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処女限定 作者:柚良あず

第11回   処女の特典?
「…やべ。」

俺はまだ血の味がする口を、手でぬぐった。綾瀬の血をもらったのは、今で二回目。もともと綾瀬桃なんて、ターゲットにする気なかった、のに
 今までの女の中で、一番血が美味しい。ちょっと弄ってやっただけで、最後までヤッた奴よりも格段に美味い。

「……なんでだよ…」

もっと欲しくなってきた。もっともっと、極上の血が飲みたい。綾瀬と最後までヤッて、飲んだ血はどれくらい美味いんだ?
 俺には予想もつかない。でも、嫌がることはしたく無いしな
 しばらくは、冷蔵庫のトマトジュースで我慢しますか。
まあ俺に「処女キラー」なんて異名がついたところで、女が寄り付かなくなるわけが無い。
 少し日の傾いた道を歩きながら、俺は家に帰っていった。

「よお」

俺が家に帰ると、見覚えのある人物が1人、いた。名前は冬馬穂高。(トウマホダカ)
 そいつはいつものように、ちょこんとリビングのソファの上に座ってやがる。

「・・・・・何しに来たんだよ」
「藤君、それは酷いんじゃないの。まあ君は石川さんをヤッてポイしちゃう鬼畜だからね」
「人聞き悪いな」

それは確かに外れてないんだけど。言われるとムカツク。
 で、こいつがこの家にいるわけは

「嫌味言いにきたのかよ」
「いや。石川、不味くね?藤の中では下のランクだと思うんだけど」
「否、普通?てかお前、その趣味どうにかしろよ。俺の捨てた女食べて何が楽しい?」
「別に。美味い血に巡り会いたいだけ」

そう。穂高は、俺と同じく吸血鬼である。しかも穂高の獲物は、俺の捨てた女。こいつの趣味は高尚過ぎて理解できないのだが。
 俺はぽす、と部屋にカバンを置く。すると台所の方から、母さんの声が聞こえた。

「藤君、ほーちゃん、ご飯できたから食べにきなさい〜」
「ハーイ」

て、なんでちゃっかりお前が返事してんだよ。俺たちは母さんの作ったトマトリゾットを食べた。
 ふと、頭に綾瀬の顔が浮かぶ。もし俺が捨てたら、次に穂高に狙われるのはあいつか。
 でもな、俺は処女以外興味無し。綾瀬もいつか、役立たなくなるときが来る。

いつか、な。




「昨日ヤりすぎて腰が痛い…」
「何してたの?」
「フェラしてあげたりなんかいつもより奉仕してあげた」

いつもなら過激な友達間の会話に私は混ざらない。というか、混ざれない。過激すぎて。
 その話に、なぜだか今日は混じっている。

「ねえ、ね…」
「ん?何、桃」
「処女って男にとって一番気持ちいいの!?」

わたしの発言に、まわりにいた由麻、那都(ナツ)、冴子(サエコ)など友達が飲んでいたジュースをブッと吹き出し、持っていたお菓子を落とした。

「!?な、何いきなり言い出すの?」
「や、別に、素朴な疑問なんだけど…」

藤君の話は出したく無い。わたしはしまった。と思った。なんで聞いちゃったんだろう。
 すると、那都がははぁ、と言い出した。

「桃、夏目藤とすんの?」

にやり、と笑う那都に、わたしは顔が赤くなる。

「付き合い始めたんでしょ?あいつ、処女好きって有名だもんね」
「違うよ!!藤君は、関係ないもん」
「あいつ、よっぽどのテクでも持ってんのかなぁ」
「よし、じゃあヤッて確かめて来い」
「や、違」

わたしの疑問は勝手に想像を膨らまされ、いらぬ方向へと飛んで行った。質問の答えは?

「答えてくれないのっ?」

一応これでも、勇気持って聞いたんだけどな。すっと、冴子が手に持っていた雑誌を差し出した。

「見て」
「処女はまだ入れたことないから、一番締め付けが良いんだってさ」

その雑誌は女の子向けエロ雑誌というやつで…。

「ぶはっ」


あまりの過激さにわたしはくらくらした。

「桃は純粋だね〜。ちゃんと勉強しとかないと怖いよ?」

と、那都が頭をなでる。

「でもさ」

黙っていた由麻が口を開く。

「夏目は処女だけでしょ。ヤッたら、捨てられて終わりじゃないの」


忘れていた。

そのことを。




わたしは馬鹿だ。





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Novel Editor by BS CGI Rental
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