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七木一族、石・鉄・木 作者:七木ゆづる千鉄

第7回   銀河系刑務所・三人の個性発揮、次なる水河への扉
 中に入った三人が先ず最初に感じた事は、その異様な「気」である。このままだと全員どうにかなってしまう、一体どうしたら良いんだと石一郎・鉄次郎の二人が考え込んでいるとき、木三郎の「天然」がその答えをはじき出した。
「兄ちゃん、『垓』の気を出せば良いんだよ」
 そこで三人とも垓乃島で溜め込んだ「垓」の気を吐き始めると、異様な「気」が普通に感じられるようになった。そうか、これは「垓」の気だったんだ。納得した三人に何者かが近付いて来た。見た所ロボットのようだが、一体自分達の何を調べに来たんだろう?疑問に思った木三郎に鉄次郎が一言。
「特別入所許可証を見せれば良いんだぞ」
 鉄次郎の言葉通り、胸に下げている特別入所許可証を見たそのロボットは、「どうぞこの中を御自由にお回りください」と言って三人から離れて行った。
 さて、これから何処へ行こうかと思った三人に何か石つぶてのようなものが当たった。その瞬間、
「石を全部俺の額に集めろ!」と石一郎。二人が言われた通りにすると、石から煙が出始めた。
「大丈夫?兄ちゃん」
「ああ。だがこの熱。お前達が喰らってたらただじゃ済まなかったな。鉄だったら溶けるし、木だったら燃えちまうからな」
 それにしてもこの石、一体何処から飛んできたのか?その疑問は刑務所内を回っているうちに直ぐに解けた。大きな岩のような身体をした受刑者が、次から次へと殴られてその度に様々な宝石が出来ていたのだ。石はその破片で、他の受刑者に影響はないのでほったらかされていた。三人が固まっていた所へ教官がやって来て、
「どうもすいません。大丈夫ですか?」
と声を掛けてきた。石一郎が石には自分が強いですから大丈夫ですと一言返したら、
「そうですか、それは良かった。でも後鉄と木もあるんですが・・・」と言ってきた。鉄次郎が鉄は自分が、木三郎が木には自分が係れますといったので、教官は安心してその場を去って行った。そして別の教官が現れて、これから銀河系外人の地球人化の更生をするから見て下さいと、三人を別の場所へと案内した。
 そこは、今までの所とは明らかに雰囲気が違っていた。「垓」の気がこれまで以上にぷんぷん匂っている。更生とは一体どういうことなのか?三人の疑問は直ぐに解消した。服役している銀河系外人に光線をかけて、なんと地球人の赤ん坊にしたのだ。これからこの赤ん坊は水河へと送られるという。石一郎は全六から言われた事を思い出して、自分達も水河へ行きたいと言った。返事はかなり時間がかかるかと思ったら、意外に即了承。三人は七地球循環線に乗り次の目的地、水河へと向かうこととなった。その前に銀河系刑務所内を一巡り、全部見た後で三人は更生したばかりの赤ん坊達と共に列車に乗った。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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