朝日が昇り、いつものように快晴が四人を包む。 「いいのか、ティセさん?」 クラウドが聞くと、ティセは薄っすらと笑って頷く。 「えぇ。シィルもいい?」 「ティセがいいのなら」 「よろしくお願いします」 其々から了承を得て、満面の笑みでお辞儀をするセレナ。 クラウド達と一緒に旅をしたい。 これは彼女が、自分から頼み込んだ事だった。 新しく新調した黄色いシャツに黒いパンツ。そしてオレンジのナックルグローブを両手に嵌めて、銀のナイフは今はない。
「んじゃ、四人で目指せ風の国」 「おーっ!!」
クラウドと共に、拳を高らかに挙げて大声を出すセレナ。 そして二人は走り出した。さながら競争だ。 「闘士って皆ああなの?」 「あはは……私に聞かないで」 それを見て、呆れ果ててもはや何も言えないシィルと、サイフを見て乾いた笑みを浮かべるティセであった。 ――食費、これから二倍ですね…… ティセのそんな呟きが聞こえたのは、気のせいではないようだ。
「行ったよ、アイリスちゃん」 「そうね」 見送りから帰ってきたジュリアはそう言って、紅茶を呑んでいるアイリスの隣のソファーに座る。無論白いペンダントは欠かさない。 「これの事、結局話さなかったね」 「聞かれなかった事を話して、あの人達に変な心配されるのは嫌よ」 お人好しだし、と一言付け加えるアイリス。 「このペンダントの事は、まだ言えないわ」 「でも、いつ言うの?」 「この町以外に、風の国に通じる町があると思う?」 それにジュリアが首を横に振ると、アイリスは薄っすら笑う。 「あの方々が風の国から出る時、またここに来るでしょう」 「そうだね」 ジュリアが笑うと、そっとティーカップを置き、テーブルから立ち上がってテラスに出ると、自分の黒いペンダントを見るアイリス。
――このペンダントの秘密…… ――ファナも、他の町の住民も、ジュリアでさえも知らなかった事…… ――あの方々に話す事をお許しください……お父様……
両手を重ね、天国にいる大事な人に祈りを捧げるアイリス。 そしてそれを見て、真似して祈るジュリア。 光と闇、二つのペンダントを持った少女達は祈りを捧げると、またテーブルに座ってお茶を飲み始めた。 雲ひとつない快晴の空。 「そうだ。これ呑んだら買い物行こうかしら」 「だね。欲しい物があるんだ」 子供のように話す友人を見て、薄っすら笑みを浮かべるアイリスであった。
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