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処女限定 作者:柚良あず

第5回   藤君の秘密
藤君が石川さんの首に噛み付いて、何をしたのか全くわからなくて
わたしは呆然とした顔でその光景を見つめていた。
 藤君の、鋭い犬歯が刺さった石川さんは、急に動かなくなった。ぴく、ぴく、とかすかに揺れながら、死んだようにぐったりしている。
 何を、してるの・・・・・・・?驚くばかりだった。

「あーあ。これでこいつも終わりか」

ふいに石川さんの首筋から藤君の唇が離れた。口元から見える、犬歯には、真っ赤な血がつき、滴り落ちている。

「美味しかったけど」

藤君はわたしが見ているとも知らず、ゾクッとするような顔で笑った。
 怖い。怖い。石川さんを、殺したの・・・・? ぺろりと、藤君は自分の唇を舐めた。そして、石川さんのアソコから自分自身を抜き、何事も無かったようにしまった。
 ずり落ちかけたメガネを、片手でくい、と上げる。そして、立ち上がった。

「ひっ・・・!!」

だめ、とわかっていても、目の前の出来事の怖さに、わたしは声を上げてしまった。

「ん?」

藤君が、こっちを見た。

「誰かいるの?」

声はこっちへ近づいてくる。やだ。やだ。来ないで・・・
 私の目からは、うっすら涙がにじみ始めた。

「・・・・・・・・・ずっと見てたの?綾瀬」

見つかった。

「・・・・ぁ・・・や・・来ないで」


藤君は固まっている。わたしは、ぺたんとしゃがみこみ、怯える。怖い。私も、あんな風に殺されちゃうの?

「見られたかー。じゃ、次は綾瀬だな」
「・・・・は・・?」

藤君は、私が思いもしてなかったことを言った。次は、綾瀬?って、殺されるの。
 わたしは言葉を発することもできずにいた。藤君はわたしの隣へ寄ってきて、私の顎を指で持ち上げる。強引に顔を向けさせられた形になった。

「大丈夫。とって食うわけじゃないからさ」

そのまま顔はどんどん近づいてきて、わたしの胸元にくる。

やられ、ちゃうのかな

やだ


「・・・・・・・・ゃ!!・・やだよぉ・・・っ!!」

ぴちゃ、と生温かい舌が、私の首筋に触れて思わずびくっとする。

「っあ」


首筋に、ちくんとした痛みが走った。それは、全然痛くなくて、むしろ気持ちよくて。藤君の犬歯は、わたしの首筋に刺さった。声が出せない。なんだろう、この気持ち。
 わたしが恍惚状態になっていると、藤君は顔を上げた。また、口元から血を滴らせている。

「綾瀬の血、美味しいね」



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Novel Editor by BS CGI Rental
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