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少年少女 作者:柚良あず

第1回   苦痛
「あっん、ゆぅ・・・あぁあっ!!」

また、だ。隣の部屋から、壁を突き抜けて聞こえる喘ぎ声。
 そんなことは、亜矢の日常茶飯事だった。

「やめてよ・・・・!」

となりの悠の部屋から女の声が聞こえるたび、亜矢はクッションに顔をうずめて、聞こえないようにするしかない。

「ひっあ・・・っああああああぁ!!んんっもっと、動いてぇ・・!」
「淫乱だな、おまえ」
「だって・・・ゆうが、好き・・・っ!んっあ!」

亜矢の双子の兄の、悠。
 悠は昔からとてももてた。だから中学の頃から彼女が途切れたことは無く、高校に入ってからも毎日のように女を連れ込んでいた。
 薄い壁を伝って聞こえる喘ぎ声が、亜矢にとっては毎日の苦痛だった。

それも、毎日違う女。



「イく・・・!っあ!!」

短い声がしたかと思うと、それっきり声は途切れた。

「やっと、終わった・・・」

小さな頃から一緒にいた悠が、毎日違う女を抱いているなんて想像したくない。

「あやちゃん」

小さなときにそうにっこり笑った悠は、どこにいってしまったのだろうか。いくら妹でも、亜矢は知らない。


声がやんでから、しばらくして隣の部屋の扉が開く音がした。

「良かったよ。またしてくれる?」
「・・・・おまえ、もう要らないから」

悠の声だ。

「え?なんで?」
「だから要らないって。」
「あたしのどこが不満だったの?ねえ!」
「帰れよ」

冷たく言う声。亜矢はそれをきいていて、顔を上げた。
 悠が女を切り捨てる所をはじめてみたからだ。

「最低!」

パチン。するどい音がして、女は階段を下りていった。

「・・・・・・」

今日こそは言おう。亜矢は心に決め、部屋を出て悠の部屋にいく。


「悠」
「ん?亜矢〜」

振り向いた悠からは、煙のにおい。タバコを手に持っているのが見えた。

「なに、タバコ吸ってんの・・・っ?」
「べつにいーじゃん。亜矢に関係ない」

そう言いつつも、灰皿にタバコを押し付ける。部屋を見渡すと、乱れたベッド。コンドームの袋が無造作に破り捨てられ、枕の脇にある。
 何をしていたかなんて、想像したくない。

「毎日女の子連れ込むの、やめてくれない」

口にした。

「やだ。寂しいじゃん」

亜矢は反論する。

「寂しいとかいう問題じゃない。迷惑なの」
「知らねぇよ」

悠に何を言っても無駄だった。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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