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七木一族、石・鉄・木 作者:七木ゆづる千鉄

第9回   水河・三人の連れ添いの名前発表・三人で起こした垓通拍手
 列車で金野河に向かう途中で三人に連れ添いが紹介された。実際に逢えるのは三人が木野河に着いてからだという。時空的にそれだけ必要なのだというが、その名前は決まっていて、石一郎の相手が一美(かずみ)、鉄次郎が次代(つぐよ)、木三郎が三子(みつこ)だという。そしてその証として、石一郎には石版が、鉄次郎には指輪が、木三郎には証紙が渡された。石版は額に当てると消え、証紙は膝に当てると消えた。渡した列車の客車担当者は、鉄次郎の指輪が取れない限り、石版も証紙もいつでも出せ、好きなときに消せると言った。実際試してみたらその通り、三人は「地球」の力にただただ驚くばかりだった。
 やがて列車は金野河に辿り着き、三人はこれから何が待っているんだろうか?と、期待半分不安半分の心持で地上へと降りた。
 そのとき、列車の「水列車」から水が落ちてきた。その水は金野河全体に雨として降った。そうか、水列車は水瓶として回っているんだ。納得した三人だったが、ここで疑問が一つ出た。空になった水列車はどうなるんだろう?駅の人に聞いてみると、ここで空になった水列車は此処・金野河で鉱物を運ぶ列車になるという。更に駅の人は言った。
「最近此処の治安がまた悪くなりましてね、無量紫光団に頼んだらこれから来る三つ児、つまり貴方方に頼めばいいって返事が着たんです」
「でも、俺達だけじゃどうやっていいのか解らないですよ」この石一郎の言葉に、
「俺が来ましたよ」と突然言ってくる人がいた。
「あなたはまさか・・・河山伍四郎さん?」
「さすが天然の木三郎君、俺の事が解りましたか」
 そう、無量紫光団からの応援として、伍四郎が来たのである。ということは、側にいる女性は海舟りくか?そうである。伍四郎はこの金野河でお暇するが、りくはこれから木野河まで三人に付いて行くらしい。
「それじゃあ伍四郎さん、りくさん。私達の事をよろしくお願いします」鉄次郎が丁寧な言葉でその場を閉め、一同は金野河の問題の地へ足を運ぶ事になった。

 そこは坑道の中の薄明かりが点いている場所だった。大勢の鉱夫達がたむろしている。
「実はこの中に、銀河系外人、それも良からぬ企みを持っている奴がいるという情報を貰ったんです。でもそれが誰かを特定する方法が非常に難しくて」
 それは天通拍手・地通拍手・人通拍手を完全に同時にするというものだという。それに打って付けなのが石一郎・鉄次郎・木三郎の三人だというのだ。三つ児だからタイミングの取り方は万全、後は誰がどの拍手をするということなのだが。
「順番で言えば、石兄が天、私が地、木が人かなあ」と言った鉄次郎に伍四郎は「違います」と一言。
「天然の木三郎君が天、大地に眠る石の石一郎君が地、人の手で鍛えられる鉄が鉄次郎君だと俺は思います、違いますか?」
「うーん、そう言えばそうかも知れない」三人は唸りながら返答した。
「それじゃあ、今此処で実際にやってください」伍四郎のこの言葉の後で言われた通り天・地・人通拍手をした三人、すると其処に七色の光が現れ、その場に居た鉱夫全員を覆った。その後に起こった出来事、それには三人も驚いたのだが、銀河系人の鉄格子に覆われた者とそれを伍四郎たちに差し出す者が現れた事だった。差し出した者は、
「良かった・・・。私達も奴等をどうにかしたかったんですが、なにぶん力不足で・・・。私達も奴等と一緒に銀河系刑務所に行かせて下さい」と伍四郎に泣きついて来た。しかし伍四郎はそんなことは無用です。あなた達の事は無かった事に出来ますから、と三人に垓通拍手をするようにと目で言った。
「はい!」と言ったのは木三郎。「一体どうやるんだ?」と疑問いっぱいの石一郎・鉄次郎に耳打ちをして,二人も「そうか!」と納得。ここに、「垓通拍手・石鉄木版」の披露となった。
 正三角形の形に内向きに並んだ三人が,垓乃島で貰った垓の気を発揮しながら両手を叩き合って拍手の音を出した。
 すると、差し出した者達の体が銀河系外のそれから地球人に戻った。鉄格子に入った者達はそのままなのに、である。これを見ていた伍四郎は、
「さすが七木の石・鉄・木。俺が何も言わなくても垓通拍手を成し遂げるとは、感服しました」と賛辞の声をあげた。

 そして三人が金野河を後にして土野河へ行こうとした時、伍四郎が、
「何か持っていきたい物はありませんか?」と言って来た。鉄次郎が直ぐに、
「鉄の塊。貨車で持って行けますか?」と聞いた所、問題ないとの返事。かくして石・鉄・木の三人とりく、それに水河からの水と鉄次郎が所望した鉄を積んだ貨車を引き連れた列車は次なる目的地、土野河へと出発した。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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