■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

七木一族、石・鉄・木 作者:七木ゆづる千鉄

第26回   対抗戦最終戦・茂野河対戊野河序盤戦・・・元山の意思とは?
 その翌日からの戊野河・茂野河は勝ちに勝ちまくった。又元山は何処とも引き分け、この状況には誰もが「一体何故なんだ?」と首をかしげていた。戊野河メンバー一同、兆一、億次郎などを除いては。
 そして迎えた最終日、元山は休み、そして戊野河対茂野河は第3試合に優勝をかけた大一番である。休みである元山のメンバーが一塁側戊野河・三塁側茂野河両方に同じ位の人数で座っている。一体何を考えているのか、それを全六はこう言いきった。
「私達七地球の行く末を見守りに来たのだ。試合結果によっては皆滅びるかもしれないし、あるいは今以上に宇宙に貢献できるようになるかもしれない。みんなその辺りを頭に叩き込んでこの試合に臨んでくれ」この言葉に全員が気合いを込めた一声をあげて先ずは1回表の守備にへと散って行った。
 茂野河の1番打者は「さあ、来い!」と打ち気満々の構えである。投手の石一郎は第一球をわざと高目に外して投げた。するとその球を何と「悪球打ち」、打球はライトへと飛んで行った。三子がその球を追いかけて捕ろうとした時に突然起きた「揺れ」、三子が落球する間に打者は一塁を駆けて二塁を目指していた。そこで鉄次郎が「三塁へ投げろ」と指示、言われた通り三子が三塁へと送球したところ、打者は二塁を駆け抜けて三塁へと向かっていた。そこで五郎が捕球してタッチアウト。この時再び「揺れ」が起こった。一体誰がこの「揺れ」を起こしたのか?ナインが全員集まった所で、お
そらく観戦している元山の誰かだろう、と石一郎が言った。「僕たちを試しているのかなぁ」と木三郎が言うと、「当たり前じゃないか!」と鉄次郎が一言添えた。そして再び内外野に散るナイン、次の2番打者を迎えた。
 今度の打者はバントの構えをしている。又「揺れ」が起こって守備がもたつくのを待っているのだろうか?その「揺れ」対策だが、「大丈夫」と一美・次代・三子の三人がサインを送って来た。そこで石一郎が投げた第一球。その瞬間に一美・次代・三子の三人が四股を踏んだ。同時に木三郎は見た。茂野河側のスタンドに座っていた元山のメンバーが驚いた顔をしたのを。やはり「揺れ」は元山が起こしていたのだ。そしてこの後「揺れ」は全く起こらなくなる。戊野河の「力」を元山が完全に認めたということだ。そして茂野河の2番打者はバントをしたが想定していた「揺れ」が起こらなかったので1塁ゴロでアウトになった。そして「これからは全力で投げるぞ!」との言葉通り、石一郎の渾身の球に3番打者は三球三振、1回の表は結果三人で終了した。
 そして1回の裏、戊野河の攻撃であるが茂野河の投手の球は石一郎並の威力。林太郎・森次は「とても打てない」とこぼしたが、木三郎・鉄次郎の「こっちに任せておけ」の言葉に安心して二人とも凡退。打順は木三郎に回った。
 茂野河の投手は相変わらず石のような剛球を投げて来る。木三郎はその初球をバットを折りながら打った。打球は左中間に飛び、結果は二塁打。鉄次郎は今度はバットを折らずに打ち、右中間に飛んだ打球はやはり二塁打。木三郎は楽々とホームインした。次の五郎は凡退したが、1回を終わって0−1で戊野河のリード。これを見ていた元山のメンバーが何かを話しているのを見た石一郎は、「次の回は打たせるぞ!」と言った。これを聞いた元山のメンバーが又何かを話している。木三郎はそれを見て、「大丈夫かなぁ」と言い、鉄次郎は「大丈夫だ!」と言った。そして2回を終わって点は2−1で茂野河の1点リード。全六はこれを見て「よし、計算通り」と言った。そしてさんかいはものかわのとくてんは0、戊野河は石一郎のセンターオーバーのホームランが飛び出し点は2−2のタイとなった。こうして試合を進めながら全六は何か外とコンタクトを取っている。それが何なのかは試合が終わってから明らかとなるのだが、今はまだ言えない。

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections