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七木一族、石・鉄・木 作者:七木ゆづる千鉄

第17回   少女アンドロイドに感情注入
 今回の三人の任務は、ミゾレという少女アンドロイドに感情を持たせるというものである。彼女はまだ生まれたばかりで、何かをしては笑うという事しか出来ない。三人に初めて会った時もそうだった。鉄次郎がこさえた爆弾を突付き、爆発させた後でケラケラ笑うといった始末である。
「これは、何とかしないといけないな」と石一郎。早速彼女を石・鉄・木号に乗せ、外山から外宇宙へ出た。小惑星に降り、「垓」の気をまとった三兄弟とミゾレは外に出た。そこにいた兎のような小動物を苛めている狼のような動物、それを見ていたミゾレははじめて「怒り」の感情を面に出して狼を遠くに追いやった。
「よし、第一段階通過」と鉄次郎。続いて木三郎が「ふん!」と気合を入れて兎に何か気を入れた。見る間に何か訳の解らないものに姿を替える兎、ミゾレの表情に「恐怖」がありありと伺える。
「もういいかな」「まだまだだ」
鉄次郎・石一郎の言葉の後、訳の解らないものに姿を変えていた兎が元に戻った。ミゾレの顔いっぱいに広がる「安堵」の表情。その後である。突然「さよなら」の言葉と共に兎がぱったり倒れ、死んでいったのは。
「おい、木。お前こんな事想定していたか?」
「いや石兄、こんな事までは考えてなかった・・・」
 そんな言葉のやり取りの後、ミゾレがワンワン泣き始めた。想定外の出来事の後、感情注入の全段階が終了したのであった。
「木さん、あたしも誰か相手が欲しい・・・」ミゾレが突然そんなことを言い出した。
「なら、古屋兄弟のどっちかと付き合えば良いよ」木三郎のこの言葉にミゾレは、
「どっちかとなんて選べないから、あたしも二人になりたい。鉄さん、出来るでしょ?」と鉄次郎に頼み事をしてきた。解った、と急いでクローン装置を作った鉄次郎。そしてミゾレは二人となり、クローンのほうの名前はユキとなった。今回の任務の思わぬ副産物である。帰ったら古屋兄弟にも相手が出来るだろう。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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