■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

七木一族、石・鉄・木 作者:七木ゆづる千鉄

第25回   元山対茂野河戦観戦・自分達の立場を忘れている茂野河の問題
 対金野河戦を終えて、戊野河チーム一同は又ミーティングを行った。明日は試合がない。この「休み」をどう使おうかと言う事が議題である。五郎・森次・林太郎からは「ひたすら休もう」と意見が出たが、鉄次郎が「茂野河を見ておいたほうがいい」と一言。今日の茂野河のキャプテンの顔に走った「何か」を見えないまでも感じていたのだ。それに茂野河はこれまで無敗。明日の対元山戦でどんなことが起きるかを見届けておいたほうがいいという。石一郎や木三郎もこれに賛同し、話し合いの結果石・鉄・木三兄弟と和美・次代・三子の六人が茂野河対元山戦を観戦し、残りのメンバーは宿舎で休みということになった。
 そして翌日、第3試合に組まれた茂野河対元山戦、観戦している六人を「見て」いる何者かの視線を全員が感じていた。しかしこの「目」にはそれまで感じられていた「敵意」が全く無い。一体これは誰の「目」なのか?それは先攻の茂野河が攻撃を開始するとき解った。
「あいつら全く解っていない。茂野河は勝っちゃいけないんだ」なんと大河兆一の声が聞こえて来た。そう、この「目」は大河兆一の目であり、戊野河を見ていたのも如何に茂野河の目を醒まさせるかを戊野河に託す、その為だったのだ。
「でもなんで僕たちにばっかり託すんだろう?他にもチームはいくらでもあるのに」この木三郎の言葉に、
「言うまでも無いだろう!」と鉄次郎が一括。そこに兆一がさらに一言こう言った。
「問題は緑なんだ。茂野河から緑、草冠を取ったのが戊野河。此処に重大な意味があるってことなんだよ」
 そんな中茂野河対元山の試合は延長15回まで進み、結果は9−9の引き分け。元山の選手達は喜んでいるが、茂野河の選手達はあからさまに悔しがっている。兆一の言う「勝っちゃいけない」ということを茂野河の選手達が完全に忘れている事、これはやはり問題なんだと改めて思う六人だった。

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections