三人が十五歳になった時、全六は彼等に士族学校に入るように言った。 「お前達三人が一つになれば、そう簡単につぶされることはない。自信を持っていけ!」 「親父、そんな事言ったってまだ十五歳の俺達に何ができるって言うんだ?」と石一郎。まさしく石頭。融通がきかない。 「大丈夫だよ、石兄。いざとなったら俺の器用さで何とかするから」と鉄次郎。まさしく鋏の如く、流暢な調子である。 「それでも駄目なら僕がボケるから、鉄兄ちゃん、その時は突っ込みを宜しくね」と木三郎。事が何なのか捉えていない、まさしく天然である。それを見ていた奈々美が一言こう言った。 「あなた達のその一言、そのキャラを大事にして行くのよ」 かくして石・鉄・木三兄弟は士族学校試験に臨むこととなった。
戊野河士族学校は、先ず武術で持って受験を行う。三人はそれぞれのキャラでこの試験をクリアした。 先ず石一郎の場合。竹刀を持った相手に対して丸腰で立ち向かった。その竹刀が面!と石一郎の頭を直撃したとき、竹刀が木っ端微塵に砕け散った。ここで教官が「七木石一郎、合格!」と一言。 次に鉄次郎の場合。やはり丸腰で立ち向かったが、相手が面打ちをしようとしてとき白羽取りをして逆に相手に面打ちを食らわせた。ここで教官が「七木鉄次郎、合格」と一言。 最後に木三郎の場合。またも丸腰で立ち向かったが、相手が面打ちをしようとした瞬間に逆立ちをして足で相手の竹刀をとり、片手で足を払って倒した。ここで教官が「七木木三郎、合格」と一言。 三人をどのクラスにしようかと教官達が協議をし始めたその時、石一郎が全六から渡された手紙を教官の一人に渡した。そこにはこう書かれていた。 教官殿へ 七木全六 この三人は三人揃って初めてその本当の力が発揮されるので、クラスは三人一緒でお願いします。どんな事が起こるかはその時のお楽しみ、ということで。 七木奈々美 共に記す。 「そうか、七木という姓からもしやと思ったら,彼らは全六さんと奈々美さんの息子、七木一族の末裔か。それならそうしようか」 かくして三人は士族学校の特Aクラスに入る事となったのである。
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