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処女限定 作者:柚良あず

第18回   R[
「…ぁ、や…せ……」

ぽつり。うわ言のように、ベッドの上で寝ている藤君が言った。保健室の真っ白なシーツの上の藤君は本当に綺麗だ。サラサラの髪、綺麗な肌。
 汗が少しにじんだ顔は、苦しそうにも見える。

「大丈夫…?」

そっと、わたしは藤君の顔に近づいた。
 ああ、ダメだ。この人が好きだ。もう、いいから。あなたのこんな表情を見たく無いから。

「藤君」
「…ん」
「起きて」

フェロモン?どっちにしろ、藤君て、色気があるのかもしれない。ゆっくりと、まぶたが開く。

「貧血、今度は藤君がなっちゃったね。我慢しなくて良いから、血をあげるよ」
「…いいの?」

わたしは、声を振り絞る。

「もう、処女じゃなくなっても良いから…っ処女をあげるから…元気に、なって」
そのとき、藤君はわたしの体操服の袖を掴んだ。

「してもいいんだ」

それは、この関係の終わりを意味する。それでもいいの。藤君が元気になれるなら、処女だって血だってあげる。

「……うん…」

藤君が、ベッドから起き上がった。わたしの方に手を伸ばし、わたしは腕の中に入っていく。
 細くて長い指が、私の髪をかきあげる。白い手が自分に触れるたび、私はビクッとする。

「・・・・ホントにいいの?」

最終確認?私はこくりとうなずく。メガネをかけた、綺麗な顔が近づいてきたかと思うと、その唇は私の首筋に向かう。温かい舌の感触が、首筋を伝う。ピチャ、といやらしい水音がする。

「・・・・んっ」
「随分いやらしい顔するんだね」

その言葉につい顔が赤くなる。恥ずかしい。

「お願い、だから・・・そんなに見ないで・・」
「やだね」

彼は卑猥な言葉を言い、かけていたメガネをはずす。また髪を手で触り、私にこう言う。

「綾瀬のこと、食べていいの?」

食べる。


いいよ?


食べちゃっていい。


ぷちん、ぷちんと音を立てて、シャツのボタンがはずされていく。でもそんなことに構っていられないほど深いキスが、わたしの口を塞いでいる。

「…ん、…っはぁ…」

どこにこんな元気が残っていたのだろうと。そう思ってしまうほど藤君は舌を絡めてくる。
 くちとくちとが立てる水音に、わたしはいやらしさを感じる。唇を離されても尚残る余韻に、頭がくらくらする。
 視線の先には、じっと藤君がわたしを見つめていて。

「やっぱさ、メガネかけとく。だって、綾瀬の誘ってる顔が見えないもん」
「…ゃ、だっ」
「もう遅い」

誘ってるのは、藤君のほうだよ。ほら、目の前にあなたがいるだけで、私の胸はこんなに高鳴ってる。
 ボタンをはずされたシャツが脱げて、下着が見えている。藤君は片手でホックをはずし、中の胸に触れる。

「ねぇ」

大きな手の、長くて綺麗な指でそれを揉む。

「聞こえる?自分の、心臓の音」


「ほらこんなに」


「ドクドクいってる」


そんなこと言われなくてもわかってるよ。
わたしがあなたにあきれるほど、欲情してるってこと。




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Novel Editor by BS CGI Rental
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