■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

七木一族、石・鉄・木 作者:七木ゆづる千鉄

第5回   地球連邦大統領警備・丸打にて
 三人にとっての「次」、それは思わぬ形で訪れた。丸打の大統領邸宅に警備が必要になったので、戊野河からも応援の人材が必要だというのだ。これに三人はためらうことなく志願し、人材として抜擢される事となった。
「また、遼太郎さんに会えるかなあ」
「馬鹿、木。警備だっていうことだから会える暇なんてある訳ないだろう?なあ、石兄」
「ああ、だが別の『何か』があるかもしれないけどな・・・」
 その「何か」が、まさかあんなものだとはまだ露ほども知らない三人だった。

 警備用の人員を乗せるということで、今回の列車は特別仕様である。三人はその荘厳さにただただ驚きながら戊野河駅を後にした。やがて列車は垓乃島を過ぎて茂野河へと入る。そういえば三人が戊野河を離れるのは今回が初めてだった。戊野河の竹ばかりが生えている地面を見慣れている三人にとって、草木が生い茂る茂野河の地面は驚きに満ちたものだった。やがて列車は地下へともぐった。これは間も無く丸打駅が近い事を物語っていた。話には聞いていた三人も、「本当に地下にもぐるんだ」としみじみと感嘆。やがて列車は丸打に到着。三人は他の人達と一緒に地下から地上に出るエスカレーターに乗った。その際人々の数が何倍にも増えていた。戊野河だけでなく、他の地球からも、また元山からも応援の人員は出ていたのだった。元山ということは、地球人に成り済ました外宇宙人もいるのではないか?と、鉄次郎が探るための機械をそれとなく飛ばした。そして出た答えとは・・・。

「この中に、在り得ない存在が入っている」鉄次郎の機械はそんな情報を教えて来た。早速上に御注進を、と石一郎が思ったとき、三人の頭にその答えが返って来た。「それは先刻承知済み」と。一体どういうことなのか?それはその数分後明らかとなった。
 数分後、残った警備の集団の中で突然、
「丸打を、地球を壊してやる」と低い声で呟いた者がいた。見るとそれは三人の集団。そうか、そういう事だったのかと石・鉄・木の三人はその集団に立ち向かった。
 反乱の三人組、一人目は全身から激しい揺れを放ち始めた。
「鉄、木。こいつには俺があたる」と石一郎。そいつに向かって頭突きをして、激しい揺れが地震となって辺りを包んだ。暫く続いた地震、やがて「もういいだろう」と石一郎の言葉と共に、奴はもう全身のエネルギーを使い果たした、とその場に倒れ込んだ。
「次は俺だ」と二人目は全身から稲妻のような電撃を放ち始めた。
「石兄、木。こいつには私が向かう」と鉄次郎。両手に避雷針のようなものをこさえて、奴の電撃を次から次へとアースしていく。やがて二人目の奴のエネルギーも切れたようでその場に倒れ込んだ。
 三人目の男は、全身から炎を出し始めた。木三郎の「木」では燃えてしまうのではないかと思われたが、「大丈夫」と一言。奴と相対する事となった。
 木三郎が「右波」の構えから放つと出てきたのは、なんと大量の水。その水に奴の炎は段々勢いを失い、やがて消えた。三人が倒れた所で、大統領側近の衛兵がその身柄を拘束した。その後何処へ連れて行くかというと、外山から出られる銀河系の無限遠点にある、銀河系刑務所だという。木三郎がどんな所か見たいと言ったが、鉄次郎が「まだ警備中だぞ!」と一蹴。このまま丸打にい続けかと思ったが、大統領側近の一人が石一郎に囁いた。
「御三人様は、もう十分警備の役を果たしたから、褒美として好きな所へ行っていいと、これは大統領からの特別な配慮です」
「でも、またあんな奴等が来たら困るんじゃありませんか?」さすが石頭の石一郎、頭が固い。
「大丈夫です。お三人様の行動をコピーしたロボットを造りましたから。実は今回警備を募集した訳は、全地球の能力者のコピーロボットを造り、大統領の警備をより強くするためだったんです。皆さんの分はもうコピーしました。どうぞ気楽な旅をどうぞ」

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections