなぁ〜!」
 「けど、今は降りないといけないんだけど」
 「うん。がんばる」
 
 
 結局着いてしまった降りる場所に。
 「した見ないほうが良いぞ」
 と思いながら、櫻は先に先にと向っていく。
 「チョットまってよ櫻」
 櫻は立ち止まり夜須が来るのをまってやった。
 「あ・・・」
 「な・・なに?」
 「夜須・・・お前さ〜・チョイ耳貸せ」
 と櫻は夜須に言った。
 
 ゴニョゴニョゴニョゴニョ
 
 「あ・・・良いかも・・・」
 「じゃあ行け。下で待ってろよ」
 「うん」
 夜須は先に向っていった。さっきまで腰が引けていたような気がする夜須が、ピョンピョン飛び降りていく。
 「な・・・なにをいったの?」
 「内緒」
 
 
 『お前猿になって行けば怖くないんじゃない?だから先に行けよ。下見ないでひたすら降りていけ』
 
 
 そういっただけだった。
 「櫻って・・・やっぱり説得力あるのかな?」
 「説得力とかの問題じゃないよ俺がいった事はね」
 「本当に何言ったの?」
 「気にすること無いさ。さて・・・置いて行かれないように先に進まないとな」
 櫻は漆よりもスタスタと行ってしまう。
 「早ッまってよ・・・」
 
 夜須・・お願いだからあれだけは取らないでくれ・・
 
 
 「先に降りたのは良いけど・・やることが無い・・」
 そう。早く降りてきてしまった夜須は何をすることも出来ないのだ。
 ふと自分の手を見ると、桜がついていた。掃おうと思ったが、払おうとした手が止まった。
 
 もしかして・・・迷いやすい俺に櫻がつけたのかな?
 
 軽くそう思っていた。けれど、本当だ。手だけではないが、いろいろなところにつけておいた。迷わないよう。見つけやすいように。
 こう思うと、こういうことをするのは、なんだか櫻らしいというかだった。
 学習能力のある櫻は、この前迷いやがった夜須のため、自分のためにつけておいた。
 まぁそんなところだった。
 
 「大丈夫なんですか?夜須・・さんは・・」
 「大丈夫じゃない?まぁ深いこと考えてられない。その前に自分のこと考えなよ。意外と上ることより、降りることのほうが結構体力使うから」
 「そうなの?」
 「うん。」
 「そりゃがんばらないと・・で、何でそんなに櫻さんは体力があるんですか?」
 「ってか体力無いとやって行けれないし、元から走ったりするの嫌いじゃないし」
 「そうなんですかぁ〜」
 「聞くけど、何でこんなことになってるのに、体力が無いんだ?」
 「こんなことになるなんて思ってなかったから。櫻さんはわかってたんですか?いつかはこうなるって」
 「あぁ・・・なんとなくな。」
 「へぇ〜」
 「さすがに疲れてきたな・・・」
 「ハイ・・チョットきついです」
 「さっき気をつけろ言ったばかりなのにな」
 ハハッと軽く笑う櫻。チョット降りる素ビー度が落ちた。というより、止まる櫻。
 「休みますか?」
 「いや・・・チョットまってて」
 そういうと、空から桜がゆっくりとまってきた。
 櫻は一つそれを取った。そして、ペロッと舐める。
 「漆もこの桜舐めな」
 「あ・・・あぁ・・」
 恐る恐る漆も桜を取り、ペロッと舐めた。すると、空からの桜は無くなり、漆の体力がグゥンと回復するのがわかった。
 「すごい・・・なんなんですか?これ・・」
 「復桜(ふくおう)」
 「復桜?」
 「そ・・・回復する桜」
 「ここら辺にはそんなところがあるんだ・・」
 「無いよ。俺が居ない限りは」
 「え?」
 「さて・・・先に進むぞ」
 櫻は歩き出した。
 「あ・・そっか・・・櫻さんは桜を操れるんだっけ?」
 「今更思い出して」
 「けど、こんな力もあるんだなぁ〜やっぱり最強ですね櫻さん」
 「当たり前じゃん」
 「体力もあるし、筋力もある。そして、頭脳も優れてあるし、攻撃も強い。そして回復もできるなんて・・・・最高の能力ですよ」
 誉めまくる漆。何かそれに引っかかる櫻。
 これ以上のことを言うのは、避けておく。
 
 
 「まだ降りてこないのかな?というか、フォーサフトォームまであとどれくらいなんだろうな・・・この知識を持ってるのは櫻だけだし・・・もう!俺櫻無しではやってられないっての」
 頭をかけまわす夜須。
 とりあえず、座って櫻を待つことにした。けれど、全然落ち着かない。
 
 なんなんだろう・・この気持は
 
 
 あれから数時間後。
 櫻たちはやっとの思いで降りてこられた。
 「あれ?夜須は?」
 漆はキョロキョロと周りを見回した。
 「居たよ・・」
 木の陰に行った櫻は、ぐっすり寝ている夜須を見つけた。
 「ありゃ・・待ちくたびれたの?」
 「たぶんな。疲れただろうし漆も寝ていいよ。」
 「わぁい」
 漆は、夜須の隣に座り、木に寄りかかりながら目を閉じた。
 「さて・・・回収」
 その一言で、自分の周りに少数の桜が集まる。そして、自分の身体の中に戻っていった。その桜は、夜須につけておいた桜だった。
 回収した後、櫻はその気に上った。そして幹によしかかっていろいろと考え事をしていた。
 一回は寝ようと思ったのだが、寝れそうになかったのでやめておいた。
 疲れても睡魔が来ることはほとんど無い櫻。一人で歩いていたら、いまごろどこなのだろう?という考えも、たまにする。
 フォーサフトォームまで、後どれくらいか。それは後もう少しなのだ。もう少しでゆっくりした生活を送れれる筈なのだから。
 この後は、大体まっすぐだった。そしたら、ある海につくはずだ。その海の崖のほうに向っていく。それからが問題というものだった。
 
 
 漆が寝てから数時間後。夜須が目を覚ました。とおもったら、漆も目を覚ました。それに気付いた櫻は、木から降りた。
 「よし・・次行くか」
 「おぅ!」
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