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竜の小太郎第一話 10
投稿者 君塚正太[1]
投稿日時 2009年05月18日(Mon) 13時48分36秒
「君は、僕にそんなことを言っておいて、何のつもりなのですか?僕に、何か文句でもあるのですか?だったら、早く言って下さいよ。そもそも、あなたのその意見が僕に当てはまらないのは、当たり前じゃないですか。そんなものはないと、さすがのあなたもおっしゃらないことでしょう。それはみんなが知っている常識の中にもこうありますよ“人が(僕は竜ですが)一人ひとり違うように価値観の違いが、それだけある”と、こんなこともお分かりにならないあなたではないでしょう。だから僕の価値観から言うと、この問題は、僕にとっては深刻なのです。しかし、なんですなあ、貴方ほどの人がこのようなことすら、お知りにならないとは思いもしませんでしたが。」
この時、僕は、胸を張りながら意気揚々として、「この討論では勝ったぞ。」と思い上がっていました。そして僕は我を忘れ、彼が、先ほど僕にやった様に、彼の方を睨みつけました。しかし、僕は、内心少しまだ彼を怖がっていたのです。だから、睨みつけることしかできなかったのです。
「ほう、見る限りではあなたは少し気が立っていらっしゃる。そんな状態で意見を言っても、まったく説得力はありませんよ。まあ、しかし私がこんな前口上を述べても、意味はありませんな。なぜなら私はあなたを怒らすつもりで先ほどの意見を述べたのですから。さて・・・」
僕は、彼の話を聞いている途中でもっとムカッときて、彼にこういってやりました。しかし、このことは間違っていました。今、思うと、この場、限りの言い訳は、後に大きな波となって僕の精神に押し寄せてくるのです。今の苦しみに比べれば、僕はこの感情を抑えるべきだったでしょう。
「君は僕に鎌をかけたのかい?へ、そんな面倒くさいことをするぐらいなら、最初からそうといえば良かったじゃないか。始めてあったとき、僕は君の事を胡散臭い奴だとは思わなかったよ。けれども君は違った。結局僕のことを試していたんだからね。君のような阿呆野朗とは二度と話はしたくないよ。」
僕がこの言葉を言い終えると、トーレンが隣の司教様の耳元で静かに会話をしているのが目に入りました。彼らが何を相談しているのか僕にはまったく見当もつきません。しかしこれだけは事実です。彼らは僕の話を聞いていないのです。僕の話を聴こうともしない輩を見て、僕の魂にこんこんと静かな怒りのしずくが溜まっていくのでした。溜まりすぎたしずくがその器から溢れそうになろうという時にも、僕は何とかそれを堪えました。下を向きながらそのことをぶつぶつ考えていました。そして下を向いていた目をふっと上にあげると、僕の前に司教様とトーレンが立っているではないですか。ですが、僕はこのことに喜ぶどころか、深い疑いの目を彼らに投げ返すのでした。けれども今度は僕の目とは反対に彼らの眼差しと言ったら、とても穏やかな感じです。そしてまた司教様が僕の横に立ち、肩をぽんぽんとたたいてこう問いかけてきました。
「教会に入る前からあなたが感じていたあの感情、その原因がお分かりになりましたか?」
急にそんな前の話を持ち出されて僕は少しびっくりしました。