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処女限定 作者:柚良あず

第6回   彼女?
「・・・・・・・・・・・え?」

確かに首筋に走った痛み。そして藤君から滴る血。間違いなく、わたしの首に噛み付いた。
 わたしはびっくりして、血が出ていないか首を確かめたけど、指に赤いものはつかない。

「・・・なん、なの・・・・・・?」

一体わたしに、何をしたの。目の前の藤君は、ぺろりと血のついた唇を舐めた。

「ご馳走様。快感与えてないのに、可奈の血よりずっとおいしい」

私の好きだった笑顔で言った。

「なに?なにしたの・・・?」

藤君が、怖くて。私はあとずさった。それに合わせて、藤君は私の方へ詰め寄ってくる。
「ごめんな。綾瀬の血、もらった」

ケロ、とした顔で言う。

「・・・・・・・・・は!?・・」
「だからさ、俺、吸血鬼なんだよ」


藤君の言ってることが理解できない。

「吸血鬼って、ドラキュラとか、にんにくとか、十字架とか、トマトジュースとか・・・え?・・ええ?・・・!」

私の頭はパニック。浮かぶのはドラキュラとか、怪物みたいな想像だ。

「うーん、じゃ長いけど説明します」

そんなのいるわけない。って思ったけど無理。実際自分が血を吸われているのに?
 かくかく、かくかく、私は震えたまま。

「俺、代々吸血鬼の家系でな、女の血を飲まないと生きてけないんだよ。だから付き合った女の血をもらってるんだけど。見られたのは綾瀬が初めて」
「・・・・・・・吸血鬼、なんているわけないよ・・!」
「へえ。実際自分が体験したのに?悪いけどさ」




「見られたからには、次から綾瀬の血、もらうからな」

その瞬間、背筋が凍りついた。藤君が、私の髪に触れる。

「・・・・・・っや!」
「そんなビクビクしないで」

私に顔を近づけ、頬に唇を重ねる。ちゅ、と軽い音がして、私の頬は熱くなってく。

「!?」
「可奈はもう処女じゃなくなったし。綾瀬、処女だろ?ちょうどいいや」

その言葉から、私は疑問だったことを思い出した。

「なんで、処女にこだわるの・・・?」

藤君は、きっぱり言った。

「処女の血が一番美味しいから。もっと言えば、快感を与えられた処女の血が一番美味しい」


だから、処女限定。吸血鬼は処女限定。藤君の彼女は、処女限定。
 わたしは、わたしは―――――――――――――――――――。

「・・・・・・・・・・!」

ふふ、という感じで藤君は笑う。

「そんな怯えなくてもさ、これから毎日俺の餌になってもらうから」
「わたしは・・・やだ・・!血なんか吸われたくないっ・・!」

藤君は、ふいに立ち上がった。屋上の風が、サラサラの髪をなびかせる。

「もう決まった。桃ちゃんは、俺の彼女決定。ね?」









綾瀬桃、処女喪失のピンチです。



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Novel Editor by BS CGI Rental
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