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竜の小太郎第一話 7
投稿者 君塚正太[1]
投稿日時 2009年05月18日(Mon) 13時46分09秒
「ひとつ話を続ける前に断っておきたいことがあります。それが、何かというと、これからの話の中であなたに意見を求める場面が出てくるでしょう。その時、あなたにできる限りでいいのですが、その質問についての答えを真摯に述べてもらいたいという事です。これについて、ご理解いただけるでしょうか?」
僕はすぐさま「もちろん、私に出来る範囲でお答えしましょう。」とあっけらかんと言いました。
「さあ、あなたの了解も頂けたことですし、早速話を続けることにしましょう。まず、不躾(ぶしつけ)で悪いのですが、私があなたに対して持つひとつの疑問にお答えしていただきたいと思います。これは私の思い違いかもしれませんが、あなたは私が手を差し伸べるまでの間、非常に私を嫌がっておられませんでしたか?もしくは、怖がって?」
この非常に丁寧でへりくだった態度に、僕は少し違和感を覚えました。なぜ?と言えば、その司教様の話しぶりと言ったら前とうって変わって、とても冷静だったからです。どうも僕はその彼の態度にある意図が隠されていると、感じたようです。その神経質なチャイルドドラゴンの僕は、至って冷静な振りをして、
(3)「あなたの言うことと僕の感じたことは少し違います。ここでもし普通の方ならば、『あなた様の言うとおりです。私は不遜にもそのような事を思っておりました。どうやらそれは私の勝手な独りよがりだったようです。そんな行為にどうか寛大なお慈悲をお願いします!私が思っていたことは悪意の成した業でした。そのような悪魔のささやきに傾いた私の心をどうか叱責してください、司教様。』と、こんな風に自分の体裁ばかりを気にした言葉をあなたに返すことでしょう。しかし僕はこのような言葉を返すつもりは毛頭ございません。そして、ひとつ僕がこの質問に答える前に進言させて頂きたい事がございます。どうやら、あなたが前に言われた“非常に”という言葉は何か重大な意味を持っているようです。なぜならあなたがその言葉を口から発したとき、前の文のリズムとは違う音程が奏でられたからです。そのような口語法は、昔この町にやって来た政治家が演説でよく用いていました。その政治家は、その弁論法によって街の人々に大きな賛同の渦を巻き起こしました。しかし私が用いたこの賛同という言葉は、おそらく正しくないでしょう。真実を正直に言うならば、『彼は人々の感情を揺さぶり、そして感情的に彼らを従属させた』というべきだったしょう。まあ、このことについてあまり長々と話をしてもしょうがないので、ここでこの話はやめにしましょう。あえて一つ結論を言うとすれば、あなたの意図とは、この会話の中で私を感情論に巻き込むつもりだったのではないでしょうか?」
と、僕は自分でも思いもしなかったことをすらすらと述べました。何かの神様が僕の体に乗り移ったみたいに僕は話しました。この原因はいまだ分からずじまい。一体なんだったのでしょうか?たぶんそこには神経質な僕が色々なことについて考えたことも関係しているのでしょう。そんなことより今は司教様との話が大事、大事。
話を聞き終わった司教様は、突然大きな声で笑いながら、英語で、「You’re right, you’re right.」(その通り、あんたの言うとおり)と叫びました。