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七木一族、石・鉄・木 作者:七木ゆづる千鉄

第8回   水河、三人の連れ添い誕生?石一郎の金槌解消法
 列車が水河に到着したと車内アナウンスが聞こえ、三人は駅に降りて水河の何処にも陸地がない事に驚いた。そういえばあの赤ん坊達はどうなったんだ?鉄次郎が疑問に思って列車を見ると、赤ん坊達が次から次へと水の中に落ちていく、一体これはどういうことだ?
「あの赤ん坊達はこの水河の水の中で、地球人としての魂を授かるのです。よろしかったらあなた達の連れ添いもここでお創りしましょうか?」声の主は女性、木三郎が、
「遼太郎さんの妹さんでしょ?」と聞くとその女性は頷いた。これから三人が回る他の地球も、主となっているのは自分達の姉妹だと言う。そして、
「あなた達のキャラを掴む為に、ここで一泊して下さい。絶対沈まない船、ミニ茂野河号もここにはありますから。ここで水に浸かって、泳ぎまくって貴方方の全てをここで出し尽くして下さい」と言ってきた。
「困ったなあ」と木三郎。「鉄兄ちゃんはともかくとして、石兄ちゃんは金槌だった筈。大丈夫?」
「やってみよう」と石一郎。「どうやったら金槌を克服出来るか、いつも考えていた。ここでならその答えが出るかもしれない。もしもの時は木、頼むぞ」
 かくして三兄弟の水河での一泊が始まった。石一郎の金槌克服の方法、それがどんなものになるかまだ三人の誰にも解らなかったが、あんなものになるとは、それは大河の妹にも解らないことだった。
 日も暮れ、そろそろ寝ようかと二人が思ったとき、石一郎がこう言い放った。
「これから、俺の金槌克服の訓練をする。二人ともついて来てくれ」
「石兄、また何でこんな時に・・・」
「木、こんな時だからこそするんだ。体調がもう寝ようかと思っている今こそ訓練のチャンスなんだ」
 わかったよ、と二人は石一郎を中心に横に並んで水中に入った。鉄次郎は全身からスクリューのような水流を放ちながら、木三郎は何もせずに水に浮かんでいる。
「それじゃあ、頼むぞ」と二人の方を外して一人水に浮かぼうとした石一郎、しかしやはり水に沈んで行く。
「石兄、息は大丈夫?」と声をかけた木三郎。すると何が起きたのか、沈んでいた石一郎が水に浮かび上がって来た。
「どうやったんだよ、石兄?」この疑問に石一郎は「軽石だ」と答えた。木三郎の「息」の声にヒントをえて全身の息を体中に廻して、要は軽石のような状態にして水に浮く事に成功したという。
「じゃあ、これで石・鉄・木、水に怖さは無くなったね」木三郎のこの言葉で三人が次なる目的地、金野河へ行く準備は整った。そして翌日、列車に乗る三人は奇妙なものを見つけた。客車の後ろに何両もタンク方の貨車が繋がっていたのだ。
「これは『水列車』です。何故こんなものが繋がっているのかは金野河・土野河・火野河で明らかになりますよ」大河の妹のこの言葉を三人が実感するのはこの後であった。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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