あるところに國があったという、今から17年前に若きカリエス王は自らの領土拡大のために戦滅に取り掛かった。 子供達は奴隷として様々な激務を与え、大人の男を殺し、女は兵に誂え、一際美しい女は自分のものとした。また使えない老人は見捨てた。
新たな国造り改革が一年を過ぎたころ、カリエス王はマリアという美しい白人奴隷に夢中になった。
やがて、マリアの望むところでなかったにしろ子供が出来たし、王はこれを喜んだ。 しかし数カ月してカリエス王に砂漠の国から女が嫁いできた…つまりカリエス王の正妻だ。 彼女にもすぐに子供が授かった。
間もなくカリエスとマリアの間にマヤが生まれたが、すぐにカリエスの正妻にも子供が生まれた。 マヤは奴隷との間に生まれた白人の女子だったが、正妻との間に生まれた子はシンという男子…つまり第一王子で、将来は王位を継ぐことになる、
マヤがカリエス王にとって不都合な子となったのは言うまでもない。 砂漠の国では女も男も王位につけるのだから…。
そうして間もなく、マヤは数人のお供と共に、王宮を追われる身となった。
一方マリアはというと、手柄を立てた一等兵の報奨として与えられたというが、その事実を知っているものも少なく、知っていても忘れているだろう。
あれから十五年と言う月日が流れた…
マヤは心にポッカリ穴を開けたまま育った。 慰めは十五年間一緒に暮らして来た乳母のサラだけだが、彼女にも子がいる… それが幼なじみのルクセスだ。 だからサラとルクセスの親子の仲を見せつけられると胸が痛む …どうして私にはお母様がいないんだろう、と。 誰にも言う事なく、何度も何度も問い掛けた
それを知ってか、一つ年上のルクセスはマヤにとても優しかった。 だからマヤは、サラもルクセスも大好きだし、信頼している。
そして十五年ぶりに、父王はマヤに使いを送ったのだ… 女王になって欲しい、と。
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