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The first experience    作者:柚良あず

第1回   1
ギシ、ギシ。音を立ててベッドがきしむ。

「おまえん家、ホントあきねえのな」
「穂高の家もだろ」

 まだガキだった、中学二年生。中学に上がると同時に、藤と穂高は吸血鬼に儀式に望んだ。代々夏目家と冬馬家は親交が深く、よく一緒になることが多かった。藤の父、朝日の妹が冬馬家に嫁いだのをきっかけに、さらにそれは深まっていった。
 そして、夏目家、冬馬家双方に同じ年の男児が生まれた。つまり、藤と穂高はいとこ。

「藤は吸血してみたいって思ったことある?」
「まだいい。いつかはしなきゃって言われてるけど、想像すると気持ち悪いから」
「ふうん」

ふたりが一緒に寝転ぶベッドのある藤の部屋と、藤の両親の寝室は近い。両親がどんな「吸血行為」をしていようと、丸ぎこえなのだ。

 幼い頃から聞かされてきた。おまえは吸血鬼に生まれてきたんだよと。いつかおまえも女の血を吸って生きていくんだと…
 藤と穂高にはそれがおぞましかった。まだ、何も知らなかった
 想像することさえも。穂高が、ぽつりと言った。

「セックスって気持ちいいわけ?」
「やったことないのにわかるわけないだろう」
「じゃあさ。してみればいいじゃん」
「は?」
「俺と藤で」

突然の穂高の発言に、藤は動揺を隠せなかった。

「馬鹿?」
「将来の予行演習」

そう言って、藤の体はベッドの上に投げ出された。その上に、とさ、と穂高が覆い被さる。対して身長差もない二人だが、若干穂高のほうが大きい。
 ベッドの上に寝かされた藤が上を見上げると、そこには間近に穂高の顔があった。

「セックスに興味ないの?」
「微妙。で、なんで俺は押し倒されてるわけ」
「俺がしてみたいから。嫌?」

こいつ馬鹿か、と藤は思わず言いたくなった。

「俺が抱かれるの?」
「まあ、そう。ダメ?」

藤の返答を待たず、穂高は藤の前髪をかきあげ、おでこにそっと唇で触れた。

「ぅあ」

藤の顔が、少し紅く染まる。

「何すんだよ」
「好奇心をなくしてはならない」
「おまえはマジでアホだな…」

穂高にあきれつつ、藤は心のどこかで自分も興味を持っていたのかもしれない。体を委ねるのに、時間は要らなかった。

「キスする」

穂高はそう言ったかと思うと、藤の唇に触れた。軽く、触れるように。それがいつしか、舌をねじ込んでいき、藤の口内深く侵入する。

「…っは…ぁ」

舌が絡み合い、粘着質の水音が部屋の中に響いた。藤はきゅっと目をつぶっている。

「そんな怖がらなくて良いじゃん…」
「怖えって」


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Novel Editor by BS CGI Rental
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