投稿者
| あきかん | [1] |
投稿日時
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2005年04月14日(Thu) 00時09分02秒
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はじめまして、あきかんと言う者です。自宅でコソコソ小説書いてます。 ……で。わたし、コソコソ書いているだけあって今まで自分の原稿を人に読んでもらった事無いんですよ。顔知ってる人には恥ずかしくて見せられないし…。なのでこの場を借りて皆様の感想を伺いたいなと思っております。
その緑は、どこまでも広がっているかのように見えた。 砂浜の端から伸び上がっているそれらの緑は全て、巨大な幹を持ってそそり立つ植物、木々である。木々は隙間無く陸地に溢れ、飽和状態になっている。木々は砂漠の砂粒の一つ一つのように密集し、生命の源流たる大海よりも活力に満ちていた。 そんな緑に埋め尽くされた大地を宇宙に輝く別の星から眺めると、その緑の中にほんの、芥子粒ほどの大きさの紅色を見つけることが出来る……かもしれない。それはこの星でもなかなか珍しい、モミジと言う木々の鮮やかな葉の色であり、この紅色を有する土地に生まれ育ったものたちは、その土地を<お山>と呼んでいた。 その<お山>の紅い葉の間隙を、齢十一になる赤い肌の少年は吹き抜けていた。まだ日も昇らぬ時分に、である。少年は<お山>の隅々に満ち満ちている大気の流れに加わって、夜明け前の薄闇の山中を、フワリするりと宙に舞い、紅い葉と葉の間を縫うように吹き抜ける。枝で眠るキバリスも、幹で蜜を舐める甲虫達も、彼らを包む木々ですら、少年が傍らを通ったことに、その枝に足を着いたことに気付かない。少年と彼の一族は、<お山>で二番目に怪力なベニグマよりも力が強く、二番目に素早いコノハザルよりも身軽で、二番目に狩りの上手いシロガネギツネよりもしなやかだ。 少年は<お山>に住む、テング族の一人だった。 彼はいつものように風と共に森を翔け、眼前に現れた見慣れた影と、背中に広がる感じ慣れた熱とに、にんまりと微笑むと、大きく息を吸い込み指笛を吹く。
————鋭く、しかし陽気な澄んだ音が高らかに…………響く。
その響きに呼応して森の鳥達が次々と目覚め、熱を帯び始めた空へと舞い上がっていく。土の中で眠っていたモチウサギも目を覚まし、のそのそ巣穴から顔を出すと、その寝惚け眼の写る先を風が凪いだ。 少年の向かう先に聳え立つ影は、<お山>でも一際大きな<長老>と呼ばれる大木だ。少年は眠りこける<長老>の 足元までやって来ると、今まで共に翔けてきた風に自らの身を全て委ねた。風と共に来た少年は風そのものとなり、風は<長老>の太い幹に塞き止められ、鳥達と一緒にはるか上空へと舞い上がっていった。 …………<長老>の枝葉の頭上で羽織袴をはためかせ、天地逆さまの格好になって舞う少年は、はるか地平の向こう側から現れる朝日を、二本の腕を広げて今日も浴びる。その視界には、延々と続く紅い木々の棲む山々と、その先にあると言う、見知らぬものの住む、緑の木々を抱く広大な世界が映っていた————
……以上が序文になるのですが、文章力云々よりもどういった情景が思い浮かんだかが聞きたいので、ご意見、お待ちしています。
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