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七木一族、石・鉄・木 作者:七木ゆづる千鉄

第15回   戊野河の冬、枯れても復活する木
 ある夜、石・鉄・木三兄弟にナナキからの声が夢の中で聞こえて来た。
「木枯らしが吹く寒い時期になって、逆に『木』の大事さが解る時が来る。その為には三人だけど木が四つある・・・そう君達の力が必要なんだ!後、二人だけど木が五つある兄弟も連れて行ってくれ・・・場所は戊野河上流の外山の谷だ」
 夢から目覚めた三人は、早速言われた通りに外山の谷を目指して出かけた。一美・次代・三子の三人も一緒に連れて、途中で六人を待っているらしき兄弟二人に出くわした。
「俺の名前は、古屋リン太郎だ」兄がそう言うと、
「僕の名前は、古屋シン次です」弟がそういった。
「君達、何で木が五つなんだ?」石一郎がそう言うと、
「そうか!」と木三郎が一言。鉄次郎がはっと気付き、石兄には自分が説明するからとその場を乗り切った。
 そして外山の谷へ行った時、木枯らしが激しく吹き始めて何者かがこう言い放った。
「もはや此処で木は枯れた。もう木という言葉は存在しない。其処の八人、名前は何と言う?」
 何と言うべきか誰もが迷ったとき、木三郎がこう言った。
「七井某三郎です。」木三郎の「天然」がうまく働き、「木」を「井」、「木」を「某」と言い換えたのであった。石一郎・鉄次郎が「七井」を名乗り、一美・次代・三子が名前を名乗った所で、その何者かは、
「某三郎か、木は枯れているからお前は甘いな。後の二人、名前はなんと言う?」と古屋兄弟に名前を聞いて来た。
「私達の名前は・・・」とリン太郎が言いかけた時、木三郎が、「姓はコ屋」と言った。一体何だ?と思った石一郎に鉄次郎がこれで良いんだよ、と一言。何者かは七井はやはり甘いなとほくそえんでいる。古屋兄弟はそんな七木三兄弟を「馬鹿にするな!」と息巻いている。木三郎がそれに対して、「辛いなあ・・・」と一言。何者かはそれを聞いて、
「正しくコ屋は辛い、木枯らしだな・・・」と言い、「木枯らしだと?何故木が復活しているんだ?」と叫んだ。木枯らしはさらに勢いを増している中で何故木が復活しているのか、それは古屋兄弟が木を五つ隠しているからだ。リン太郎は林太郎、シン次は森次。何者かはさらに七井三兄弟にも目を向け、
「お前達も木を隠しているのか?」と言った。
「その通り」と石一郎。「姓は七木」この言葉を聞いて何者かが悲鳴をあげたその時木三郎がさらに「名は木三郎」と言ったその瞬間何者かの断末魔と共に木枯らしはやんだ。戊野河の冬もこれで安泰である。最後に鉄次郎が今までの出来事を記録した機械をその場に置き、これからの冬も危ない事が起きないようにして今回の仕事を終えた。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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