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七木一族、石・鉄・木 作者:七木ゆづる千鉄

第27回   戊野河対茂野河終盤戦・大河芳和登場、「ヨロズ」の復活?
 四回が始まってから、球場全体に異様な雰囲気が漂い始めた。これはスタンドにいる元山のチームからであることは明白だが、それにどう対応すればいいのか?戊野河の誰もがわからなかったことを茂野河のキャプテンがした。
「地球の事は地球人に任せろ!」この一言で異様な雰囲気は消滅し、試合は再び茂野河対戊野河の両チームの闘いとなった。四回以降、得点は0が続き9回の表、茂野河の攻撃である。
「向こうも死に物狂いで打ってくるだろうから、こっちも死に物狂いで守っていくぞ!」石一郎のこの言葉に円陣を組んだナイン一同が「おう!」と気合い一発。先頭の一番打者を迎えた。相手はバントの構えで誘って来る。石一郎が投げると同時に内野全員が猛ダッシュで全身守備をした。すると打者は何とプッシュバント。内野の頭上を抜けヒットになるかと思ったら、なんと外野まで猛ダッシュをしてその打球をレフトの一美が捕球。結果アウトになった。これに驚いたのは茂野河のチーム、そしてスタンドにいる元山のチームの面々である。元山の驚きは、そのまま地震となって球場に現れた。それを止めたのは石・鉄・木三兄弟と木野河・火野河・土野河・金野河にいる七木一族の面々である。七木一族の末裔は茂野河にはいないようだが、何故なのか?それはこれから現れる人物が語りだす。その人物とは・・・。
「七木一族を茂野河に置かなかったのは、実は私がそうしたほうがいい、と穣次郎君に薦めたからなんだ。今回のようになったと気を想定して、敢えて緑のある茂野河には七木という木を植えなかったというところかな」そう語りだした人物は、何と大河芳和!さらにこの後の試合の進み方によって自分が再び草冠を取って万和になり、ナナキと相談して「ヨロズ」として復活することもあり得ると言ってきた。これを聞いて驚いたのは茂野河のチームの面々。何故今さら「ヨロズ」が復活する必要があるんだ?と振るえている。しかし芳和はそれ以上は何も語らなかった。これは七木一族に「後の事は頼んだぞ」と暗に言っているようだ、と全六。さっきのコンタクトはこれを想定した上での他の地球の七木一族と今後の事についての打ち合わせだったようだ。
 さて、再び試合に戻ると茂野河の2番打者は少し気が抜けたような表情で打席に立っている。鉄次郎から石一郎へのサインは、「気合いを入れさせろ」。そこで石一郎は内角高目のいわゆる「バッシング・ボール」を投げた。その後の打者が見せた鬼のような表情に一番ほっとしたのはスタンドにいる元山のチームの面々だろう。「地球をどうしたらいいか?」この問題の答えが又はっきりと出せるようになったからだ。2番打者はセンターオーバーの2塁打を打った。3番打者はライトフライ、この間にタッチアップで走者は3塁まで到達した。4番打者は何とスクイズ、ホームに投げて鉄次郎のタッチを掻い潜ってセーフ、その間に打者走者は一塁を駆け抜けて二塁を目指したが、センターの次代が二塁ベースに入って鉄次郎からの送球を受けてタッチアウト。この回の茂野河の得点は1点に終り、スコアは3−2で茂野河の1点リード。9回裏の戊野河の攻撃へと移った。
「この回は1点だけ取っていくぞ!」円陣の中でそう檄を飛ばした石一郎、打順はその石一郎からである。石一郎は初球を打ってセンター前ヒット。次の林太郎が送りバントで石一郎を二塁に送り、その次の森次の所で代打・ミゾレのコール。ミゾレはボールカウント2−3まで粘り6球目を痛打。打球はライトを超えて結果2塁打。石一郎がホームに帰りスコアは3−3の同点となった。此処で全六のサインは「わざとアウトになれ」木三郎はサードライナー、鉄次郎はファーストライナーで3アウト。試合は延長戦に突入した。これを見ていた元山のメンバー達が何かを話し合っている。
「地球がどうやら合格点を貰えそうだな」と全六が一言。後は如何に僅差で勝つかに因るだろうと鉄次郎が言った。この後の試合の展開は・・・。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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